- Amazon.co.jp ・本 (632ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101104171
感想・レビュー・書評
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この人の本は、史実を調べて重ね合わせながら読むのも一興。
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どんどん面白くなる。
業務本部長としての壱岐。
千代田との提携話。
そして・・・? -
いよいよ後半突入である。主人公:壱岐正は、愛妻を不慮の事故で亡くした後、アメリカ近畿商事(伊藤忠商事がモデル)社長としてニューヨークへ赴任する。そして千代田自動車(いすゞがモデル)とフォーク(フォード)との提携斡旋の闘いを繰り広げる。結果は東京商事(日商岩井、現在の双日がモデル)の鮫島に東和自動車(マツダがモデル)との提携という形で持って行かれて敗北してしまう。東京商事との闘いは、防衛庁の次期戦闘機選定では勝利したものの、今回は負けてしまう。
壱岐正はその後専務取締役にまで昇任するのだが、これを周りのプロパーの人間から強い反撥を受けてしまう。その最右翼が里井副社長であり、本作品においては壱岐をベビーフェイス、里井をヒールという形で構成されていく。しかし、私にとって里井の仕事への姿勢には充分に感銘を受けた。出張先のアメリカで心臓発作を起こし入院するのだが、一部の者を除き周りには隠ぺいし、あくまで健康体を装いながら仕事を続けるのである。これは、新参役員である壱岐への対抗心も確かにあるのだが、自らの仕事は自らの手で全うしたいというプロ意識を見て取れる。私からすれば「大企業のナンバー2にまで君臨したのだから、もう十分ではないか」などと思ってしまうし、私がもし心臓発作など起こしたならば、心筋梗塞などを心配して弱気になってしまうだろう。そこまでして成し遂げたい仕事がある里井はある意味幸せ者と言える。
こうした経済小説を読むと、仕事の活力が漲ってくるから不思議である。とてもとても小説の登場人物のような高いレベルの仕事はできないものの、仕事に対する姿勢は見習いたいものだ。 -
ライバル商社との争いだけではなく、社内との抗争。
しかし、副社長里井も体の爆弾があっても、ここまでか。
同時平行に進む石油事業が、ストーリーの展開の腰を折ってるのではないか・・・ -
取材力に脱帽。今まで読んだ山崎豊子作品で一番かも。
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戦時中の参謀だったとはいえ、商社の中の重要ポストで行き続ける壱岐。
船舶、戦闘機、車開発など奮闘し、ついには石油開発プルジェクトにまでとりかかることになるとは・・・
壱岐さんの人生は、あまりにもスケールの大きな人生だと驚嘆した! -
部分的にあんまりおもしろくないところもあったけど、概ねおもしろい!
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03.3.5
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元陸軍参謀の壱岐正の生き様を通し、シベリア抑留の苦悩、
そして再就職先での近畿商事にて熾烈な商戦の暗部を描く。
前半のの1巻・2巻で、シベリアでの強制労働、
後半の3巻・4巻で砂漠での石油開発といった、
二つの「不毛地帯」を描いている。
二つの祖国、大地の子と合わせて、山崎豊子の戦争三部作と
言われる中の一つ。沈まぬ太陽を読んでから、二つの祖国を
読んだので、次はこれでしょうということで、読み始めたもの。
かつては商社マンの必読書とも呼ばれたというこの本。
一応、俺も商社マンの端くれとしては、感じるものもありました。
繊維商社から始まった近畿商事が重工業化を図っていますが、
俺の会社も分野が違うところもあるけれど、同じような
構造を抱えています。
社内各部門での風通しがよくないところも含めて。
もちろん、壱岐の視線とまだまだペーペーの俺の視線は
違うんだけどね。
とは言え、まだまだモノを買って売ってに毛の生えた程度の
ことしか出来ていない商社マンの俺としては、
耳の痛いところもありました。
前半のシベリア抑留のところでは、ただのキーワードとして
しか知らなかったシベリア抑留のことを具体的イメージとして
知ることが出来ました。
それは中国残留日本人孤児だってそう。
旧満州に終戦時にどれだけの日本人がいて、
どのようにしてその地を追われていったのか。
その歴史の一端をしっかりと心に刻む必要があると思います。
http://teddy.blog.so-net.ne.jp/2009-01-23 -
◆「私は、フォーク社の立場から考える場合、提携の相手と、日本進出第一陣とは切り離して考えるべき問題だと思っています。-略-といって、経営危機が起こってからのモーションを起こしていたのでは遅きに失します。それよりは、あなた方が日本へ進出したい気持ちがはっきりしているのなら、今のうちに橋頭堡を築くべきで、それにはどういう方法があるか、そちらを選考して考えるべきだとお勧めします。」(壹岐)
◆「そうした乗用車部門で、まず足場を築き、実績と時間を稼ぎ、それから次の展開を考えるのはどうでしょうか。」