クラウゼヴィッツの暗号文 (新潮文庫)

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著者 : 広瀬隆
  • 新潮社 (1992年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101132341

クラウゼヴィッツの暗号文 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 突然、中東を訪れた主人公の自分語りから始まるが、青臭いので読んでいるこちらが恥ずかしくなる。
    多感な若者が背伸びをして書いたような印象を受けた。
    要所要所で著名人の文章を引用して盾にしようとする。

    この本の醍醐味は1945年から1991年にかけて、その年起こった事件や紛争、戦争などを地図上にプロットした47枚の世界地図だ。
    注釈を見ると必要以上に修飾語を使っている所があり、著者の好き嫌いがよく分かる。
    この地図以外は私のような物好きが読む様な文章しか無い。
    クラウゼヴィッツの暗号文がどうというのはよく分からない。

    ネタバレとしては、クラウゼヴィッツの『戦争論』が戦争を上手く分析しているのではなく、それを読んで洗脳された人や、もともと戦争したいと思っていて洗脳されたふりをしている人が『戦争論』通りの動きをするのだと言う話。
    普通、この種のどんでん返しがあると、やられた、と思うものだが、このオチに関しては唖然とさせられるばかりだった。
    広瀬隆本の特徴の一つとして、指摘したり反論したりするのも面倒くさくなるというのが有ります。

    一周して、こんなの他ではめったに読めないので、読んで損はないと思います。

  • 評価が難しい。クラウゼヴィッツは職業軍人である、かつ彼の言う通りのフレームで政治家やリーダー達が立ち振舞うことで今の世界が出来上がったと主張。確かにそういう側面はある。
    が。実際のところ、世界が力で支配されているのは間違いないし、軍備を減らすこともできないしね。我々の世代に知恵がない、というところか。
    小さい紛争は頻繁に起きる、人類絶滅系は稀にしか起きない、というグラフに戦慄した。

  • クラウゼヴィッツという言葉が出てくるが、要するに戦後も毎年いや毎日のように戦争が世界各地で行われてきたということを強調する。そして核兵器が核戦争を防止してきたという皮肉。冷戦時代に書かれた本で古色蒼然としている感は否めません。クラウゼヴィッツがナポレオン時代にロシア軍に参加し、またワーテルローに参加した人であったということを(恥ずかしながら)初めて知ることが出来たことが唯一収穫でした。

  • 痛烈、あまりにも痛烈。
    47枚の虐殺地図を眺めるだけでもかなりの時間を要した。

    「人はなぜ戦争をするのか」

    その疑問を主題とし、著者の論理は事例を挙げて説得的に読者に訴えかける。是非一読してみて欲しい、それだけで世界の見方が一変するはずだ。

    ただ、ひとつ疑問だったのは、個人的気質に戦争の残虐性が帰せられるものなのか。クラウゼヴィッツの理論が、仮に彼以後の歴史の根幹に暗く影を落としているとするのであるとしても、クラウゼヴィッツ以前にも起き続けた長い人類史上の戦争や虐殺行為にクラウゼヴィッツの理論が当てはまることへの説明ができていない(当たり前だ、彼が人類史を分析してその理論を構築したわけだから)。

    自己の遂行しようとする戦争や権力の行使の正当性を、思想や理論、宗教、文化、民族、伝統など様々なものを並べ、帰納的に民衆に訴えるのは、権力者の常套手段。つまり、クラウゼヴィッツ人だからこそ、ではなく、誰しもがクラウゼヴィッツ人となりうるのだとした方が、私は理解できる。

    個々人の気質という一回性に帰結していいのだろうか、我々は第三者か?

  • 広瀬隆を読み始めるならここから始めてほしい一品。予備校の先生から進められたのは15年前ですが、世界の情勢は何も変っていません。この本が予言したとおり。
    <br>
    クラウゼビッツの戦争論という、戦争の教科書のような本があり、大きな戦争があるたびに引き合いに出されるのですが、それが、いかにいい加減な代物かこき下ろした本です。個人の浅はかの欲求をさも普遍性のあることのように摩り替えているだけ。しかも、近代の残虐な戦闘の原因がおそらくここにある。<br>
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    後の赤い盾で結実する、資料を紐解きながら丹念に証明していく姿は、好感がもてます。たまにスットンキョウなこと言ってますがご愛嬌。<br>
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    模倣子という概念があって、情報自体に自己複製能力・生殖能力があり増殖していく。生物ではないですが生命だと。戦争論がウイルスのように蔓延していく過程を見るとあながち嘘とも思えません。<br>
    <br>
    西洋の論理の世界の嘘ッパチさをあつかっているという意味では例の"国家の品格"と似通ったところもあります。でもこちらのほうが数段上。天下国家を語るならここまではしてほしい。経済学の世界なんかこのテの嘘&誇大&すりかえにミチミチなハズ。<br>


  • 暗号文の概論書として興味を持ったのだけど、世界的謀略の世界についてあまりにも私は何も知らないんだと目が覚めた一冊。

  • クラウゼヴィッツ『戦争論』を軸に、戦争について書かれた本。まぁ、知りたくないような嫌な事実がいろいろ書いてあります。第二次世界大戦以降に行われた数々の戦争。暗躍。虐殺。世界中が人殺しだらけですわ。日本も戦争はしてないような顔してますし、武器も輸出してないけれど、武器の部品は大量に作ってる。それならもう武器を輸出してもいいんじゃないかとか考えてもおかしくないわ。もちろん9条のことも書いてありますよ。今の憲法をアメリカに押しつけられたのだと主張する人は昔から居たんだねぇ。で、まぁ、戦争の放棄を掲げたわけですが、マッカーサーによって自衛隊の素は作られているとか、そーいうのもありますよ。戦争は金がかかるからね。日本にもできるだけ協力させた方がいいってことですか。というか戦争そのものが事業。金とか名誉とか義憤とかありますが、まぁ金ですよ。武器は儲かる。売るには戦争が必要で。難民募金も難民を守るための武器に早変わりって寸法で。戦争以外の事業で儲けまくり、自国内の他人の金も奪いまくったら、あとは他国の金を奪うしかないじゃない。しかも必需品で大量消費してくれてリサイクルもできないものが好ましいじゃない。なんかいろいろ戦争をする理由はあるんですが。まぁ、本能ではなく、理性で戦争は始められますよ。個人的な嫌悪感とか怒りとかのベクトルが、その個人の持つ最大の政治力と重なって戦争が始まりますよ。この先もどんどんやりますよ。嫌になるよね。でも嫌になってどうでもよくなった時期は過ぎました。人を殺すのはいけないという理由で戦争に反対することは、戦争したい人に響かないのもわかりました。じゃあどうするのかってことを考えるためにこの本を読みましたが、特に結論は出ませんでした。日本の企業も大量惨殺兵器の部品を作ってるんだなぁという思いが定着したのが成果かな。反戦運動とかをするガラじゃないのはわかっているから、なにか自分にできることを探すために、たまには戦争について考えたりしようと思います。

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