少しだけ、無理をして生きる (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101133379

感想・レビュー・書評

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  • 城山三郎さんの本は初めてでした。
    勇気付けられ、そして変わらなくてはと思いました。

  • 恥ずかしながら城山三郎さんのことを全くしらなかったが、とある雑誌で薦められ、タイトルが気になったので読んでみた。

    城山三郎さんは経済小説家というあたらしいジャンルを日本で初めて確立した方で、歴史上の人物にフォーカスを当てたものも数多く書かれている。
    それらの簡単な内容や書くことになった経緯などにふれながら、それぞれの人物像について描かれていた。

    1章の初心についての項目から、初心を持ち続ける人の魅力に惹きつけられ、一貫して利己的でなく社会や利他的に振る舞っている人たちの魅力が感じられる作品だった。

  • ・初心が魅力をつくる。仕事に対してだけでなく、生きていく姿勢としての初心、初々しさ、というものはいくつになっても大事なんじゃないか。いくつになっても初々しい心で人と触れ合うことができる、本について語り合える。そんな積み重ねが、人間あるいは人生を魅力的にしていく。

    ・もちろん発信もしなくてはいけないけれど、同時に受信する能力も長けていないといけない。今ある自分に安住しない。それが初心というものにつながっていく。

    ,人間を支える三本の柱は セルフ=自分だけの世界、インティマシー=親近性、アチーブメント=達成。

  • この著書では、後述の人物が取り上げられているが、特に渋沢栄一(元幕臣・官僚,「日本資本主義の父」)、広田弘毅(元首相,東京裁判でA級戦犯として死刑になった中で唯一の文官)そして浜口雄幸(元首相,ロンドン海軍軍縮条約を結び、国際協調外交を進めたが右翼の青年に狙撃される)の生き様に力点が置かれている。主な登場人物とポイントは次のとおり。
    【登場人物】
    渋沢栄一と従弟の喜作(成一郎),王蒙(中国文化相),伊達政宗,キングスレイ・ウォード(『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』著者),リチャード・バック(『かもめのジョナサン』著者),広田弘毅と吉田茂,盛田昭夫と大賀典雄,トム・ブラッドレー(元ロサンゼルス市長。アメリカの大都会で初の黒人市長),グレイグ・クレイボーン(全米一のグルメ評論家),野上弥生子,中原誠,田中正造,浜口雄幸と井上準之助など。
    【ポイント】
    ・生きていく姿勢として初心、初々しさというものはいくつになっても大事。
    ・指導者の条件:「非常にやる気がある」「やる気があるけれども、ギラギラしていない」「大変責任感が強い」「大局をつかむ力がある」「懐の深さ」(中曽根康弘)
    ・中国におけるリーダーの条件」「非常に強い意志」「慎重さ」「程度というものを見極める力」(王蒙)
    ・大きな人から、その長所や強みをどんどん取り込み、変わることに躊躇しなかった。人事が公正(伊達政宗)
    ・コミュニケーションを図ることで、今の企業でいえば企業の理念といったものを徹底的に浸透させ、受け継がせることに意を砕いた(毛利元就)
    ・「よく準備をしろ」「挑め」「人に信頼される人間になれ」(キングスレイ・ウォード)
    ・企業家に必要なこと:「想像力」「人間性の偉大な観察者」「アイディアを手早く商品化する能力」「自分の信念を守る強い勇気」「情報の重要性」「危険を避けない」「動きが早過ぎてはならない」
    ・少しだけ無理をして生きることで、やがて大きな実りをもたらす(少し高い目標設定が自分を成長させる)。
    ・自ら計らわず(広田弘毅)
    ・「蟻になれるか」「トンボになれるか」「しかもなお、君は人間でありうるか」
    ・信念は兎の毛ほども動いてはならない。
    ・「セルフ(self)」「インティマーシー(intimacy)」「アチーブメント(achievement)」の3つの柱が人間には必要。

  • 「少しだけ、無理をして生きる」という趣旨の内容について直接的に触れているのは限られており、一見すると大半は濱口雄幸と渋沢栄一、廣田弘毅の3人のことについて書いているようにみえる。

    ただし、上述の3人とその関係人物を通して「少しだけ、無理をして生きる」ことについて学べることはたくさんありました。

    城山三郎の本は、ビジネスマンとしても人間としても大いに参考になる点が多々あり、本書もそのうちの一冊です。

    ◾︎魅力のない人〜型(机)にはまった人、
    ◾︎魅力をつくる〜初心、初々しさ
    ◾︎渋沢栄一〜吸収魔、受信機の塊
    ◾︎伊達政宗〜よく相手の人間を見ている、人間観察の達人
    ◾︎伊藤整〜いつも自分を少しだけ無理な状態の中に置くように。インスピレーションは自分で作り出すもの。(夏目漱石)文学論、人工的インスピレーション

  • 城山三郎が、小説を書く過程において調べた人物や興味をおぼえて実際にあった人たちについて話をしながら人間の魅力について考える書籍。
    題名の元ネタは著者が文文學会新人賞を受賞したときに先輩作家の伊藤整が伝えた忠告。アイデアやインスピレーションはぼんやり待っていたら生まれてくるものではなく、自分で作り出すもの。自分で生み出すように絶えず努力をしなければならない。自然な状態で待つのではなくて負荷をかける。自分を壊すほどの激しい無理をするのではなく、少しだけ無理をして生きることでやがて大きな実りをもたらしてくれる。
    自分はどう生きるのかを問いかけてくれる良書。

  • 昭和の偉人の紹介だが、非常に読みやすくわかりやすい。
    ほかの作品も読みたくなった。

  • 外の世界と、家族と、自分の時間のバランス。

  • 近代の著名人をモデルに、「魅力とは何か」や「強さとは何か」など、人の本質について語られている。薄い本だが、内容が濃く歴史に関する教養も身につくのでとてもオススメ。

  • 城山三郎の小説の総復習という意味で、良い。

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著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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