柳橋物語・むかしも今も (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.02
  • (66)
  • (51)
  • (51)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 441
感想 : 65
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134048

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 山本周五郎さんの作品は、とても優しい。歴史に名を残す人物の話ではなく、普通に生活する人たちの恋や仕事や友情などを描いている。この人が描く、女性像?というのだろうか?それに憧れた事が、何度かある(笑)

  • 「山本周五郎」の中篇時代小説を2篇収録した『柳橋物語・むかしも今も』を読みました。
    ここのところ「山本周五郎」の作品が続いています。

    -----story-------------
    過酷な運命と愛の悲劇に耐えて、人間の真実を貫き、愛をまっとうする――。
    一途な愛を描き、永遠の人間像を捉えた感動の二編。

    幼い恋心で男との約束を交わした「おせん」は、過酷な運命に翻弄される。
    「おせん」を愛する「幸太」は、命をかけて彼女を守り抜く(『柳橋物語』)。
    周囲の愛情に包まれ何不足なく育ったまきに降りかかった夫の裏切り。
    密かに慕う直吉は愚直なまでにまきに尽くすが(『むかしも今も』)。
    一途な愛の行方を描く、下町人情溢れる感動の傑作二編。
    -----------------------

    1946年(昭和21年)1月から3月まで雑誌『新青年』に発表された『柳橋物語』と、1949年(昭和24年)6月から8月まで雑誌『講談雑誌』に発表された『むかしも今も』が収録されています。

     ■柳橋物語
     ■むかしも今も
     ■解説 奥野健男

    研ぎ師「源六」の孫娘「おせん」は、上方へ行くという幼なじみの大工の「庄吉」から愛を打ち明けられた… 「おせん」は、帰って来るまでお嫁にゆかないで待っていてくれるかという「庄吉」の言葉に、「待っているわ」と自分ではなにを云うのかわからずに答えていた、、、

    ある一瞬の決断が、たった一言が、その人の人生を決定してしまう… 運命の分岐点を見事に描いた辛く哀しい作品『柳橋物語』。


    「直吉」は、幼いころ両親に死なれ、九つまで叔父に育てられたが、叔母からのそのそしているといって折檻された… 指物師「紀六」に奉公したが、一生懸命に働いてもそこでも兄弟子たちから、化物面だ、愚図だと、ひどい言葉をかけられた、、、

    こういう状態の彼を救ってくれたのが、おかみさんの「お幸」だった… 愚直な男の、愚直を貫き通したが故の幸せを描いた心和む『むかしも今も』。


    いずれも、過酷な運命や愛の悲劇に耐えて、真実を貫き愛を全うしようとする江戸庶民の人情が描かれており、読んでいてしんどくなる部分もあるのですが、「おせん」や「直吉」の人生が、どうなっていくのか気になってページを捲る手が止まりませんでした。

    特に『柳橋物語』の「おせん」は地震、火事、祖父の死、自分を愛してくれていた「幸太」の血の出るような告白と死、記憶喪失、水害、飢饉、世間の誤解による冷たい目… 等々、さまざまな災害や運命のいたずらに翻弄され、辛いことの連続、、、

    でも、それらの困難を乗り越えた「おせん」が、「幸太」の愛に気付き、火事の惨禍の中で出会った「幸太郎」への愛情に生きることを決意し、自分のことを理解できなかった「庄吉」に対して精神的に勝利する結末は見事でした… 誰も悪くはないんですけどね、みんな自然の運命に翻弄されたんですよね。

    人は何を信じて、どう生きるべきなのか… 考えさせる2篇でした。

  • 江戸庶民の生活感の書き込みぶりが半端ない。

  • 震災や火事で大変な身にふりかかる不幸の数々。主人公はえらいねー。

  • ひたすら不幸なおせんちゃんが主人公の柳橋物語。
    最後にキリっと強い女になって良かったヽ(;▽;)ノ

  • 「柳橋物語」
    女の人生、何があるかわかりません。
    でも、愛や情は必要であろうと強く感じさせられる本。
    それがあっても、楽ではないけれど…。

  • 周五郎さんの文庫本はほぼ全て持っているつもりなのですが、調べてみるとやはり何冊か漏れてます。ついでに揃えようと買った本の中の一冊です。
    おそらく再読なのですが、周五郎さんにハマったのは結構若いころ。内容はすっかり忘れています。
    タイトル通り『柳橋物語』と『むかしも今も』の2つの中編からなる一冊です。どちらも二人の男性と一人の女性の恋を描いた町家物作品です。男性はどちらもキリッとした目端の効く男と、人は良いが少々愚図なその友人。山本さんですから、同然、後者と女性が中心になります。ただ、結末は大きく違います。
    それぞれ昭和21年と24年の発表作。周五郎さんで言えば、まだ円熟期前と言えるでしょう。充分に面白いのですが、ほんの少し何かが足りない気がします。
    とはいえ、久しぶりに周五郎の世界に浸って、何かホッとしています。

  • せつないけど心温まる。登場人物の心情や情景がそこで見てたかのようにわかる、ひきこまれる。

  • 「柳橋物語」
    読み始めて何となく知ってるようなストーリー。。と思ったら、
    昔、宝塚歌劇で見た「川霧の橋」の原作だった!

    でも幸さんは本当に死んじゃってるのね。。
    どこかで生きてるんじゃないか。って最後まで期待したんだけど。。。
    切ない。。

    「むかしも今も」
    最後は鈍くさくてもまっとうに生きた者が幸せになれる。
    実際はそうじゃなくても、物語のなかだけでもそうであってくれるとホッとする。


    山本一力さんの本のレビューで山本周五郎の作風に似ている。とあったので手を出してみたが、
    レビュー通り私好みかも。。

    これからも読んでいきたい作家さん1人増えました!

  • 柳橋物語は読んで、むかしも今もが積読←
    学校の宿題で読んだのですが、描かれてる人間の生活がとてもリアルで、日本語も綺麗で面白かったです\(^o^)/

著者プロフィール

山本周五郎(やまもと しゅうごろう)=1903年山梨県生まれ。1967年没。本名、清水三十六(しみず さとむ)。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来)。雑誌記者などを経て、1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』など、とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された。 

解説:新船海三郎(しんふね かいさぶろう)=1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『史観と文学のあいだ』『作家への飛躍』『藤澤周平 志たかく情あつく』『不同調の音色 安岡章太郎私論』『戦争は殺すことから始まった 日本文学と加害の諸相』『日々是好読』、インタビュー集『わが文学の原風景』など。

「2023年 『山本周五郎 ユーモア小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山本周五郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×