燃えよ剣(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.04
  • (2855)
  • (1934)
  • (2360)
  • (81)
  • (19)
本棚登録 : 18104
感想 : 1646
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152080

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 高校生の頃以来の再読。
    当時は時代の流れを理解せず一種のキャラ小説的な読み方をしていたように思う。それでも十分面白いんだけど、今歴史の流れをなんとなく理解した上で読むと、より楽しめた。
    激動の時代の流れの中、邪魔な者は斬って捨て、破竹の勢いで新撰組を最強の剣客集団に育て上げていった土方歳三。やり方はめちゃくちゃだけど、その剛腕、痛快。まるで少年漫画の主人公のようだけど、本当にいた人たちなんだなぁ。
    下巻に続く。

  • 昔に、「龍馬が行く」を読んだ記憶が朧げにある。有名な歴史小説というミーハー心で読んでみたかった。もっと堅苦しいかと思ったけれど、いやいや、めちゃくちゃに読みやすい。歴史背景や人物を詳細に知らなくても、「土方歳三」という人物に惹かれて、彼の人生の続きが知りたくて読んでしまう。たまに挟まれる著者の雑学や現代の話もまた興味深く、読者を飽きさせない。京に行くまでの土方歳三の話は本当に田舎の青年感があり、青い感じがあるところから、新撰組となり全盛期の頃の話はあの歴史のアレ!となり、時の人感がたまらない。
    時間がなくて途切れ途切れになっちゃったことが悔やまれる。ぐわ〜っといっぺんに読み駆けたかったなぁ。

  • これはかなり古い本だ。
    書かれてから四十年ぐらい経ってるかな。
    “新選組”といえばこの本、というぐらい有名な名作。
    時代の敗者であるにもかかわらず、新選組が、時を越えて今もなお愛され続けている理由がここにある。


    『燃えよ剣(上)』 司馬遼太郎 (新潮文庫)


    歴史の結果は誰もが知っているのに、それでも歴史小説を読むのは、その結果に行き着くまでの諸々が魅力的だから。


    泣く子も黙る新選組副長、鬼の土方歳三が主人公である。
    私は“組織のナンバー2”というのがなぜかとても好きなのだ。
    陰の実務者ってかっこいい!

    武州多摩で百姓の子として生まれ育ったバラガキ(乱暴者)の「トシ」。
    天然理心流の同輩、近藤勇、沖田総司とともに京へ上り、新選組を立ち上げる。

    土方歳三は、新選組を作るために生まれてきたような男で、まさに、生まれながらにして組織を作る才能を持っていた人物だった。

    “喧嘩師”と自分でも言っているように、嫌いな相手には容赦しない。
    策略には長けているが、他人の気持ちを汲み取ったり、気を使ったりということができない。
    もともと浪人の寄せ集めだった新選組を、鉄の隊規で縛り、粛清に粛清を重ね、最強の剣客集団に仕立て上げた。

    漫画「るろうに剣心」の作者である和月伸宏氏は、この本をバイブルだと言っていた。
    「るろ剣」は、主人公が長州派維新志士なので、新選組は宿敵となるわけだが、決して悪役として描かれているわけではない。
    勤王だろうが佐幕だろうが、誰もが己の正義のために戦った。
    そこが幕末の魅力なんだなぁ。

    幕末の動乱期を経て明治維新へ…。
    歴史の中でも、他に類を見ないほどの大きな時代の転換。
    勝者がいて、敗者がいて、たくさんの人間が命を落とし、そういうものの上に明治維新は成り立った。
    その時代に生きたすべての人たちを巻き込んだ時代のうねりの大きさに、恐怖さえ感じる。

    この上巻では、私は、総長山南敬助が脱走するところがすごく心に残った。
    山南は気の毒なことに、“学問がある”というだけの理由で、歳三にめちゃくちゃ嫌われていたのだ。
    でも彼は、自分の志をしっかり持っていた人で、京の町に血の雨を降らせ非情な殺戮集団となってゆく新選組と、幕府と世の中とに失望し、隊を脱走するのである。

    脱走者は切腹、という隊法を、総長である彼も当然知っていたから、出て行くときから覚悟はできていたのだろう。
    最後の夜の沖田との会話があまりにも悲しい。
    ここで死ぬべき人じゃないのに。

    山南の切腹の介錯をしたのは沖田である。
    いつもニコニコしているこの青年の内面の強さが垣間見える場面だ。
    脱走した山南を追う役目を命ぜられた沖田が、少しの戸惑いの後、すっぱりと割り切って笑顔を作る場面など、読んでいて怖いほどである。


    司馬さんの文章は爽やかだ。
    切り込み方が直線的で清々しい。
    伏線だとか何だとか、練りに練った緻密な文章じゃなく、思ったままをずばっずばっと書いていき、思い出したことがあれば、「余談だが…」と言ってそのままその場で書いてしまう。
    そういう大胆な書きようが、読んでいて気持ちいい。

    大胆といえば、改行の大胆さにも驚く。
    一行一文字で改行、とかね。
    このダイナミックさが、すごい躍動感を生んでいる。
    のびのびとした自由な筆運びのおかげで、ずんずん読める。


    政治に傾倒していく近藤の辿り着く先とは?
    伊東甲子太郎の思惑とは?
    歳三とお雪の行く末は?
    しつこい性格 (!?) の七里研之助との因縁の対決に決着はつくのか。
    時勢は攘夷から倒幕へ…。

    下巻に続く!

  • 再読。やはり熱き仕事が見れる。

  • 御託は並べません、おもろいもんはおもろい!土方中心にみんなかっこいい。上巻、めっちゃいいとこで終わるやんけ。。。新撰組の歴史がよく分かる。

  • 天然理心流の近藤道場時代〜新撰組結成・紆余曲折〜伊東甲子太郎の陰謀 まで。
    3度目?4度目?数年に一度読み返してるけど、何度読んでも面白い!

  • 歴史小説の完成形

  • 山南さんと沖田のところでいつも泣く。

  • 映画を見て、ぜひ原本にあたろうと思い読書。

  • 下巻も合わせての感想です。

    政治や思想などを飛び越えて
    俺やることは喧嘩だ。
    新選組を大名格にするこった。
    という土方歳三の強さも見れる一方

    お雪さんとの恋愛感情は素敵です。

    土方歳三は最後まで土方歳三を突き通した
    カッコ良さが分かる新選組物では最高峰だと
    思う物語です。

全1646件中 91 - 100件を表示

著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

司馬遼太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×