峠(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152424

感想・レビュー・書評

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  • 継之介ほど熱く死ねる人はいるのか。幕末の隠れた志士であり、長岡という小藩に生まれたがゆえに不運。
    人生における教えをもらったような気がする作品である。

  • 当時の学問の中で「陽明学」から思想を創り上げ、その理論を長岡藩の政治に持って行った男?。当時も、現在も信じられない。
    封建制度がこれからの世では成り立たないことを解りながらも、徳川(とくせん)譜代の藩を護ることを選択せざるを得ない・・・。
    こんな男の人生。
    彼は戦国時代に生まれていれば、もっと自由に生きられたでしょう。
    そして最期に自分の棺を作らせ、自らの生と死を客観的に片づけられた男は幕末にもいないでしょう。
    司馬遼太郎さんが「峠」で描いてくれて良かった。

  • 今は、長岡市摂田屋町に住んでいます。
    小千谷の慈眼寺は、大雪で近付けなかったが
    確認しました。

    河井継之助記念館にも戊辰戦争長岡藩本陣の光福寺にも
    行けて満足満足!

  • 平成25年3月25日読了

  • 幕末の長岡藩(現在の新潟県長岡市)に生まれ、後に藩の家老となる河井継之助の一生を描く歴史小説。

    河井継之助の生き方を通して、人生哲学を読んだという印象。
    フィクションではあるが、若い頃から自分の力量を見極め、人の上に立つべく自分の思想を創り上げる過程が興味深い。
    早くから先見性を持ち、理想の国を作り上げるべく奔走する河井であるが、理想と現実の間でぎりぎりの駆け引きを行い、最終的には近代化とは相反する武士としての立場で、藩を巻き込んで死んでゆく一見矛盾に満ちた生き方が、魅力的かつ人間的であると思う。
    長岡市には記念館があります。

  • 矛盾の中に理想を求める。理解してもらうには難しい。理解できないのかもしれない。維新とは、何であったのか。

  • 封建制度の崩壊を早い段階で予見しながらも、幕府側に立ち、官軍と戦ったという河井の矛盾。それは、江戸300年の教養時代を経て、下克上といった類の私利私欲を完全に捨て去った、武士道の完成形であった。
    『幕末期に完成した武士という人間像は、日本人がうみだした、多少奇形であるにしてもその結晶のみごとさにおいて人間の芸術品とまでいえるように思える』

  • 小説や時勢の影響で大した人物でもないのに大物と思われてしまう人物が、まま存在する。西郷の使い走りだった坂本竜馬や、吉田茂の取り巻きだった白州次郎とかがその代表格だが、河井継之助もそのようだ。戊辰戦争の滅びの美学と言えば土方歳三ぐらいだったのを北越戦争の河井継之助を発掘して小説にしたのはさすが司馬さんだが、さすがに著者も迷いがあったのか所々に批判的な言葉があるのは本音なんだろう。自分の思想に酔って、現実の渦中で空想的な発想しかできず無益な戦闘をした愚者としてこの人物を評価しながら小説としては封建制の崩壊に殉じた最後の侍として描き、悲劇の英雄に仕立て上げた司馬さんの小説家としての技量はたいしたものだ。

  • うーん。レビューの高さに比例した期待値が高すぎたのでしょうか。惰性で何とか読み終えた感じです。話の濃さで言えば「竜馬がゆく」「坂の上の雲」に到底及ばない気がします。あくまで個人的主観ですが…

  • 幕末の越後長岡藩の河井継之助の話。百石取りの家柄の武士ながら幕末の時勢のため、執政家老に抜擢され越後長岡藩のために奔走するが、結果的には官軍(薩長)に滅ぼされてしまう。藩に召し抱えられるまでは江戸留学や諸国を放浪したり、横浜でスイス人商人や国籍不明の商人と懇意になり開明論的な理想を持つようになる。この遊学期間中に自分の思想に磨きをかけ、執政家老となったときには官軍を大いに苦しめたが、結果的には滅ぼされる。藩を巻き込んだとんでもない人生を送った。
    余談であるが、この当時からスイスは山に閉ざされた地理的な不利を、材料も完成品も小さくて済む時計を産業と輸出の主力とするという戦略で克服しているらしい。スイスのような単純明解(実行は困難だろうが)な戦略を幕末も今も日本は持てないだろうな。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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