- Amazon.co.jp ・本 (573ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101156453
感想・レビュー・書評
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多分ラスト近くという気持ちの問題だと思うんだけど、この巻と次に読んだ「獅子」が一番面白かった。
別段信之が好きという訳でも無いんだけど、猫田与助が居なくなってからのおもしろキャラとして彦四郎や梅春、そして最後まで久野にぶん回された角。
なんだろうね。あまり各大名のゴタゴタじゃなく人間味の巻だったきがする。
だからこそわかりやすくて面白く感じたのかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最終巻十二巻「雲の峰」
豊臣は滅び徳川の天下となり、家康も死去。
二代将軍秀忠の時代となります。
さて、時代劇などにおいて、大阪の陣での豊臣家家臣たちは「数年籠城して、家康が死んだら、有利な状況で和睦、千姫の父である秀忠は家康より交渉しやすいだろう」と考えていた…ように描かれますが、
あくまでも「後世からみると」ですが、
大名家も公家も押さえつけ取り潰し、風紀が乱れたと朝廷の女官たちも処罰させるような秀忠のほうがよっぽど怖い。
やっぱり”大阪の陣”というものを起こした時点で豊臣家に行く末はなかっただろう…。
…とまあ、こんなコワい秀忠政権下で、真田信之は真田家の行く末に暗いものを感じ、ますます身体を引き締めます。
そして草の者のなかでただ一人生き残った女忍びのお江さん。
上田に戻り信之の元で真田家を守るための忍び働きを行います。
信之54歳、お江さん65歳くらい?
まだまだ草の者としての腕前は超一流。
真田家を取り潰そうとする幕府との駆け引き。
このへんの描写は著者も実に楽しそうです。歴史に大きな流れは描いたのでこの長期小説をどう絞めるか、描きたい人の描きたいことを描くぞーという状態か(笑)
そして最終巻らしく、生き残った者たちの”その後”が静かに語られます。
穏やかな晩年を過ごす者、失脚する者、飼殺される者、失意のうちに消える者…。
そんな姿が静かに描かれます。
この長期連載のラストは、真田家が上田から松代に転封となるところで終わります。
これからは実直な昔ながらの武士のままでは生きられない政治の世界となります。そんな中古い時代を生き抜いた誠の武士である信之、古い時代の卓越された忍びの術を持つお江さんは老境に入ってもまだまだ隠居などしていられないようです。
お江さんについては…後書きで作者は「お江のその後を私は知らない」と書いています。「しかし彼女のことだからきっと長寿を保っただろう」。あとは読者の想像にお任せということなので、信之の裏で忍び働きしながら穏やかに老後を過ごしたと思っておきましょう。信之さんは94歳で亡くなるのだからこの先まだ人生は長い、身分を超えて良い茶飲み友達は必要だろう(笑)
そして後書では、真田家のその後が描かれて…終幕。 -
十二巻読破した、「読んで良かった」強く感じる。自分の人生で素晴らしい作品に出会えた、特にこの最終巻は大坂の役のその後であり、涙が溢れてくるような残された人々の人間模様、この巻があって良かったと安心する部分と戦死した人々の逸話が素晴らしい。この最終巻が物語を更に引き締めており長編作品に丁寧な結末が用意されていた気がしてならない。今まで読ませていただいた歴史小説とは違う自分自身の心の動きを感じ読書の素晴らしさに触れられたシリーズであった。
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【読了メモ】あ、あ、あ、終わってしまった、作品が。あ、あ。ああ、もう、ああしか出てこない。
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とうとう最終巻を読み終えた。
初めての歴史小説、初めての池波正太郎だったが、読みやすい文体でさくさくと読み進められた。
時々「〇〇は先に述べた通りだ」とか「話をもとに戻そう」などの語り口調で親近感ももてた。
それにしても、9年間も新聞連載されたとはすごい。
膨大な数の登場人物は、とうてい全ては把握できないまま読んだが、細かい人物描写で情景が浮かんでくるのが楽しかった。
読み終えてすこし淋しい。 -
伏線が全て1つにまとまっていく心地よさ。
これほど読後感の余韻に浸れる作品に出会ったのは何年ぶりだろう。
前11巻の内容は全て12巻を収束させるために描かれたと思われるほどに素晴らしい内容。
全12巻は長いが読む価値アリ。 -
1-12巻まとめて・・・。
私の歴史小説デビューの本。
どこまで史実でどこからフィクションか分からなくなってしまいそうです。
続きが気になって毎日読んで、読後は達成感で一杯になれます。 -
真田家、ほか草の者の活躍に心躍らせて、また読み通した。読むたびに、また新しい発見がある。歴史小説の面白さを改めて教えてくれた。
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真田家の存続に子を二手に
それも死をもって
家を守るとはどういうことなのか
歴史小説の常套テーマだが
その度に考えさせられる -
波瀾万丈の真田家の物語、ここに完結。
前巻にて大阪夏の陣が終わり、今作はその後の真田信之を中心に、主要登場人物たちのその後が描かれる。
全12巻、大変に楽しんだ。
真田父子3人のみならず、お江をはじめとする草の者たち、向井親子、鈴木右近、樋口角兵衛、滝川三九郎などなどの魅力的な登場人物たち。
真田一族の波瀾万丈の史実を中心に、草の者の活躍や真田家のお家事情などを絡めた、エンターテインメント性の高さ。
智、仁、勇で象徴される真田父子の生き様のカッコ良さ。
池波正太郎ならではの情感。
さすがに太平洋戦争を経験する世代の著者とあって、女性観などが現代の価値観からしてあまりに古いのが難点か。
とはいえ、歴史小説において、オールタイムベストクラスの面白さの作品だったと思う。 -
ついに12巻目読了。
12巻目は大坂夏の陣の後の、真田伊豆守信之のお話。
大坂夏の陣も終わって、世の中は平穏になり、大御所の家康も亡くなって、将軍秀忠の時代になった。
秀忠は、関ケ原の合戦に真田の妨害により遅参し、家康にこっぴどく怒られた。
この為、秀忠は真田を良くおもっていない。秀忠はなんとか口実を付けて、真田家を取り潰したい為、隠密を送りこむ。
しかし、信之は知略により、危機を乗り越えた。
世の中では、あまり知られていない信之に焦点を当て、語られている。
信之は父の昌行や弟の幸村に劣らず、天下を取るに足りる知将であったようだ。
信之の、小野のお通にたいする恋情や、草の者のお江の活躍など、面白かった。 -
高校時代にこれが原作のNHKのドラマが大好きだった。
いつかはこの作品にチャレンジしたいと思いつつ40年近く過ぎてしまった。
この最後の巻の辺りは記憶から抜け落ちてしまっていた。
大体、真田一族ものは幸村主人公が多く信之がこんなにクローズアップされるのはこの作品くらいだろう。
そういう点を除いてもこの作品が真田一族を扱った小説の中でも最高峰なのは間違いない。 -
小松殿…
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金大生のための読書案内で展示していた図書です。
▼先生の推薦文はこちら
https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=39376
▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BB0994144X -
久しぶりの超長編小説だったが、案外アッサリと読むことが出来た。
上田合戦、関ヶ原、大阪の陣と、主要なイベントを押さえつつ、真田家を取り巻く人々が魅力的に描かれていた。内容、ボリュームともに大満足。 -
とても長い時間がかかったが、最後まで読めたことがとても嬉しい。大河ドラマ「真田丸」をきっかけにこの小説を知り、古い作品だからと尻込みしていたところを思いきって読み始め、無事にここまで来られたとは…しみじみ。
最後までホッとできない真田家だった。秀忠が怖い。そして終盤までお通!信之は本当にお通を気に入っていたんだな。1人、また1人と長いお付き合いの登場人物が退場していく中、お江には助けられた。歴史小説として長く楽しめたのも、彼ら彼女ら草の者の存在があったからこそ。最終巻だからとしんみりせず、これまでと変わらず立ち回っていく信之やお江が頼もしかった。
贅沢言うなら十三巻も読みたかった(笑)また何年か経ったら1から読み直そう。 -
最終巻は、五十を越えて燃え上がる伊豆守信之の戦魂と恋情、住吉慶春とお江二人の忍び働き、そして幕府(秀忠)との闘い。いずれも面白い。
6月から読初め12巻を読み切って茫然としている。池波正太郎の歴史、人間、人生に対する深い洞察に感謝。楽しかった! -
ついに完結。ずっと疑問だったのは昌幸・幸村はなぜ戦うのか、ということ。秀吉が世から去り、徳川家によって長き戦乱が収まろうとしているのに、なぜこれに抗うのか。豊臣家が天下を治める器は無く、徳川家が天下を治める方が世のためなのに。戦国武将の血が活躍の場を求めてしまうのだろうか。
若い頃は幸村の鬼神のような戦いぶりに魅かれたし、世間一般にも幸村が人気を集めるのだろうが、今となっては信之がもっと評価されるべきでは、と考えている。