父の縁側、私の書斎 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101161525

作品紹介・あらすじ

父、檀一雄の思い出は、昔の家の記憶と共に蘇る。原稿に行き詰まった父が夜中に料理をしていた台所。友人坂口安吾を居候させていた書斎。父お手製の竹馬で遊んだ庭-。父は亡くなり、家は建て直された。現在暮らす家の煩雑な悩みは尽きることがない。けれど私の中には「生活すること」を愛した父の魂が息づき始めている-。深い共感と切ない郷愁を誘う、"家"にまつわるエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 向田邦子のエッセイを彷彿とさせるような感じ。

  • 小気味いいメロディのような言葉で綴るエッセイ。家の忌憚のないリアルと親への想い、そして住むということに対する率直な作者の気持ちが伝わってくる。
    改めて子供時代の想い出が自分を形成していること、そして住んでいた家にどれだけの記憶と想い出と感覚と、、、読んでいて自分も子供時代を思い出し、感覚が蘇ってくる本。良いことも悪いことも含めて大切な財産だったと気づかせてくれる。

  • 「檀ふみ」のエッセイ『父の縁側、私の書斎』を読みました。

    「檀ふみ」の作品は、「阿川佐和子」との共著(往復エッセイ)『ああ言えばこう嫁行く』以来なので、約4年振りですね。

    -----story-------------
    幸せな記憶を呼び覚ます、いとおしい私の家――。
    エッセイの名手「檀ふみ」が綴る、住まいをめぐる想い、父の思い出。

    父「檀一雄」の思い出は、昔の家の記憶と共に蘇る。
    原稿に行き詰まった父が夜中に料理をしていた台所。
    友人「坂口安吾」を居候させていた書斎。
    父お手製の竹馬で遊んだ庭――。
    父は亡くなり、家は建て直された。
    現在暮らす家の煩雑な悩みは尽きることがない。
    けれど私の中には「生活すること」を愛した父の魂が息づき始めている――。
    深い共感と切ない郷愁を誘う、“家”にまつわるエッセイ集。
    -----------------------

    「檀一雄」のことを妻「ヨソ子」の立場から描いた「沢木耕太郎」のノンフィクション作品『檀』を読んだので、、、

    娘「檀ふみ」の立場から見た「檀一雄」って、どんな人物だったのかなぁ… という興味から本書を選びました。

    タイトルや表紙の装丁(写真)から、父親「檀一雄」のことを語ったエッセイかと思っていたのですが… 読んでみると想像とは、ちょっと異なりましたね、、、

    「檀一雄」のことも描かれているのですが、大半は家(住宅)と家族に関するエッセイでした… それはそれで面白かったんですけどね。

     ■能古島の家 ― 月壷洞
     ■建てたそばから後悔は始まる
      ・「好み」って何?
      ・雨の音を聴きながら
      ・無駄の必要度
      ・バリアフル
      ・この家、大好き!
      ・床の間が欲しい
      ・風呂と日本人
      ・夢のトイレ
      ・屋根裏から
      ・別荘には目玉がいる
      ・おこたの間
     ■石神井の家 ― 瓦全亭
     ■他人の住まいはよく見える
      ・保護色
      ・理想の書斎
      ・贅沢の階段
      ・望ましい隣人
      ・キウイ・ハズバンド
      ・イヌ小屋? ウサギ小屋?
      ・靴のまま、どうぞ
      ・スープのぬれない距離
      ・隣の芝生
     ■離れ ― 奇放亭
     ■思い出は日ごとに美しい
      ・いつか夢に見る日まで
      ・心の縁側
      ・食卓の春秋
      ・表札はどこへ行った?
      ・春を忘れるな
      ・親父の居場所
      ・真夜中の料理人
      ・明るいほうへ
     ■死んだ親があとに遺すもの
     ■モノは限りなく増殖する
      ・絨毯、こわい
      ・モノものがたり
      ・適材適所
      ・新しい人生
      ・あたりはずれ
      ・とりあえず……
      ・思い出とともに
      ・ダメだ、捨てられない!
      ・名画の見つけかた
     ■みんないとしい あとがきにかえて
     ■文庫版あとがき
     ■生活者の視点で描かれた優れた「住宅論」 中村好文


    住宅って、デザインと住みやすさ(機能性)のバランスが大切なんだなぁ… と感じましたね、、、

    そして、昔の日本家屋の良さを再認識しました… 子どもの頃に過ごした家には、土間があり、縁側があり、縁側には沓脱の大石があって、外と内の境界線をキッチリ引かず、外と内の両面を持った心地良いスペースがありましたよね。

    懐かしいし、それらがコミュニティを育む大切な機能を持っていたんだなぁ… と改めて感じましたね。


    それにしても、「檀一雄」って人物は、知れば知るほど、マイペースな人だったんだなぁ… って思いが強くなります、、、

    でも、その一方で、不思議な魅力を感じるのも事実… やっぱり、『火宅の人』を読んでみるかなぁ。

  • 読んだのは新書だったので表紙は文庫版の方がいいなと思いました。私は縁側のある家に住んだことがないので、いつか住んでみたいと思いました。

  • 壇一雄の長女壇ふみが語る家・家族の記憶。

    昭和初期から小説家として活躍した壇一雄の娘で俳優・エッセイストである壇ふみが幼少時代からの家と家族の記憶を綴るエッセイです。

     放蕩で放浪癖があり自宅を何度も取り替えた父親への想いと転々とした懐かしい家の思い出をスケッチを交えて綴る知的で柔らかく・優しい言葉は緩やかで精神的な豊かさが感じられます。

     特にこの作品では家(住まい)の思い出が多く綴られているのですが現在では珍しい縁側は家族やご近所にとっての社交の場であり、父の友人である坂口安吾が居候した書斎の描写、一雄の書斎の多さに普段気にもかけない人様のお家の事情に少なからず嫉妬する思いです。

     感覚的な事ですが作中に家の”明るさ”が暑くるしいという場面で私も全く共感し実践している次第です。電燈等で夜中は勿論昼間から煌々と明るいのは何だか暑苦しく落ち着かないのです、柔らかい明かりで多少暗いぐらいの感じが心も身体も休まる気がし作者の繊細な感覚と文章表現に感銘を受けました。

  • どんな家に住みたいのか、この本を読んで自分の理想が具体的になった気がする。特に土間の役割、縁側の役割の話はなるほどー、素敵だと感動した。壇さんの文章は知的でおもしろく、独特の温かみもあって、心地よかった。

  • こんなに面白い文筆家がいるとは知らなかった。檀ふみさん。ちょっと特殊な家庭だったと言えば、それまでだが、住むということについての、観察眼と描写の確かさには、驚く。また、ユーモアのセンスも素晴らしい。

  • 2019.9月。
    家と家族と暮らし。家って大事だなあって思う。家っていうハードに影響される部分って大きいから。娘目線のエッセイが素敵だった。

  • 家の思い出から父への愛情が伝わってきた。もし一軒家を建てるなら土間か縁側を作りたくなる。

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著者プロフィール

女優。「日本の面影」「藏」「花燃ゆ」「山桜」など国内のドラマ、映画に数多く出演する一方で、NHKと英BBC、米KCETとの共同制作ドラマや、オーストラリアでの舞台にも参加。司会を務めた「N響アワー」「新日曜美術館」では、クラシック音楽や美術の楽しさを、「日めくり万葉集」では古典の素晴らしさを伝えてきた。また、エッセイも好評で、『ああ言えばこう食う』(集英社、阿川佐和子氏との共著)はベストセラーとなり、第15回講談社エッセイ賞を受賞している。他に『父の縁側、私の書斎』(新潮社)『檀流きもの巡礼』(世界文化社)など、著書多数。

「2018年 『天皇交代 平成皇室8つの秘話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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