ネコはどうしてわがままか (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101164731

感想・レビュー・書評

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  • 雑誌に掲載していた動物行動学についてのエッセイをまとめた本。
    前半は、カマキリとか、雀など、個々の動物を取り上げて、面白い行動やその理由を説明するもの。
    後半は、「選ぶ」とか「落ち込む」といった動物の行動をテーマにして、いろいろな動物を横断的に綴っていくエッセイ。
    後半のタイプの方が、新鮮な感じがして、楽しく読めた。
    特に、食器棚から落ちて落ち込んだ日高家の猫のエピソードがなんともおかしくて、印象的だった。

    ところで、本書の中に出てくる、カマキリの産卵の話。
    カマキリは卵が雪に埋もれて孵化しないことがないよう、雪の高さ以上の場所に産卵する、という説を紹介していた。
    その文章の中で、高いところに生み付けようとすることは説明できても、積雪量をどうやって予測しているのかが謎だ、と言っていた。
    それで、さっきネットを調べてみた。
    すると、カマキリの卵は雪に埋もれてもちゃんと孵るそうで、この説は今は否定されているとのこと。
    他の話も、こうやって、今も少しずつ学説が塗り替えられているのだろうな、と思った。

  • 動物行動学者の独特な視点から描いた動物や虫たちのお話。
    タイトルに惹かれて買ったんだけど、短編集で、猫のお話はほんのちょっとでした。笑
    私はどうしても虫全般が苦手なので、読んだのは少しだけ。

    ちなみに、ネコがわがままに見えるのは、犬が群れで生活する習性なのに対し、ネコは元々群れない単独性の生き物だからだそう。
    (犬はパック•ハンターというらしい)

    ネコが群れる?のは、親と子の関係だけ。
    子猫がお腹空いたらニャーと親を呼ぶ。
    でも親がニャーと呼んでも行かない。
    面白いね。

  • 古本で購入。

    動物行動学の第一人者、日高敏隆が雑誌に連載したエッセイをまとめた本。
    四季の『いきもの博物誌』と、人間行動を表す動詞と生物行動の類比について書かれた文章の、2部構成。

    生き物たちが自分自身の適応度増大(自分の遺伝子を持つ子孫をたくさん残そうとすること)のため、あるいは生き残りのためにつくり上げた戦略というのは、今更ながら見事なものだと感心させられる。
    「夏だねぇ」なぞと人間がのんきに聞いているカエルの大合唱も、当人(当蛙?)たちには嫁探し・子孫づくりを賭けた熾烈な競争なのだ。
    犬についてのエッセイ「イヌは散歩が生きがい」は、犬好きとしては「えっ」とちょっとがっかりさせられてしまった。

    1篇3ページほどのエッセイなので、気軽に読める。ついつい誰かに話したくなるようなネタが満載で楽しい。
    著者は2009年に亡くなってしまったけど、遺された文章はどれもあたたかで味わい深い。

  • 読書録「ネコはどうしてわがままか」4

    著者 日高敏隆
    出版 新潮社

    p100より引用
    “ムカデを好きな人は、まずほとんどいない。ぼくは商売柄たい
    ていの虫によい意味での関心を示すが、ムカデだけはだめである。


     動物行動学者である著者による、動物たちの日々の生活を通し
    て世の中を見たエッセイ集。
     季節ごとの生き物の生活についてからいきものの人間臭い行動
    についてまで、穏やかな文章で綴られています。

     上記の引用は、ムカデとヤスデについて書かれた項の冒頭の一
    文。黒とオレンジを基調としたいかにもやばそうな色合い、あれ
    だけの数がなめらかに動く脚、長い胴体がうねりながら歩くさま、
    そして実際に被害にあう噛み付きと毒、ムカデが得意な方はかな
    りの強者でしょう。黒焼きにすれば精力剤になるらしいですが…。
    田舎住まいの方ならば、暖かい季節の夜に寝ていて、天井からム
    カデが落ちてきてえらい目にあった経験を持っている方は多いの
    ではないでしょうか。
     他の著作同様に優しく心地良い一冊です。

    ーーーーー

  • 表紙のかわゆさよ♪

    なるほどに~そういえば大島弓子氏も
    ネコは親子関係しかないから、ネコがこちらを
    親と思ってるか子と思ってるかどっちかで
    それはときどきによって入れ替わるってなようなことを
    本で読んだって書いておられたなぁ。

    だとしたら、ネコを呼びたいときは
    子猫のような声で悲壮な感じでニィニィ言えば来てくれるのかも☆

  • 動物・昆虫に関するエッセイ。
    人間からするとささいな行動でも動物にとっては大きな意味のある行動であることなどが書かれていて面白い。色んな説が紹介されているが、本当のところどれが正しいかわからないのも、動物学の醍醐味なのかもしれないと思った。

  • エソロジーという分野に激しく興味を抱かせてくれた日高氏の本だ。
    今は文庫本化されてるからありがたい(o^^o)

  • 忙しい日々の合間、難しい本の合間に手軽に読める、動物のなるほど本。
    専門的な部分はいっさいないので、頭が疲れているときに読むと良いかも。
    1話の枚数が少ないから仕方ないが、もう少し詳しく書いてほしくなる。。。
    ちなみに、猫についてはほとんど書いていません。虫の方が多い。

  • GUEST 036/ジャズピアニスト・山下洋輔:スミスの本棚:ワールドビジネスサテライト:テレビ東京 http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/blog/smith/2011/06/post115283.html




    動物行動学の大家、故日高敏隆さんの本です。ネコ、イヌ、トンボやてんとう虫など、36の生き物の意外な行動秘話が詰まっていて、筆力があり、読ませます。
    続きはこちら→
    スミスの本棚特別編 コメンテーターが薦める「旅先で読みたい本」
    http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/blog/smith/special.html#book04

  •  タイトルに惹かれて読んでみたら、ほとんどネコの話はない・・・様々な生き物の「へぇ」を集めた短編集。意外と周りの生き物たちが人間くさい、というのが面白い。モテない鳥の雄は、「スネ」て形式だけの毛繕いをし、メスはそれが本気度のサインと見る・・・動物の世界は深いですね。しかし、生物学者のユーモアに満ちた文才にはいつも驚かされます。ちなみに、名著「利己的な遺伝子」の訳者です。

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著者プロフィール

総合地球環境学研究所 所長

「2007年 『アフリカ昆虫学への招待』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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