- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101167312
感想・レビュー・書評
-
読みやすさ ★★★★★
面白さ ★★★★★
ためになった度 ★★★★
何回めの通読だろうか。私にとってはバイブルともいえる名作の一つ。スパゲティの食べ方、山口瞳に教わったという校正のこと、クラシック音楽と楽器についてなどなど、粋であるとはどういうことか、この本から多くを学んだ。60年以上も前に書かれたが、いまだ色褪せない一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本は友達が持ってたので、「伊丹監督って本書いてたんだ!」と初めて知り、ブックオフで新品同様105円で売ってたので『女たちよ!』とともに購入。なんなのブックオフ・・・そんなに安くていいの?・・・。それと、フォロウィーさんが『女たちよ!』について書かれてたのが積んでたのを読むきっかけになりました。
ウィキペディアに「気障」とあるけど・・・いや、そうは感じなかった。
本屋によくある「男の○○」「モノ」的な雑誌、あれが大嫌い。まず装丁が下品。ファッション誌に限らず雑誌全般に僕が求めてるものは多いけど、「ファッション」を語るならまずデザインに拘るべき。そして「ファッション」を語るなら根っこにある文化も語るべき。
「雑誌」であるなら、インターネットの直線的検索では得られない、「雑多な内容」を入れるべき。目当ての記事以外の変な記事やコラムも面白くなければ雑誌の意味がない。
つまりファッション誌が自分に合うかどうかは、映画や音楽の記事でも趣味が合うかどうかがひとつの目安になってる。雑誌不況の時代、面白い雑誌は少なくなりました。
ちょっと前に『プレイボーイ』誌の名物編集長のNHKのドラマを観まして、これが面白かったんですが・・・開高健の『風に訊け』連載秘話があったりして。
あと北方謙三の「とりあえず女を抱け!」とかですね、ああいうやつ・・・いや違うか・・・。とにかくそういう、「男の生き方」についての連載、指南役のさきがけだったのではないかと。
とくに気障に感じなかったのは、僕が好きなファッション誌の条件にピタリと合うから、非常に品があるからだと思う。連載は『婦人画報』でされてたようで、それもあるかも。『ホットドッグプレス』の北方先生はハードボイルドだけど上品ではないよね(笑)。
もうひとつは、'60年代前半に書かれたものだということ。バブルとグルメブームがあったので、当時と今では全然違う。当時だと海外の情報があまりなかったと思うので、そりゃあハイカラでハイソだったに違いない。
でも、今読んでも知らないことばっかり!!すごく為になる。★を減らしたのは、「結局は金」という感じが若干したから。あとの方まで読んでくとなんとなくわかる部分が多い。
まず面食らったのは22頁の「工事中 road work(それにしても日本の under construction というのはどこから出たのかね)。」という記述。ハァ?と。何言ってんだこの人?と。のちのち意味がわかってくるけども、徹底的にアメリカ人は田舎者だとこき下ろしてる。これは・・・敗戦体験が大きいのかも。
日本人がわりとシンパシーを感じるのは、たぶんイギリスとイタリア、ドイツとかだと思う。ヨーロッパの国も日本も、皇室の歴史が古い。終戦時にアメリカはたかだか170年ぐらいの歴史しかない・・・。ついでに、これはアメリカ人の発言ですけど、「内陸部に宗教右派が多いのはアメリカの歴史が浅いせいもあるかも」とか。
話は続き、日本に対する愚痴、罵詈雑言がどんどんエスカレートするのが非常に面白い。で「どうなるんだろう・・・」と思ってたら、最後にちゃんと考察されてるんですよね。特に、街並みの話。ここがね、よかったですね。
当時、伊丹さんは29歳ぐらい。まだ若い。これはみんなそうだと思うんですが、外に出ると自分のところの悪いとこが目に付くというね。でもそれだけじゃなくて、逆に日本の良い部分、残すべきものも見える・・・日本に対する愛情ですね。
映画の話、車の話、ファッションの話、語学の話、音楽の話・・・
やはり一番面白いのは食べ物、食文化の話。アーティチョーク・・・アーティショーを無性に食べてみたくなる。アーティチョークなんて食べ物は最近まで知らず、『フォロー・ミー』という映画でロンドンの通りに食べ物の名前がついてるのが多いというので知りました。
マティーニも飲みたくなる・・・007。
『タンポポ』の有名なスパゲティのシーンは、この本があってからの崩し、さらにその上に風刺っていうことなんだろうと思う。読んで気付きました。
チャールトン・へストン、ピーター・オトゥール、三船。
三船の話はオモロいなあ。
この本は語ることが多すぎて困る。
教科書ですね、ほんとに。 -
全体から漂ってくる倦怠感がたまらない!
林望のイギリスはおいしいが好きだったので、近い物があってさくさく読めた -
もしも私が1965年の日本の高校生だったらこの本に感銘を受けてイタミストになっていたこと間違いない!
雑誌ku-nelで中村好文が伊丹十三について書いてたので興味がわいて読んでみた。
大層キザだと懸念された文体はさして気にならない。
1950年頃のヨーロッパの風習などがありのままに書いてあってとっても興味深い。
スペインにおける文盲率の高さに対して既にその点は先進国な日本。誇りを持ってお国自慢をするって、今の日本人には今ひとつピンと来ない感覚よね。でも悪い気はしない。本来はそうあるのが理想だと思う。
しかし何より驚くのは伊丹十三のセンス!!
もっと読もう。 -
一生繰り返し読みたい本
-
天が一人に二物も三物も与えることはよくありますが、これもその一例です。
目の付け所、独自の考察、それらの思考がたまたま文字という形態を取ったとしか言えないような、無理のない自然な文章。その上なんですか、あの味のある美しい絵の数々は・・・ -
偏屈と愛。天才です。
-
結構前に読んだ作品で内容はあんまり覚えてない(ごめんなさい)んだけど、筆者の語り口に驚かされた。
また再読しよう… -
いやーよかったな、文体がとても好きでノートに書き写すのが捗る
-
俗物的なものをとことんこき下ろす。斜めに構えた独自の視点。俳優、デザイナー、映画監督多才ぶりが分かるエッセイ。
決して嫌味にならないところが楽しい。中途半端なスノッブを否定している。
酔っ払いのボヤキに近いと思ったらそれもろのほず。山口瞳の影響が大きいようだ。
俳優、監督などこれだけマルチな方も珍しい。