井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室 (新潮文庫)

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制作 : 文学の蔵 
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101168296

感想・レビュー・書評

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  • 自分にしか分からないことを、分かりやすい文章にするにはどうしたらいいか。
    「文章」教室ではなく、「作文」教室と銘打ったのはその基本を学ぶためだとのことだった。
    たしかに、それができることがどれだけ大変なことか。

    そのために、原稿用紙の使い方、助詞・助動詞の使い方、辞書との付き合い方など、具体的な方法も示されていた。
    段落の分け方は…これはいいと思う作家の段落分けを研究しなさい、とのことだった。
    段落についてはちょっとはもう少し聞きたかったけれど。

    「むずかしいことをやさしく」の文章は、こういった基礎の上に成り立っているんだろう。

  •  井上ひさしの「作文講座」。一関での講演を本にしたもの。文章の書き方は参考になる。
     2時間目の日本語の言語についての講演は、眉唾が多くて残念。

  • ・自分がいま一番悩んでいることを書く。
    ・自分を研究して自分がいちばん大事に思っていること、辛いと思っていること、嬉しいと思っていることを書く。
    ・一番大事なことは、自分にしか書けないことを誰にでもわかる文章で書くこと。
    ・自分にしか書けないことを書くとは、自分に集中すること。
    ・自分を徹底的に研究する、「自己本位」が小説の基本。
    ・読み手のことを考えて書くことが、実は誰にもわかるように書くこと。
    ・書いたら終わりではない。読み手の胸に届いた時、自分の書いた文章は目的を達成し、そこで文章は終わる。
    ・短期記憶のキャパシティーに合うように文章を書く。
    ・優れた文章書きは、なるべく小さく千切ったものを、相手に次々提供していく。
    ・みなさんだいたい下書きを書く。そうすると、だいたい前の方はいらない。
    ・いきなり核心から入ることが大事。
    ・自分をさす人称代名詞は、ほとんどの場合削った方がよい。
    ・文章が複雑になって長くなるときは、必ず先触れの副詞を使うこと。「かならずしも」「けっして」「ちっとも」「たいして」は否定で結ばれる副詞。
    ・接続詞を使いすぎてはならない。「ので」「ために」「から」「ことにより」理屈を連れてくる言葉は接続詞。理屈をこねるといいことを言った気になる。
    ・「~が、~」は使わなくていい。全然つながっていないのにつながっているように見える。「今日は雨だが、部屋で弁当を食べた」でもなんとなくつながる。けれど、読み手の短期記憶のキャパシティーが混乱する。
    ・「誠実さ」「明晰さ」「わかりやすさ」が文章で大切なこと。
    ・まず、ものをよく見る。その見たものを、そのまま書く。
    ・「は」と「が」の違い。知らないものが初めて出てきたときには「が」を使う。読者が既知のものには「は」を使う。「象は鼻が長い」。「みなさんよくご存じの象という動物について言えば、鼻が長い」。

  •  原稿用紙をどう使うか、題の付け方など、文学の大家井上ひさしによる作文教室。
     作文の秘訣は自分しか書けないことを、だれにでもわかる文章で書くこと。読み手のことを考えることが大事。字引を自分のそばに置いておく。
     下書きをしてみる。そうすると、だいたい前の方はいらない。いきなり核心から入ることが大事。「国境を越えると雪国だった」は、トンネルに入って、しばらく走ってみるとトンネルを抜けた。すると雪国だったでは、恐らく時代を超えて残らなかっただろうと。
     また、日本語の特徴にも言及している。彼が言った、彼女が言った、という英語にあるような文章は必要ない。日本語には、性別があるのだ。観察する、要約する、報告するといった文章をたくさん書くことが大事だ。人に分かり易く伝える文章は、単純なものを確り積上げていった結果でもある。
     文章を大切にしようと思える一冊。国語、文章に愛を感じる良書。

  • おもしろかった。
    最後の作文の添削のところをもっと読みたい。

  • 今まで読んだ「文章の書き方」でこんなに具体的なのは初めて。技術的な面もそうだが「表現の意味」が伝わるからだ。「国語の時間」と双璧をなす国語教師必読本。

  • 「自分にしか書けないことを誰にでもわかる文章で書く」

  • 「自分にしか書けない話を、誰にでも分かる文章で書く。」

  • 「自分にしか書けないことを誰にでもわかる文章で書く」のは難しいです。
    日本語の使い方もわかります。

  • 文章を書いてみようかな、って思える本。

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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