- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101171197
感想・レビュー・書評
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ブラックユーモアのオススメにあったので、いつか読みたいと探していたけど、昭和40年代の本だったとは。手にする事が出来ただけでもラッキーだったのかも。バーコードもついてないし、定価320円。
ショートショート24編。50年も前の雑誌や新聞に掲載された短編なので…最近の文章とは言い回しに違和感を感じたりするところがある一方で(そこも面白い)、お話はどれも面白かった。
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筒井康隆のアイディアが冴え渡る至高のショートショート集。わずか10ページ足らずのショートショートばかりではあるが、読み応えがあり、どれもしっかりとオチのついた傑作ばかりである。「猛烈社員無頼控」は猛烈社員という題材にやや古さは感じるものの、新人研修の結果、シバキ主義になったり自尊心ばかり膨れ上がったりするというのは現代でも通じる話で、そうなってしまった男の滑稽さを描いた短篇である。表題作の「くたばれPTA」は表現規制団体の非論理性を鋭く描いた傑作であり、俗悪に権利無しとでも言わんばかりの暴虐ぶりは妙にリアリティがあって笑えない。興味深いのは味方であったはずの子どもたちさえ敵に回るという描写である。子供向けホビーを見れば分かる通り、確かに子どもはマスメディアのコントロールの影響を非常に受けやすい。またパブリック・エネミーは悪という子どもの善悪の基準を植えつけたのは主人公のSF漫画家というのも面白かった。そして子どもの尊厳を得るために悪堕ちするというオチも皮肉が効いてて良い。「女権国家の繁栄と崩壊」はフェミニストが主権を取ったた男以上にマチズモになるという矛盾点を突いているのが面白いが、やや女性蔑視に過ぎる描写が多いので苦手な人は苦手かもしれない。ただこの俗悪さこそが筒井康隆と言っても過言ではない。「20000トンの精液」は処女アイドルが10億の男の慰みものとなって3Dセックスに興じるという物語で、現代のアイドル幻想を端的に表現した傑作である。ルナティックと呼ばれる陰茎にコントロールされて性欲をむき出しにした男性ファンや、嫉妬めいた憎悪の視線をぶつける中年女などの描写が凄まじい。ラストの付き人の男に襲われるというオチも良く、「10億の男と寝たお前がおれと寝るのを嫌がるのか」「有名になることとひきかえに誤解させることを選んだのだ」という台詞のおぞましさは非常にリアルで、声優や地下アイドルに群がる狂信的なファンの言動に対する筒井の予見力の高さに驚いてしまう。アイドルの処女性、いわばアイドル幻想に対して「それはどうでもいいことだったんだ」「まったく、とるに足らない、つまらないことなんだ」言及しつつ犯すというオチは非常にえげつないが、ショートショートとしての完成度は非常に高かった。どのショートショートも名作揃いではあるものの、やや表現が過激なので読む人間を選ぶだろうが、筒井節を楽しみたい人間にとっては必読の一冊である。
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星新一のショートショートをめちゃくちゃ読んでたから、お父さんが筒井康隆の短編集をくれた
好きだった〜!星新一よりもブラックが効いててリアルででもSFで。辛口なの大好き他のも読む〜! -
筒井ワールドといった黒いアイデアに溢れており、楽しめた。
ただ、誰かに勧めるのには躊躇してしまうかな。 -
短編集というには短過ぎるストーリーが次々と楽しめた。しかも想像力豊かなSFの連続でした。後半にくると徐々にダークな実社会を感じさせる話に変わってきた気がします。
いずれの話も遠く時代を遡る頃に書かれたと思いますが、当時の作品としては思い切った題材だったのではないでしょうか。 -
面白い。
昭和40年代に書かれてるのに現代を予言しているかのような、これからの未来が見えるような、
ブラックのかっこよさを感じます。 -
「かゆみの限界」に尽きる
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この作品における筒井さんの描く女性たちが、気の強いヒス持ちばっかりで面白かった。
「2001年公害の旅」「20000トンの精液」「モケケ=バラリバラ戦記」が好きだった。筒井さんのブラックユーモアが好きだと思った。 -
俺もそう思います
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「モーツァルト伝」が最高。
これも密度が凄い。