花埋み (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101176017

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  • 初婚相手にうつされた膿淋がはじまりだった。
    男医者に恥部を見せる屈辱が忘れられず、女は医者を志す。

    荻野ぎん、のちの荻野吟子という日本人女性初の医者が誕生するまでと、それからを描いた長編。
    家族の反対を押しきり
    師匠のプロポーズを断り
    男性だけの学校で執拗な嫌がらせを受けたり
    彼女が挫折する要因はその人生の中で幾度も幾度もあった。
    しかし、彼女は医者になる。

    「男から受ける側の女である性」と立ち向かいながら、彼女は女である私たちに励ましをくれる。

  • 明治時代にこんな酷い男尊女卑があったなんて。

    吟子は辛い目にあっても気を強く持って執念を持ち続けてお医者さんになる。頭がさがる。
    医者になるまで頑張り過ぎて、なってしまったあとはなんとなく 張り続けていた気持ちが切れてしまったような気ががする。再婚相手も吟子に釣り合わなかったのではないか。

  • 日本初の女医のおはなし。努力に努力を重ねる姿は尊敬にも値したが・・・若い男に振り回される人生後半が非常に残念で勿体ないと感じてしまった。最後まで崇高に生き抜いて欲しかったがそう思いとおりにはいかないなぁ~。と感じた一冊。

  • 日本最初の女医、荻野吟子の生涯。苦難を乗り越え、女医と社会活動家として確固たる地位を一旦は築いた。明治という時代の風潮に抗するパイオニアである反面、ひたすらにその頑固一徹さが、時代に翻弄されたといってもよい。果たして、本人にとって満足な一生だったのだろうか。11.12.10

  • 日本初の女医、荻野吟子さんの生涯。

    明治初期に、今では想像できないくらいの苦労をかさね、高い志と折れない心を持って、ついに女医として開業した吟子。
    その姿は、自分には到底できないものであり、時代の先駆者とはこういう人かと、偉人伝を読むような感じだった。

    それだけに、後半彼女が選んだ道とその末路は、残念な気がしてならない。
    結婚して、結局は「女」であることに甘んじてしまったような、燃え尽きてしまったような。

    彼女がそれで満足してたなら、いいが…

  • 高校3年の時、読書感想文を書くのに、確か購入した渡辺淳一さんの初めて買った本。

著者プロフィール

1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒。1970年『光と影』で直木賞。80年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で吉川英治文学賞受賞。2003年には菊池寛賞を受賞。著書は『失楽園』『鈍感力』など多数。2014年没。

「2021年 『いのちを守る 医療時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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