海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 1 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181325

作品紹介・あらすじ

ローマ帝国滅亡後、他国の侵略も絶えないイタリア半島にあって、一千年もの長きにわたり、自由と独立を守り続けたヴェネツィア共和国。外交と貿易、そして軍事力を巧みに駆使し、徹底して共同体の利益を追求した稀有なるリアリスト集団はいかにして誕生したのか。ヴェネツィア共和国の壮大な興亡史が今、幕を開ける。「ルネサンス著作集」中の大作、待望の文庫化、全六冊。

感想・レビュー・書評

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  • 「ローマ人の物語」に比べて、導入時はあまりページを繰る手が進まなかった。アッチラやロンゴバルトに追いやられながら沼沢地帯に住まざるおえなかった彼ら。だが、そこからがすごかった。基本戦略を経済第一に置き、海を縦横無尽に飛び回る逞しい姿が描かれていて、話しに没入する。飛躍の戦略を作ったピエトロ・オルセオロ、そしてラテン帝国の産みの親、エンリコ・ダンドロ。この二人の元首がベネチア共和国を強国に押し上げたということを学ばせてもらった。興奮冷めやらぬうちに2巻へと進みたい。

  • いつか読みたいと思っていたシリーズ。
    ヴェネツィアの成り立ちから、船の発達、第4次十字軍。歴史の合間にヴェネツィア特有の事象の説明があり、また歴史へ。水の都として今も残るヴェネツィアの歴史が巧みに紐解かれていている。

  • ベネツィアの誕生から、第四次十字軍まで。

    一気に「読ませる」文章力は相変わらず。イタリアに対する贔屓っぷりも相変わらず。
    第四次十字軍に対する擁護は滑稽ですらある。「モラリストぶる」(235頁)必要がないならここまで必死に擁護しなくてもよいのでは、と思ってしまうが。

  • 中世においてさえ、キリスト教の教義よりも自国の利益を優先させていたヴェネツィアだが、トランプ大統領の“アメリカ・ファースト”みたいな傲慢さが感じられないのは、資源に乏しく人口も十分でない中、生き残る為には大国相手の外交努力を怠らず、いざ戦争となったら、国を挙げて戦わざるを得なかったから、か。

  • ローマ人の物語を読み、この本と並走する十字軍を読んだら
    やっぱりもう一度最初から読みたくなってしまいました、海の都の物語。

    ローマ滅亡や十字軍の背景があるとより一層、リアルにヴェネツィアの歴史を感じ取る事ができます。

    また、塩野七生独特の語り口が

    では現代の我々はここから何を学びとる?

    と常に問いかけます。

    ロシアのウクライナ侵攻、台頭する中国。
    通商国家として生きたヴェネツィアの末期に、似ています。
    読み直すとしたら、、
    やっぱり全部読んでください。
    前回、印象に残らなかった箇所も、今回は響くところが多いはずです。

  • 本書はヴェネツィアの歴史を紐解いた書籍の第1巻に当たりますが、おもにヴェネツィアの生い立ちから第四次十字軍遠征でのヴェネツィアの役割までが明確に記載されています。塩野氏の本はいつも思うのですが物語的トーンと叙述的トーンがうまい具合に合わさっていて、どちらかのウェイトが大きいと退屈すぎるか、胡散臭くなってしまうのだが、そうならず読者を飽きさせない記述になっています。下手なガイドブックを読むよりはこの本を読んでからヴェネツィア観光したほうがよっぽど感慨深いだろうなと思いました。
    キリスト世界でもなくイスラム世界でもない日本の塩野氏が描くヴェネツィア像はある意味世界的に見ても中立的に書かれているのだろうかと思いながら読みました。お勧めです。

  • 理解力、教養不足でわからないところも多かったが、取り敢えず読了。ヴェネツィアの土木建築や戦法の細かいところまで親切に解説してくれている。
    塩野さんはひたすら平和主義の教育ばかり受けてきた私に、新しい視点をくれる。戦争反対の理由にもっぱら文明の破壊や残虐さが挙げられる。もっと広い、歴史的な観点からみれば戦争にも利点がある。平和主義者だからこそ、戦争のリアル、長所短所を理解しなければならないと思った。

  •  塩野七生さんの「ローマ人の物語」は、とてもとても良かったので、こちらも期待して読んだ。
     時系列としてはローマ帝国滅亡後の歴史だが、書かれたのは「ローマ人の物語」よりこちらが先。

     「ローマ人の〜」と比べるとやや学術的で、肉薄するような描写に欠けると感じた。残っている資料や研究量、それと筆者の筆力の成熟度の差によるのかもしれない。

     ヴェネツィア人の徹底した合理主義、宗教と政治に一線を置くスタイルは、亡きローマ帝国のスピリッツが、ここヴェネツィアに脈絡と受け継がれていると感じた。

  • 『コンスタンティノープルの陥落』、『ロードス島攻防記』、『レパントの海戦』の三部作を読んで、地中海世界におけるヴェネツィアの独特の地位について、だいたいの雰囲気は分かった気になっていたが、この長篇で全体像を見直してみようと思って手に取った。

    潟の上に杭を打ち込んで石を乗せて街を作る、という最初の発想からしてすごい。近くにゲルマン人が迫ってたとしても、信じがたい。

    第四次十字軍がラテン帝国をつくるくだりは、東ローマ帝国の跡目争いと絡んで随分ドラマティックだ。

    残る五冊も楽しみだ。

  • ソースが曖昧なドキュメンタリーの光景をヴェネツィア共和国一千年の冒頭にもってくるか。中世奴隷貿易の買い手よりも簡単に調べられるような気がする。

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