機巧のイヴ 新世界覚醒篇 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101207926

作品紹介・あらすじ

「あなたは、どなた?」少年が彼女の冷たい体を抱きしめるとき、運命の歯車が廻り始める──。1892年、万博開催を翌年に控え、空前の賑わいを見せる新世界大陸の都市・ゴダム。万博の利権を巡る人々の争いが繰り広げられる夜、パビリオン「十三層」の頂上で、機巧人形・伊武が永の眠りから目覚めた。機巧と人間。本当の“心”を持つ者は誰か? 未曾有の世界に魂が震えるSF伝奇小説の傑作!

感想・レビュー・書評

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  • 「あなたは、どなた」?少年が彼女の冷たい体を抱きしめるとき、運命の歯車が廻り始める──。

    いやぁ~痺れますね~

    SF×伝奇=未体験ハイブリッド小説!!

    シリーズ第1作を読み終えたのが2022.12.29、あまりの面白さに続編を購入し、手にとるまで約8ヶ月...
    何やってたんだよ~って心の声が聞こえる間に物語の世界は100年経っていました(笑)

    シリーズ第2作となる本作は前作と違い所謂長編物で、江戸時代を彷彿させる舞台から100年後(明治~大正)を彷彿させる時代へと進み、日本を彷彿させる日下國から1893年にシカゴで開催されたコロンブス万国博覧会を彷彿させる世界コロンビア博覧会へと移ります。

    正直に言うよ、カタカナ名の登場人物、相関関係はわかりにくかった…
    故に読後評価は☆4つ(正確には3.6程度)。

    後半にかけて盛り上がったけど、途中までは...

    でもね、そんなの関係ねぇー、そんなの関係ねぇー...

    面白いものは面白い!!

    日下國へと戻ってきた《イヴ》
    続編の舞台は日下國へ。



    想像力、爆発。SF伝奇小説の歴史的傑作!!
    「『機巧のイヴ』はまさに、わたしが求めていた最高の小説だった」(池澤春菜)
    「あなたは、どなた」?少年が彼女の冷たい体を抱きしめるとき、運命の歯車が廻り始める──。1892年、万博開催を翌年に控え、空前の賑わいを見せる新世界大陸の都市・ゴダム。万博の利権を巡る人々の争いが繰り広げられる夜、パビリオン「十三層」の頂上で、機巧人形・伊武(イヴ)が永の眠りから目覚めた。機巧と人間。本当の“心"を持つ者は誰か? 未曾有の世界に魂が震えるSF伝奇小説の傑作!

    内容(「BOOK」データベースより)

    「あなたは、どなた?」少年が彼女の冷たい体を抱きしめるとき、運命の歯車が廻り始める―。1892年、万博開催を翌年に控え、空前の賑わいを見せる新世界大陸の都市・ゴダム。万博の利権を巡る人々の争いが繰り広げられる夜、パビリオン「十三層」の頂上で、機巧人形・伊武が永の眠りから目覚めた。機巧と人間。本当の“心”を持つ者は誰か?未曾有の世界に魂が震えるSF伝奇小説の傑作!

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    乾/緑郎
    1971(昭和46)年、東京生れ。2010(平成22)年、『完全なる首長竜の日』で『このミステリーがすごい!』大賞を、『忍び外伝』で朝日時代小説大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • だいぶ時間を置いて読んだ続編なので、繋がりが見えなかったりして充分には楽しんだと言えないかもしれない。それでも登場人物の思いの強さ、執着の根拠には裏付けが弱かった気がする。ただ、ストーリーは面白いので、次作も読んでみようと思っている。

  • 前作「機巧のイヴ」は、鴨の読書史上十指に入ると言って差し支えのない、伝奇SFの傑作。機巧技術を巡る権謀術数、その背後に立ち現れる日下国の歴史を重層的に描く、巻を置く能わざるハイレベルな作品だと鴨は評価しています。
    その続編に当たる「新世界覚醒篇」、文句なく面白いです。相変わらず達者な筆運びです。

    ・・・が、うーん・・・前作ほどのまとまりは、正直感じられませんでした。主役級の日向が戦争の前線で直面した想像を絶する悲劇が物語のバックボーンを成していて、これだけで小説一本書けるんじゃないかってぐらい濃いエピソードが連綿と描写されるんですが、これ以外にも〈新世界大陸〉側のキャラクターの各々のエピソードが絡んだり、伊武や天帝のここに至る物語もあったりして、一言でいうとまとまりのない印象。古典芸能でいうところの「世界」が複数に分割してしまっていて、機巧人形の神秘性も底まで深く描かれず(単に「歳を取らない美少女」というファンタスティックな存在以上でも以下でもない感じ)、全体的に最も表現したかったのは何かよくわからないまま終わってしまいました。うーん、もったいないなー。

    一通り読んで、誰かに似てるなーと思ったんですけど、思い出しました。ロバート・J・ソウヤーですよ。
    とにかくストーリーテリングが巧みで、読んでる最中は面白くてたまらないんですけど、読了後に思い返してみると、深い印象がないという・・・誤解のないように申し上げておくと、間違いなく面白いです。万博の初日、観覧車に向かう馬車の中で伊武が天帝の想いを語るシーンは、映像的にも物語的にもカタルシスを感じました。
    筆運びが達者過ぎて、ある意味損をしている作家さんなのだろうと思います。次作に続ける気満々のラストシーンだと感じましたので、ぜひ次作もスマッシュ・ヒットをお願いします!

    • たまもひさん
      なるほど~、ソウヤーね!すごく腑に落ちました。おっしゃるとおり、楽しんで読めるんだけど、残るものがあまりない感じが確かに似てる気がします。う...
      なるほど~、ソウヤーね!すごく腑に落ちました。おっしゃるとおり、楽しんで読めるんだけど、残るものがあまりない感じが確かに似てる気がします。うまいことが必ずしも人の心を動かすわけではない…、これって他のことにも言えそうですね。
      2018/10/11
    • ま鴨さん
      うっ、たまもひさん、何と深いコメント・・・刺さりますねぇ。

      前作「機巧のイヴ」は、敢えて例えればキース・ロバーツのような魔術的リアリズムが...
      うっ、たまもひさん、何と深いコメント・・・刺さりますねぇ。

      前作「機巧のイヴ」は、敢えて例えればキース・ロバーツのような魔術的リアリズムが巧みな作品だと感じましたが、今作はソウヤーでしたねヽ( ´ー`)ノ上手いんですけどねぇ・・・。屍姦趣味のホテル経営者とか、ラノベ風味全開の女発明家とか、要素を詰め込み過ぎな印象が最後まで拭えなかったです。次作はスッキリと決めて欲しいですね!
      2018/10/11
  • #読了 しました。
    新世界大陸で開催される万博に、停止した機巧人形伊武が展示されることに。そんな中日向丈一郎は伊武の誘拐を依頼される… 技術革新・産業革命・過去の戦争・利権などが絡む中、再び覚醒した伊武と伊武を取り巻く人間達…日向の過去…凄く面白かった。私的にかなり満足度高いです。

  • 前作から約100年後、舞台は新世界大陸・ゴドム(アメリカ?)で行われる万博。「今後国歌として制定〜」の音楽と蒸気機関車の様な件はイギリス?前作がいくつかの話に分かれてましたが、今回は中篇。機巧の動力源がはっきりしてきましたね。心から思いを寄せる人の存在。ロマンティックです。今回は八十吉ですね。政治的駆け引き・利権が錯綜します。今でも万博やオリンピックの開催が危ぶまれるやら何やかんやありますが。日向も若かりし頃思い描いてた事があっただろうに、シビアな現実に打ちのめされたのだろうな、と思います。ゴーラムとマードックは本当何というか、ね。天帝は無事日下國に帰れたのかな。本当の心を持つものは誰か?この物語では人間も機巧も持ってるとも言えるし、どちらも心が無いかもとも言える気がしました。

  • ――

    “ 馬離衝《バリツ》と呼ばれる武術の特徴は二つある。
     一つはその呼吸法だ。馬離衝では「相気」と呼び、これを調和させることを目的とする。
     一元、太極、三才、四神、五行の五種類の呼吸法があり、敵をねじ伏せるのではなく、調和することによって力を封じ、無力化するのが馬離衝だ。”


     ……いやぁSFだなぁ。真面目に。

     乾緑郎『機巧のイヴ』二作目は新世界覚醒篇、ということで前作から約100年の時を経て、舞台は大陸へ移る。万博という、云うなれば技術狂いの舞台設定の中に、けれど機巧人形は埋没することはなくて。むしろ技術の先端でこそ、いのち、との境目は歴然として。

     前作よりもハードボイルド感が増した気がするのは、単純に時代が下ったからかしら。その分伊武の可愛げが増しているのはよしよし。けれど全体的には前作のほうがやはり、均整が取れているかな、と云う感じがしました。
     舞台が日下國に戻る次作で、どう纏まるか。
     ☆3.2。

  • シリーズ2作目
    第一作は抜群の完成度で設定も話の展開も素晴らしかったし、登場人物の心情もよく描かれていた
    今作も舞台は非常に興味深いし、話運びは極めて巧み
    一方で主人公があまりに重い過去があって、なかなか共感できるとこまでいかないうちにどんどん個性的なキャラが出てきて、話としてはまとまってるけど、心情理解が追い付かなくなってしまった感じがした
    もう一人の主人公というべきイブがもう少し活躍してもよかったのではと思う

  • 第1作目が非常に面白かったので、続巻を楽しみにしていた。
    前巻より100年後の世界が描かれている。うーん、この巻はいささか、盛り込み過ぎかな。世界観が全く変わり、設定の説明や登場人物のそれぞれの過去、前巻との関連の匂わせなどを書くのにページが割かれ、残念ながら現在のストーリーが薄くなってしまった。さて、次巻は何年後の世界?楽しみに待ちたいと思う。

    • ひとしさん
      ちえさんこんばんは!
      やっぱり第1作目を超えるこおはできなかったんですね。
      次回作に期待ですね!
      ちえさんこんばんは!
      やっぱり第1作目を超えるこおはできなかったんですね。
      次回作に期待ですね!
      2018/10/24
  • 前作より、100年ほど時代が過ぎているからか、伊武の神秘性が無くなっている。

  • 尻上がりに良くなってきた

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。小説家・劇作家。2010年『完全なる首長竜の日』(宝島社)で第9回「このミステリーがすごい!大賞」を、『忍び外伝』(朝日新聞出版)で第2回朝日時代小説大賞を受賞しデビュー。2013年『忍び秘伝』(文庫化タイトル『塞ノ巫女』)で第15回大藪春彦賞候補。近年は作品の英訳版が発売され、中国のSF雑誌にも掲載されるなど、海外での評価も高い。『機巧のイヴ』シリーズ(新潮社)、『見返り検校』(新潮社)、『僕たちのアラル』(KADOKAWA)、『ツキノネ』(祥伝社)、『ねなしぐさ 平賀源内の殺人』(宝島社)など、著書多数。

「2020年 『ドライドックNo.8 乾船渠八號』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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