かんじき飛脚 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (571ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101213439

感想・レビュー・書評

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  • 山本作品には珍しく闘いのある作品。加賀藩の支援もなく、それでいて、猟師が飛脚を損得抜きで助ける姿に感動を覚えた

  • 唸るス トーリーと筆致力5☆〜。 本作品は飛脚がテーマ。しかも江戸と加賀藩 約570kmをわずか5日で走破、かつ月に三度 往復する強者どもに光をあてる。物語は寛政 の改革で名高い松平定信が推し進めた棄損令 (債権放棄)により年末も越せない旗本が急 増そして不平不満が爆発寸前。この難局を乗 り切るために定信が考案した奇策。加賀藩が 秘する内儀の病を公に顕にする事で非難を逸 らす事。だが病に効く特効薬は遠く離れた金 沢に。期限は年末までの二週間。藩の危機を 救うために命を賭して立ち上がった精鋭飛脚 達。道中には吹雪や断崖絶壁の海沿いの道そ して薬の運搬を邪魔する公儀。さーて想像を 絶する難局を彼等は乗り越える事が出来るの か!?ハラハラドキドキするテンポの良い物 語の進みは勿論、当時の食事を始め、日々の 鍛錬風景、雪道を歩くかんじき等の製法も含 めて細やかな描写が特徴。そして何と言って も一人一人の心情、心意気や熱気がダイレク トに伝わる。史実にうまくからめて物語を創 造しているので読み手に信憑性を持たせてい るな〜。

  • 加賀と江戸をむすぶ飛脚の話。
    しかも途中で親不知だの青海だのが出て来て、金沢出身、本籍地青海(親の実家)現在東京勤務の私にはめちゃくちゃゆかりのある地満載でした。

  • 一時期固め読みをしてたけれど『ワシントンハイツの風』で勢いをそがれしばらくお休みしていた山本一力さんの作品。久しぶりに読んだので夢中になってぐいぐいと一気に読了。身分や立場、性別など個人の努力ではどうこうできようもないものに縛られながら分をわきまえ相応に、そして潔く懸命に生きた江戸の人たちの様子が生き生きと、でもさっぱりと描かれていて大変面白かったです。義理人情もたっぷりですが、松平定信という大きな政治権力に対し、忠義心と男気で立ち向かう加賀藩お抱えの飛脚たち、という感情移入しやすくダイナミックなストーリーで、とても面白かったです。良質な娯楽作品。

  • 足自慢の飛脚さん.メールや携帯が飛び交い,荷物なんてあっという間に届く現代では,考えられない時間の過ごし方がはらはらする.
    書店で平積みになってて,偶然手に取り,山本一力を初めて知った作品.

  • 一力先生の作品の中で最も好きな作品。
    ダイナミックで読者を飽きさせず
    涙がホロリ。ほほえみもチラリ。
    柴錬作品を彷彿とさせます。

著者プロフィール

1948年高知市生まれ。都立世田谷工業高校卒。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空関連の商社勤務等を経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞。2002年『あかね空』で直木賞を受賞。江戸の下町人情を得意とし、時代小説界を牽引する人気作家の一人。著書多数。

「2023年 『草笛の音次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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