そもそも島に進化あり (新潮文庫 か 84-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101215136

作品紹介・あらすじ

島がひとつ、大海原に生まれた。新天地を求めて鳥が飛来し、彼らが運んだ種が根づく。動植物は島に満ち、独自な進化がそこここで始まる。それはちっぽけだけどかけがえのない「創世記」。小笠原諸島をフィールドとする鳥類学者が、ヤンバルクイナなど飛べない鳥の秘密、外来種の島に与える影響、そして生態系そのものを語る。そう、島は生命の教科書なのだ。地球人必読の傑作科学エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 鳥類学者なので、てっきりと「鳥」に進化ありと思いきや「島」に進化あり。題目からオチのある本。でも、いかに「島」が固有のものであり、そこにいる生物、植物はその行動や形態により進化の経緯を物語、悠久の時間の流れを見せてくれてる。

    島の生物学の面白さは、特殊性と一般性の二点に集約されると。人間も生物だと認識すれば、日本も島国であれば日本人も独自の特殊性があるのではないかと感じられる。単に島国根性と片付けるのではなく、生物として独自性があるのではと。

    出は最後に蘊蓄をひとつ。「島」という字は「島」と「山」が合体したイメージから派生した文字だと。(「嶋」で「しま」と読むのもしかり)。すなわち、「鳥だけがたどり着ける、海や湖から突き出した山」が島という漢字の源とか・・・・。

  • 某公共放送の配信を好んで観ているせいだろうか。
    著者のイメージは鳥類学者というより「なんか島でわちゃわちゃ調査している学者先生」である。
    バード川上ではなく、アイランド川上。
    某公共放送番組で、東京都内の秘境・南硫黄島や西之島でわちゃわちゃ鳥やらなんやらを調査している氏のイメージが強いこともあって、前作(恐竜)前々作(本職鳥類)よりもこちらの本の内容がしっくりきた。
    (映像ものでは某公共放送『東京ロストワールド』、西之島関連番組をオススメします、川上先生がすごく楽しそうに調査してる姿を観察できます)

    前二作同様、アニメ特撮映画を多用した読みやすい語り口は変わらず。
    その口調で、より踏み込んだ鳥類や島嶼という環境についての知識が語られ、前作でも触れられた外来種の脅威・駆除も扱われている。
    島嶼生態系の複雑な成立と進化をメインに語ってきているため、そこに入り込む外来種の脅威・人間の影響は前作よりも深刻に深く考えさせられる。
    「島では生き物が独自の進化を遂げている」という簡単な説明でなんとなく深く考えずに納得していたところを、そう簡単な話ではないよ、と語られるところは、自分の理解が表層的だったことを痛感させれた。
    学問って、こういうことなんだよなぁ…無自覚にわかったつもりになっていることを教えられる・目を覚まされる体験はすごく楽しい!
    読みやすい(ちょっとオタク的親近感のある)文章だからというのもあるだろうか。
    某公共放送でも何度か扱われる西之島がいかに貴重かというのも本書でよくわかった。まさに理想的なオノゴロ島。
    これから、西之島についての話題や研究を見聞きするのが楽しみだ。

  • (前に興味を持って単行本を図書館で借りたものの、忙しすぎて手を付けられず前書きぐらいしかよめずに返却、文庫本になったので今度こそ…)

  • 生態系…その言葉を発するのはとても簡単だが、それを育む時間の長さと複雑さは大変なものだと改めて感じた。
    おわりにの文章がとても良かった。

  • 2023/11/18 ジュンク堂三宮駅前店にて購入。

  • 子ども科学電話相談でおなじみ、鳥類学者の川上先生の「島」エッセイ。読んでいくとなるほど、島と鳥は不可分なものなのか、とわかります。島の誕生から独特な生物たちが生まれ、そして外来種に淘汰される危機など、島についての理解がすすみました。そしてユーモアがふんだんにまぶされた語り口と雑多な知識が増える注釈が私は好きです!ちなみにこの本が出た後に西ノ島の大噴火が起きているので、先生、いきいきと調査しているんだろうなあ。そのあたりのエッセイも期待しています。

  • 鳥の研究者バード川上が島の生物について語る科学エッセイ。好みが分かれるかもしれないが科学本にとっつきにくい人はこういう本がきっかけの一冊になるかも

  • 感想
    ガラパゴス、日本、オーストラリア…。なぜ島は独特の生物を許容するのか。ダーウィン先生はこの人と話したら何を考えるのか。嫌がりそう。

  • 内容が興味深いこと、読みやすく面白おかしい語り口であることは、読む前から判っている。
    読んでみると予想どおり、生物多様性とはそういうことか、としみじみ納得したり、都合の良い事例だけで話を進める危険に頷いたり、楽しく学んだことがたくさん。

    ただ、独特のユーモアが、ちょい連発しすぎかなー、人によっては食傷気味になるのでは、とも思う。面白いのは判ったから、と言いたくなるというか、ここでまた妙な例えが出るぞと構えてしまい、内容が入ってきづらいことも。
    せっかくのユーモア、もう少し使う場面を絞った方が、有り難みが増すというか、効果的なんじゃないかなぁ。

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著者プロフィール

森林総合研究所・島嶼性鳥類担当チーム長。西之島など離島の鳥類調査に従事。チーム名は自分で提案したのだが,「島」と「鳥」という字が似ていて時々混乱する。

「2023年 『羽毛恐竜完全ガイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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