魔性の子 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240213

感想・レビュー・書評

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  • 三年ぶりに再読
    初めて読んだ時はどこにたどり着くものがわからないままに読み進めましたが(もちろん面白かった)十二国記読んで改めて読むと背景がわかる分深く感じることができました

    小野不由美さん やっぱりすごい

    十二国記も読み直す予定

  • 月の影 影の海を読んだ後に購入。

    小野不由美作品には残酷描写は人が死ぬことではなく、人であることの残酷さの一点なのだという作品。
    王維の詩が染みる。

  • 再読。

    十二国記シリーズをまとめたくてカテゴリをファンタジーにしたがこれは十分にホラー作品。
    またもや人の醜さを思う存分見せつけられる。
    どこまでも不幸な戴麒。

    戴国のその後をぜひ書いてもらいたい!!

  • 十二国記シリーズを読んでからなので、ずっと泰麒ー!!ってなってました。なるほど、逆の時点からみれば間違いなく十二国のある世界もそこに生きる者もその道理もホラーなのだわ。ラストの広瀬が本当につらかった。選ばれたかった、って、それ、ほんとに、もう、って言葉に尽くせない気持ち。

  • 「黄昏の岸 暁の天」のこちらの世界バージョンの話。
    高里要と、彼の通う学校に教生として行った広瀬の物語…というか、高里の謎と影に捉われていく広瀬の物語、なのかも。

    十二国記を読むにあたって、これから読み始めたのですが(今にして思えばなぜ)最初の頃はとくかく高里くんが好きで!
    再読した時には、一体なぜそんなにも高里くんが好きだったのか分からず戸惑い、今回の再読では読み始めた当初から、最後の広瀬を見るのが、何とも言えない気持ちになりそうだな、と思って読みました。
    そしてその予感はモロ当たりしたのでした。
    いろいろな意味で、気の毒…というのとは違うか。
    帰る彼と残される自分。
    その対比がたまらない。
    初読の頃は、まだ広瀬に近い位置にいたからこそ見えなかったものが、今は見えた、という感じかも。
    献身的なほど勤めてくれる彼を見る度、チクチクと痛む胸。
    今後、残された彼がどう生きて行ったのかを、知りたいような知りたくないような。

    でも帰った高里くんの方も、決して平穏でないことは本編を読めば明らかで。
    後はただ、驍宗さまが早く見つかって欲しい、ということだけです。
    もう何年行方不明のままだ(私たちの世界時間で)

    しかし、改めて読むと、何たる大迷惑な話だ。
    ここに出てきて死んだ人のほとんどは、本当に死ぬことなどなかった筈の人たちだ。
    でもどの死もそういうものかもしれない。

    そして改めて読むと、本当にホラーだ(-_-;)
    最初にこの本から入ったはずの自分ですら、初読の時のことはあまり覚えていないのですが、十二国記読んでいないで読む人は、書かれていることがどれだけ分かるのかな。
    読んだ後ならそれは分かるけど、十二国記読まなければ読まないままで、そういうものだと置け入れていた気がするけど。

  • 泰麒の人間界に戻ってきたときの話。
    ホラーではないと思うけどたくさん人は死ぬ。

  • 新潮社から十二国記・新装版が出る(しかも続刊予定)とのことで気になってはいるものの、もう講談社のWH文庫持ってるし…と購入予定は未だなし。
    ところでこの「魔性の子」は十二国記中0巻に位置づけされているそうですね(とさっき知った)
    そして、もう読んでいるにもかかわらず、本棚登録していなかったことも(…
    この本を手に取ったときは小野不由美さんを知らず、もっと言うなれば、十二国記も知らなかった。
    山田章博さんの絵だけで買っちゃったんだよね。
    読了してどのぐらい経ったころか。十二国記を(またもや山田章博さんの絵で知り)読んで、あぁ泰麒が「高里」だったのだ、と合点が行った。

    大好きな十二国記シリーズだけれど、この本だけは再読することはない。
    新潮社からの完全版には山田章博さんの挿絵も入っているから惹かれはするけれど、購入はしないと思う。
    それは、このお話が、どこまでも昏く、人の心の闇に焦点を当てている物語だから。
    読んでいて、ただ辛いのは、耐えられない。
    私はそれ以上に、十二国へ帰ったあと、その後の彼らが知りたいんだ。

  • 厚みのある話だった。かなりエグい描写があっても、それだけが印象に残るわけではないのは、物語の世界が確かなものだからか。

    前半は、高里の運命がかわいそうでせつなくて、その気持ちで読み進めたが、後半になって、かわいそうなのは高里ではなかったことにがく然(?)とする。

    「屍鬼」でもそうだったが、小野不由美は、人であることの哀れさについて考えさせる書き手だと思った。

  • 十二国記は1巻で挫折して読んでいませんが、小野さんのホラーが心底怖くて好きだったので、購入しました。

    思った通り、物語は不可思議で不気味に進み、それはもう、あまりのおもしろさに夢中になって読んでいました。
    しかし、どんどん残りページが少なくなっているにもかかわらず、一向に収束の気配が見えてきません。これだけの話を少ないページで、いったいどう終わらせるのだろうとドキドキしていたのですが・・・

    結果、「彼はこういう存在だから、今までの様々な不可思議はしかたがないんだよ!」的な結末に、がっっっっっっかりしました。
    結末までがとても良かった分、よけいに。

    聞けばこちらは十二国記前に書かれたと言う事で、本来は私と同じく十二国記を知らず読む想定であるはずです。
    なのに、「怪異の正体は、読者も知らない世界の住人の仕業でした~」
    と言われて納得できるんでしょうか?

    私にとっては、とても残念な本となりました。

  • 「十二国記」シリーズは既刊は全て読みましたが、このサイドストーリーだけ、前評判が恐ろしくて、なかなか手が出ずにいました。
    最近ミステリー作品にも徐々に慣れてきたので、そろそろかと思って読んでみることに。
    本編と変わりないほどの分厚さ。
    現代の"こちらがわの"世に記憶をなくして戻ってきた高里(タイキ)の、不遇の日々が綴られています。
    読めば読むほど、あまりにも打つ手がない状態に、やるせなくなってきます。

    タイキを守るために影で血の報復を続けるハクサンシとゴウラン。
    しかし、全く状況も世の中のルールも違う場所においては、その報復の意図は全く伝わらず、周囲は単にタイキを「祟りを与えるもの」として意味疎んじるばかり。
    異常な事態です。

    とりたてて悪い者は、誰もいないのに、血が流れ、多くの人が殺されていく惨状。
    確かに、呪われている、としか思えません。
    渦中のタイキがあくまでも静かに、全てを受け止めている様子が、涙を誘います。

    この話の主人公となる広瀬は、タイキのただ一人の理解者ではありますが、そのために、おびえた生徒の暴走に巻き込まれたり、誤解されてゴウランに重傷を負わせられたり、恐ろしい目に何度も遭遇します。
    それでも彼への信頼を崩さなかった、ゆるぎない心に胸打たれますが、結局それは、自分もこの世界からの異端者だと感じていた、「ここには居場所がない」祖国喪失者同士のシンパシイに過ぎなかったとわかる、ラストでの別離のシーンが、人間の弱さと物悲しさを語っています。

    タイキにひどい仕打ち(たとえそれが愛ゆえにであっても)をした者に報復を行い、最終的には村全体が洪水にのまれてしまうという話には『赤い蝋燭と人魚』を思い出し、最後に記憶を取り戻したタイキがすがる広瀬を残して去っていく様子には『かぐや姫』を連想しました。

    もっとおどろおどろしい話かと思いましたが、思っていたよりも残虐非道というわけではありませんでした。
    主役の広瀬とタイキが冷静で落ち着いたキャラクターだったからでしょう。
    また、タイキの前では、流血事件は起こらないというルールも、物語に静けさを与えています。

    私はメインの「十二国記」を読んでいたので、話の流れが十分わかっていましたが、この本だけ読んだ人は、どう感じたのでしょうか。
    麒麟の習性がわかっていないと、全くピンとこなかったかもしれません。

    一番好きなレンリンが少し登場したのが嬉しかったです。
    基本、お互いの世界の者同士の交流は、ありえないものなんですね。
    広瀬が事情をスッキリ納得できないまま全てが終わってしまったことが、気の毒です。
    生徒を守り育てるのが教師の本領。
    でも、とてもそれでは埋めきれないおそろしく大きな謎を経験し、タイキが目の前から去ってしまった、広瀬のその後の教師生命が気がかりです。

    あとがきは『吸血鬼ハンター』シリーズの菊地秀行氏。
    「女性とは怖いものだ」という表現で、彼女の筆力を評価していました。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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