- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101247182
感想・レビュー・書評
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さわやか
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この人の短編集はまるで宝石箱のよう(^o^*
一つ一つの話に全く違うストーリィ、驚きと面白さ・結末があり。
人ってほんとにわからないものだ、と思い知らされる。
この中に収録された話で私が気に入ったのは、「帰ってきた女」。
口の利けない男と出戻った娘おきぬ、二人の不思議な交流がなんともいえず暖かい。
多くを望まず、けれど一途におきぬの幸せだけを思う音吉の気持ちを切り取るように描かれているところが、切ない。
また「切腹」は、ふとしたことから互いの性格の違いが元で絶交した仲のよい友人同士の話しで、昔親友であった男が陰謀に巻き込まれ切腹したことの原因を探るため、助太夫という主人公が単身内情を調べて回り、友の汚名を晴らすため奔走するという友情の物語である。
でも最後に・・・切腹した友甚左衛門の奥さんがぽつりと言った一言
「このように夫のためここまでしてくださるくらいなら、なぜもっと早く仲直りしなかったのだ」
と言う場面がとても印象的^^;
いや、ほんと。
どんなに仲が良くても、きっとこの二人互いに凄く頑固だったんだろうと思う。
互いに認めておりながら、どうしても気に入らないところがあり、それが我慢ならなかったのだろう。
一度喧嘩してしまうと引っ込みがつかなくなり、些細なことなのにそれからぱったりと交流が途絶えてしまう。・・
今の私達にも、よくあることだ。それが実力ある人間同士だと、尚更ねw -
人生のいろんな引き出しを感じられる短編集。
庄内を舞台にしたタイトル作「龍を見た男」が特に印象的。
その他、全体として素敵な女性が目立った感じがしました。 -
藤沢周平の短編集。重い話が多いが、希望がないわけではなく、主人公たちは最後には、自分の満足を手に入れる。
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100309(n 100516)
100817(n 100828) -
藤沢周平、短編集。面白くないわけがないけども、どちらかというと苦労の多い人生を描いたものが多いので、すこし重い気分にはなるかなあ。あとで思い出せるようにタイトルとヒントをすこし記録。 「帰ってきた女」ダメ妹おきぬと、おしの職人音吉。 「おつぎ」幼馴染の女との再会。子どものころの裏ぎり。 「龍を見た男」荒くれ偏屈漁師、おとなしい妻、女郎。甥を事故で死なせてしまい。。 「逃走」けちな盗人銀助、岡っ引き権三、さらった赤子を。。 「弾む声」老夫婦の隣の家にいつも来ていた女の子の呼び声。不幸に転落したその女の子を見捨てておけず。。 「女下駄」バツ1同士の夫婦。互いの思いやり、疑心暗鬼、ハッピーエンド。 「遠い別れ」家を追われる寸前の商家の主。捨てた女が差し伸べる手。 「失踪」呆けた老父が攫われる。身代金は。。 「切腹」長年仲違いをした相手の切腹。汚名を晴らすも… 全8編。 しみじみとしても終わりが明るいから「女下駄」がやっぱ印象的かな。いい夫婦であるためのヒントをもらった。ともに背負えるものは隠さず一緒に背負ったほうがいいってこと。 それにしてもみんなつらいことがあってもあがきながら一所懸命生きてるよね。がんばろ私。あ、重くなるという読後感だったけど、閉じてこう思えるってことは、やっぱいい1冊かもしれない。藤沢初心者にもオススメです。
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装画は蓬田やすひろ氏。
藤沢周平氏の珠玉の短編集で、入門編といったところ。
簡潔無比の状況説明につられてグイグイ読み進み、唐突に余韻と残香をのこして終わる。
いまもって江戸人情と枕言葉をつけてしまうのはいかにも惜しい。
藤沢さんは天才ストーリーテラーだと感じました。 -
江戸の町人もの、侍ものに加え、漁師町の物語も入った短編集。
ラストで余韻を残す物語が多く、味わい深い。
とくに印象深かったのは、小さな裏切りをした幼なじみと添い遂げようと決意する「おつぎ」。灰色の隠居生活に活気をもたらす女の子を気にかける老夫婦のはなし「弾む声」。和みました。 -
「女下駄」、「切腹」あたりがいいですね。