首折り男のための協奏曲 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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感想 : 465
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  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250311

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!!!
    短編だから余計に読みやすいんだけど、とにかく楽しかった。
    黒澤さんの登場は何回目?!笑
    あの老夫婦も、あの老夫婦なのかな。
    結局話が繋がっていて、読み返すのも楽しかった!

  • #読了 2022.3.23

    著者が自身で言う通り、読後はまさに謎の陶芸品に触れた感覚。別々に掲載した話を後から加筆修正して一冊にしたと聞いて納得。
    短編集なのだが、ところどころで共通の人物やワードや考え方が出てくる。他の短編と繋がるような雰囲気をずーっと持ちつつ、案外繋がらなかったり、唐突にコレってあっちの話と繋がってるのか!ってなったり。各短編の中でも語り手を頻繁に変えて別の話が始まったりするので、何がどの話やら(笑)その感じがおもしろい。
    伊坂幸太郎作品は、見事な伏線回収や共通の人物がぐるぐるに絡み合っている作品なども多いため、それを期待する人はなにか物足りない感じがするかもしれない。でも個人的にはこの繋がるの?繋がらないの?ってソワソワする感覚や、それぞれのストーリーは毛色がまったく違ってどんな話かなかなか想像がつかないかんじや、「え、こーゆー終わり方?!」ってのもあって、脳みそを大きくしておかなきゃいけなくて、その感覚がすごく楽しかった。「こーゆー終わり方?!」ってのは一般的には悪い意味も多いけど、今回の場合は「これもまた乙ですな」ってかんじ(笑)たぶん素晴らしくエンターテイメントな伊坂幸太郎作品を既に読んでいるからってのもあると思う。ファッションでいうとこの、抜け感?ってかんじ(笑)
    著者自身もストーリーとしてしっかりした収束をせず、それでいて読者が許してくれるギリギリを狙ってチャレンジしている的なことが書かれてて、まさにそんなかんじ。デビュー作の「オーデュボンの祈り」みたいな現実的でありながらのファンタジー感もある。「いや!なに?!こわ!」って話もあるけど(笑)
    あとクワガタ飼育してる男こわかった。自分で争いを仕向けておいて、いざしたら、罰を与える。哺乳類ならまだ学習能力あるから一理ある気がするけど(それも結局勝手だけど)虫に対して指導が必要だとか。自分が神的立ち位置を楽しんでる自覚がないのが狂気。

    内容紹介にある「伊坂幸太郎の神髄」とは思わない。むしろチャレンジングな作品。でもだからこそ伊坂幸太郎の表現力の幅を感じる。こーゆー作品も書けるのかぁすげえ!って。「合コン」は特に文字でストーリーを伝えるいろいろな方法が出てきて、これを小説の中でやるのかと驚いた。

    あと最近の作品ではないのでたまたまだけど戦争の話とかウクライナってワードとか出てきて、考えさせられた。もともと攻撃性をもって人間は生まれてるから、いじめが発生しないようスポーツとか祭りで発散するといいとか。なるほどーって。経済面でも確かに戦争ってコスパ悪いよね。今日本が戦争になって若者が徴兵されて死んでいったら、ただでさえ高齢社会の日本はどうなっちゃうんだろ。年金とか機能しないよね。

    にしても伊坂幸太郎作品って表現がずっと現実的なんだけど、ところどころですんごい叙情的な表現してて良い。状況が分からない痛みの表現として「水もないのに溺れている心境」とか、不健康な人の表現として「健康が蒸発してるかのよう」とか。

    ちなみに。解説に今回の短編2作品が「Story Seller」「Story Seller2」に出ているとあって、15年前くらいに読んだはずなのに一切覚えてなくて、慌てて本棚漁ったら確かに掲載されてたww再読してちゃんと感想を記録しておこw

    ジェットコースターのように安全バーをしながら激しいアップダウンやスリリングさを充分堪能させてもらって落ち着くべきとこに落ち着くような完璧エンターテイメントな伊坂幸太郎作品を何冊か読んだ後にぜひ読んでもらいたい。「伊坂幸太郎作品」という勝手な先入観に勝手に翻弄されると思う。


    ◆内容(BOOK データベースより)
    被害者は一瞬で首を捻られ、殺された。殺し屋の名は、首折り男。テレビ番組の報道を見て、隣人の“彼”が犯人ではないか、と疑う老夫婦。いじめに遭う中学生は“彼”に助けられ、幹事が欠席した合コンの席では首折り殺人が話題に上る。一方で泥棒・黒澤は恋路の調査に盗みの依頼と大忙し。二人の男を軸に物語は絡み、繋がり、やがて驚きへと至る!伊坂幸太郎の神髄、ここにあり。

  • 読みたいと思いながら、読むまでに時間がかかった一冊です。

    読み終えて一言「不思議な本だった」。

    ・首折り男の周辺
    ・濡れ衣の話
    ・僕の舟
    ・人間らしく
    ・月曜日から逃げろ
    ・相談役の話
    ・合コンの話

    計7つの短編が納められており、読むまではそれぞれの話が全て密接に関係し、時間の行き来をするものだと思っていた。

    しかし、表題である首折り男は全ての作品に登場する訳でも、関係する訳でもなかった。

    納められた短編は決して密接に関係する訳ではないが、どことなく繋がりを感じる。

    そこを感じ取り、共鳴する事がそこまで出来なかった私の力不足が★2つの評価となってしまった。

    説明
    内容紹介
    被害者は一瞬で首を捻られ、殺された。殺し屋の名は、首折り男。テレビ番組の報道を見て、隣人の“彼”が犯人ではないか、と疑う老夫婦。いじめに遭う高校生は“彼”に助けられ、幹事が欠席した合コンの席では首折り殺人が話題に上る。一方で、泥棒・黒澤は恋路の調査に盗みの依頼と大忙し。二人の男を軸に物語は絡み、繋がり、やがて驚きへと至る!伊坂幸太郎の神髄、ここにあり。
    内容(「BOOK」データベースより)
    被害者は一瞬で首を捻られ、殺された。殺し屋の名は、首折り男。テレビ番組の報道を見て、隣人の“彼”が犯人ではないか、と疑う老夫婦。いじめに遭う中学生は“彼”に助けられ、幹事が欠席した合コンの席では首折り殺人が話題に上る。一方で泥棒・黒澤は恋路の調査に盗みの依頼と大忙し。二人の男を軸に物語は絡み、繋がり、やがて驚きへと至る!伊坂幸太郎の神髄、ここにあり。

  • 短編集(以下各話トピックスメモ)
    隣人と勘違い、いじめ、物騒な依頼、復讐、昔話に僕の舟、クワガタ、月曜日から逃げるテクニック、山家清兵衛、合コン


    各話で使う単語をリンクさせ、うっすらと繋がりを持たせてる技術はさすが伊坂幸太郎と思わされる。
    けど、なぜ?とか この謎はどうなったの? なぜ殺されたの?とか疑問は結構残る。
    短編の掲載順番もよく吟味されており、読後感の爽やかさはこれによる結果と思う。

  • 伊坂幸太郎初期の綺麗さが好みなので少し物足りないけれど、伊坂節はいつ読んでも気持ちがいい。


    「学級委員長が『みんな、仲良くしましょうよ』と訴えても白けたけれど、サッカー部の加藤くんが『あの学校の奴ら生意気だから、シメに行こうぜ』って言い出した時には盛り上がったような(中略)」
    「加藤くんの人望の可能性もあるが」
    「その加藤くんは今や映画制作会社に就職して、殺戮映画作っていますよ」
    「適材適所だ」


    適材適所て。

  • 繋がっているような、いないような・・・
    と感じていたら、別々の雑誌のために書いた短編をまとめて手を加えたもので不思議な本になったとあとがきにあって腑に落ちた(∵)

  • 正体不明の連続殺人犯、謎の首折り男を追う!…というようなミステリーでは全然無い。むしろイジメ問題とか人間の根源的なテーマを扱っているように思われる。
    趣味が釣堀な泥棒兼探偵という異色なヒーロー黒澤のキャラが好きです。

  • 2回目だと思う。いつ生まれてもおかしくないので、短編モノを読み始めた。どの話もおもしろく、3日で読み終わった。
    黒澤が出てくる曜日ごとのお話が特におもしろかったかなーその後の続きというか、TV局の男がギャフンとなるところが見たいなー


  • それぞれが絶妙に独立した短編集。
    読んでいて格別に大きな感動や衝撃があるわけではないが、最後に伏線をしっかり回収して腑に落ちる感覚がたまらない。やっぱり伊坂さん好きだなぁってなる。

    個人的には最後の合コンの話と、黒澤のキャラが良かった。
    短編集があまり好きではないので星4。

  • 飄々として洒落たジャズみたい。死神〜の最終編に見た、鮮やかで小憎い演出。フーガのミステリアスな出来事。コインロッカーの多角的視野。

    ほんとうに巧い。いくつもの小さな物語が重なり合うことで協奏曲を織りなしていって余韻をのこす。ほんとうは核心に触れているのに、それを思わせない。さすがです。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

伊坂幸太郎の作品

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