冬虫夏草 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 103
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253435

感想・レビュー・書評

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  • 名作「家守奇譚」の続編。
     
    「家守奇譚」が、あの世界で暮らす綿貫征四郎の日常的エッセイだったのに反し、今作の「冬虫夏草」には一貫した目的があります。
     
    ゴローを探せ!
     
    綿貫征四郎は姿を見せなくなった犬のゴローを探しに、鈴鹿の山中を駆け巡ります。
     
    いや、半分は旅行気分、物見遊山といった体ですが。
     
    途中途中で村人たちとの交流あり、もちろん人以外のものたちとの交流もあり。
     
    キキョウとマツムシソウの話が良かったな。
     
    ラストも良い!
     
    ああ、続きが読みたいなぁ。

    • 傍らに珈琲を。さん
      おはようございます!
      レビューあるかしら?と探索に。

      そーなんですよね、エッセイ(随筆と呼びたくなりませんか)だったのに対して目的が!
      な...
      おはようございます!
      レビューあるかしら?と探索に。

      そーなんですよね、エッセイ(随筆と呼びたくなりませんか)だったのに対して目的が!
      なのに綿貫ったら、ゴローを心配して涙ぐんだりもするものの、結構寄り道してる 笑
      ただそれも、将来的にあの人達の村が水底に…と思わせる為であったかと、梨木さんの技にがっちり捕まれました。

      村田エフェンディ…はマークしてるのですが、本編の方の続編って出てないですよね?
      私が知らないだけなのかな。
      2023/11/09
  • 文庫が出たので買ったんだけど、
    もう既に読んでしまっていたらしい。
    と言うわけで、感想は単行本の方に(^_^;)

    これを機に再読するか…。

  • 再読。
    なにもかも、存在するものが当たり前に受け入れられる世界。
    難しく考えることはない、生かされるまま。

  • シリーズ第二弾。今回は山歩きによる人々や人外の存在との交流。植物、川、滝と自然の息吹と人間の営みの調和が穏やか。
    最後のゴローのくだりは少し泣きそうになった。

  • 前作「家守綺譚」はまだまだ小説だった。
    本作はどうにもこうにも「難しい」印象。
    成長云々や、性格の悲喜劇や、といった近代小説の感覚では読めない、小説というよりは読み物に近い本。
    不思議な存在が、怪異でも驚異でもなく淡々とあり、仰々しくなく描かれる。
    「遠野物語」の世界を「冒険」する。ちょろっと南方熊楠っぽい人も出てきたりして。
    ネットの感想を漁って、なるほど。川桁とは、ダムのことかー。

    さらに驚いたのは、「村田エフェンディ」終盤で村田が持ち帰ったサラマンドラが、登場していること。
    「村田エフェンディ」→「家守」→「冬虫夏草」の、いまのところ3部作なのだ。関連しているのだ。
    凄まじいスケールの小説だ。

  • 地図帳を開いて、綿貫の旅路を指でたどりながら読む。旅とは見知らぬ地にいる自分に出会うためにするのかもしれない。

  • ゴロー探しの旅

  • 途中で表紙の絵が十牛図なのかと気づいた。ゴローを探しに行くうちに自分を探しに行っていたのかもしれない。淡々とした文章でちょっと味わい深い景色を楽しめた。

  • 「家守奇譚」を読んだのが、何年も前(ブクログを始めるより前)ですが、あの自然と共生している感じが好きでした。
    遅ればせながら、続編の本作を読んだ次第。
    今回は、犬のゴローを探しに鈴鹿の山々を探索する綿貫さん。
    “遠野物語”を彷彿とさせるように、昔から営まれてきた自然と共存している世界が心地よいです。そしてそこには人外のものも含まれるわけで。何だか人間の方が“お邪魔”している感じがあります。
    淡々とした文体ですが、読んでいて、生命の息吹を感じる一冊。

  • 本は文庫で揃えると決めている。梨木香歩さんは、エッセイ以外なら全て手元に置いておきたいと思う、数少ない作家の一人です。
    家守が大好きだったので、冬虫も出た時は、すぐ欲しかったですが、文庫になるまで、じっと待っていました。
    待っていた甲斐があったというもの。

    人生の節目に、読み返すたびに、違う発見がある物語こそ至高と思っていますが、梨木香歩さんはまさにそういう物語を紡ぐ人です。
    人生どころか、ものが、人が、生きるとは。ということを、深く哲学的なまでに、考えさせられるのです。

    家守は、主人公綿貫が、様々な『出会い』をごく自然のものと受け入れていく様が、痛快と言えました。少し前まで、こんな世界との関わり方が、本当にあったんだと、信じ込ませてくれる説得力のある物語でした。

    今回は家守で特に、読者に愛されただろうゴローさんが、行方不明になるということで、愛犬家である私からすると、血の気が引くと行っても過言でない事件が起きます。

    基本引きこもりに毛が生えた程度の綿貫も、ゴローさんの目撃情報を頼りに、鈴鹿くんだりまで、単身山登りに出かけます。

    もちろん、山の中ですから、今まで以上に、それはもうたくさんの『出会い』があります。素朴な村人との交流も素敵でしたが、こちらの『出会い』は、なおのこと素晴らしいものがありました。

    その中でゴローさんの足跡も、一つまた一つと増えていきますが、果たして二人は再会できるのでしょうか。

    竜宮のシーンは…?と物足りない感じがしたのですが、家守の中にそれっぽいシーンはありましたね。なので、今回は書かなかったのかなと。

    また、ゴローさんや高堂が、何のために走り回っていたのか、はっきりとは告げられていません。そこも少しは気になりました。
    村が水に沈むのは、何十年後かのダム建設とかの話なのでしょうか。それとも、もっと近い時代のお話なのか。詳細は、次巻に持ち越されるのだと信じています。

著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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