硝子の葦 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101254821

感想・レビュー・書評

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  • 解説には、削れるところはバッサリ削ったと。確かにそんなに厚くはないけど、厚さ以上の読み応えがあった。

    夫は母親の元愛人で、ラブホテル「ホテルローヤル」の経営者。その夫が自損事故で意識不明。またガンでもともと余命数ヶ月だったことが分かる。
    夫の継子の捜索、句会仲間のDV、税理士との関係、ホテルの経営といろんな綻びが出てくる。

    節子、倫子、まゆみちゃんは最後まで逃げ切ったのだろうか。たぶん、あの3人なら逃げ切れるだろう、って思えるくらい狡賢さが印象に残った。

  • 内容はもとより、表現・文章力がよかった。文学的というか。ちょっとしつこいくらいだったけど。寒いを寒いと書かない美しさ。

  • 再読。 ストーリーをすっかり忘れていたため、世界観に酔いながら没頭しました。 前回は途中でネタバレを踏んでしまうという失態を犯し、楽しみの半分を奪われたような感じで読み終えましたが、今回は大丈夫。 ネタバレを踏んだ記憶だけあったので、注意してました。 著者の描く道東の様子、主人公の謎めいた暗い風情、嫌いじゃありません。 ただ、これが続くと自分も飲まれてしまうので、気をつけています。 著者のつむぐ言葉の美しさに魅了されました。

  • 母子家庭で小さい頃から男女関係に係わらされて来た節子、ラブホテルを経営の夫が自動車事故で昏睡状態、そんな中、歌人仲間の子供をかくまうことに、

  • 一気に読めた。最後までミステリーやった。北海道の風景と人の感情が合っとった。頭の中は色々な思いがあっても言葉に出さん主人公が好き。"なにひとつ繋がり合えないことを確信する"って表現もなんとも言えない感じ。

  • 再読。、結末を知ってるから、この部分は主人公はこういう気持ちだったんだなと思いつつ読む事が出来た。主人公の一見ひょうひょうとしながら内面にくすぶっている激しさが色々な行動に結びついてるのかなと思う。

  • ホテルローヤルがとても好きで、続けてラブレスと凍原を読みとても引き込まれました。その流れで来ると硝子の葦は、こういうのも書くんだ〜みたいな新鮮な驚きです。

    この人の本、暗いんだけど案外湿気を帯びない感じが好きなのかなぁ。

  • うらぶれた飲み屋街、寂れた漁港、ラブホテル、愛人、幼い頃の虐待・・・など暗いイメージの世界観に、こういうの無理だと思いながらも止まらなかった。
    こういう小説もたまにはいいか。

  • 面白いと思います。ホテルローヤルの経営者の妻、節子を中心に物語は進みます。最後まで目が離せない。

  • 最初の1頁から桜木さんの世界に引き込まれる。ヒンヤリした体感。どこか乾いた淡々とした文体が肌に合う。
    道東のさびれた飲み屋街の火災から始まるミステリーは途中はミステリーであることを忘れる展開。
    それは、諦めと閉塞感の漂う叙情の世界。主人公節子は桜木作品に多く登場する女性にもれず、どんなことが起ころうとも、生きることに潔い。
    読み進めて冒頭の事故へと時系列が追い付いたとき、思いもしなかった形でこの作品がミステリーだということを突き付けられる。
    そして、ラストは節子の強さに感動すら覚え、澤木と共に「このまま、このまま」と静かに祈った。

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著者プロフィール

一九六五年釧路市生まれ。
裁判所職員を経て、二〇〇二年『雪虫』で第82回オール読物新人賞受賞。
著書に『風葬』(文藝春秋)、『氷平原』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)がある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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