- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101265711
感想・レビュー・書評
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大崎善生の情景の描写、この透明感が好き。言葉がストレートに響いてきて、読みながら泣けてくる。
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この作品の登場人物が幸せになってくれると良いと願う。
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九月の四分の一
大好きな作家、大崎善生さんの、4つの作品を含む短編集。
いやーいつも思うけどこの人の作品は読んだ後も、読んでいる最中も考えさせられるし、
話が、そして作中に出てくる挿話がすごい印象深く、
読んでよかったと思う
四作品とも、裏表紙に書いてある通り、喪失と再生を軸として物語が進んでいく感じ
んで全て『存在』について触れている
この人はどんだけ存在と死について考えたんだろね
個人的には「悲しくて翼もなくて」、「九月の四分の一」が心に残った
九月の四分の一の本当の意味に気づくのは最後の方
とても素敵な話
実存主義的な恋が本当の恋なのかなーってちょっと思った
レッド・ツェッペリンを意識して聞いたことはなかったけど、
読んでいる最中は聴きたくて聴きたくてしょうがなかったー -
大崎善生をよむと寂しくて心が痛くなるけど最後はちょっと暖かい気持ちになるから不思議
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実際にありそうで、でもなかなかいない男性ばかりが出て来る短編集。他の本とリンクしている「九月の四分の一」が好き。ああいう男女の関係は素敵だと思います。
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4つの物語が入った短編集です。
出会いと別れ
そしてやりきれない孤独や、喪失感。
せつない。
一番最後の、
「九月の四分の一」という話が
いちばんすきです。
「失われた恋は、崩されたビルのように二度と戻ってくることはない。ただ、残像が残っているだけである。しかし、残像であるがゆえに、より鮮明に心に投射し続けるということもある。残されたビルよりも、壊されたビルをより強く思うように。」
大崎さんの文章は、
意外な方向からするりと心に入ってくるので
いつもドキドキします。 -
逃げるようにして、僕はブリュッセルへ辿り着き、世界一美しい広場で、ひとり悄然としていた。潰えた夢にただ悲しくてやる瀬なくて。そこで奈緒と出会った。互いの孤独を埋めるような数日間を過ごし、二人は恋におちるのだが、奈緒は突然、姿を消した。曖昧な約束を残して・・・
*
繊細で切ないストーリー -
表題の「九月の四分の一」が一番好きだと思った。
日本から遠い地で出会った二人。
そして不思議な時間。
あと「ケンジントンに捧げる花束」のキリン通貨!
大好きだなって思った。
あたしも恋人にそんなこと言いたいなって思った。
大崎さんの本は全てどこかで繋がってる気がしてならない。 -
ゆっくり読むにはちょうどいい切なさ。ぼんやりぼんやりとしていて、いろいろ考えさせられる。
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4本入った短編集。
「ケンジントンに捧げる花束」が物凄くよかった。
わたしの中における、小説のお手本みたいなプロット、色、人。好きです。
表題作は、『ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶』に収録されてる続編をうっかり先に読んでしまったのが惜しかったな。
唐突に現れる、スイッチバック、冥王星、恐竜、炊飯器・・・そういう独特の単語が物語に立体感を付けてくれるんだろうなあ。面白い。
繰り返し書かれる、雑誌の編集、北海道、ヨーロッパ、水、花、音楽、美術、少し昔・・・といった大崎さんのモチーフ。その反復にほっとしたりする。いいなあ。