- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101267616
作品紹介・あらすじ
自らは病気の自覚のない、精神を病んだ人を説得して医療につなげてきた著者の許には万策尽きて疲れ果てた親がやってくる。過度の教育圧力に潰れたエリートの息子、酒に溺れて親に刃物を向ける男、母親を奴隷扱いしてゴミに埋もれて生活する娘……。究極の育児・教育の失敗ともいえる事例から見えてくることを分析し、その対策を検討する。現代人必読、衝撃のノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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幼少期から本音でぶつかり合ったこともなく、ガラス細工のような脆さで集ってきた、見せかけだけの家族が多いことを痛感させられます。(P.275)
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衝撃的な事実の数々。
もはや言葉の通じない「何モノか」としか思えないような
人たち・・・・が、現実に多数いるのだという。
心の病と一言で言うのは簡単だが、彼ら・彼女らの現状を正しく言い表すには不足する。
そして、著者が言うには・・・・(もちろん皆とは言わないが)彼ら・彼女らをそういう状況に追い込んだ要因の一因は両親の育て方にもある、という。
うん、一理あると思う。
さらに・・・ここで紹介される「身勝手な親」の存在にも頭が痛む。心も痛む。
そして、もちろん、、、、上記のような「ある意味自業自得な親」ではなくても子供が“そう”なって苦しんでいる親もいるであろうという現実。
去年だったか一昨年だったか、、、、某省庁だかの元エリート官僚が我が子を刺殺した事件が記憶に新しいが、そのため、よりリアリティをもって読むことになり、うすら寒い思いがした。
★3つ、7ポイント半。
2020.02.11.新。 -
押川剛『「子供を殺してください」という親たち』新潮文庫。
つまらないノンフィクションであった。読んでいて、著者が行っている事業である精神障害者移送サービスの宣伝と思われるような強かな内容が殆んどであることに辟易するのだ。他人の不幸をビジネスにしているとまでは言わないが、ある種のあざとさを感じる。続編の『子供の死を祈る親たち』と併せて購入したのは失敗か……
近年、確かに精神障害者による事件や事故を見聞きする。こうしたことの背景にはテレビやゲーム、インターネット、アルコールといった外的な刺激が一段と過剰になっている一方で、近隣社会のみならず家庭内でもコミュニケーションの機会が激減したことがあるのではないだろうか。決して、著者が主張するような育児や教育の失敗ではないと思う。 -
てっきり、世に言う鬼親と呼ばれる親たちの事が書かれていると思ったら、障害や問題行動等を起こす子どもたちを持つ親の話だった。
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タイトルのインパクトが凄いノンフィクション。
書店でみかけたときはてっきり育児ノイローゼ関連かと思っていたのですが、精神疾患の子をもつ親の悲痛な叫びでした。
精神疾患の子、と言っても中年以降のもう手遅れ状態の大人。家族の依頼でそういう人たちを然るべき医療機関へ受診させたり入院させたり、世話をみるのが著者の仕事であるようだった。
ドキュメントを読む限り、そりゃあ殺してくださいと思うよなぁといった感想しかでてこない。著者は「親はこうなる前にもっと本音で子供と向き合うべきだったのだ」と述べている。
子育て失敗の成れの果て。無関心や虐待のツケをこうして払わされるのだ、と思うと恐ろしかった。
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思っていた内容と違った。
もうちょっとそれぞれのケースに踏み込んだものを期待してしまった。
後半は、ただ作者の演説を聞かされてるだけ、みたいな気分になった。 -
もともと警備会社を経営していたという著者。
従業員の精神疾患から、精神障害者を医療に繋げるという移送サービスを始めたのだそうだ。
前半が著者が実際に対応した実例が紹介され、後半を5章ほどに分けてケーススタディを交えながら、精神障害者とその家庭における実態、苦難、また社会が抱える問題点などを考察していく。
著者も言うように、ご家族がこの問題に真摯に向き合う覚悟ができていているならば、なんとか事態を前にすすめることはできる。ただ、本人の抱える問題を、家族の在り方がより悪いほうへと増幅させているケースも少なからずあるようで、このあたりが精神障害というものの置かれている状況の困難さであるとも言えるだろう。社会の制度しかり。世の中の意識しかり。
単なる無責任な一読者の立場から言わせてもらえば、著者がかかわったケースのその後がどのように変化したか、現在はどうしているのか、などが知りたかったとは思うが、大人の事情もあって難しいのでしょうね。