- Amazon.co.jp ・本 (514ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101270265
感想・レビュー・書評
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以前NHKの土曜ドラマ枠で放映されたとき、原作をいつか読もうとおもっていました。被害者と加害者、怨恨と更生。殺人をめぐる影響は計り知れません。殺人は、被害者はもちろんその家族、加害者やその家族をも社会的に殺してしまうことになる現実に、慄然とします。
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殺人犯の話
いまいち -
あの夏の夜のことは忘れられない。
一瞬を境に、人生が変わった。
東野『手紙』とは打って変わって、犯罪加害者にスポットライトを当てた作品。
出所後の加害者が抱える葛藤、煩悶について少々冗長に過ぎる印象を持った。 -
真保マジック再来。人の最大の過ちが人を殺めることやと思う。実際俺が主人公と同じ境遇に立たない保証はないわけ。
キレることなんて誰にでもあるわけなんで気をつけよう。 -
少年刑務所を仮釈放となった主人公。
7年前に護身用に持っていたナイフで犯してしまった殺人。
罪障感に乏しく,不遇感を持って受刑していたが,
仕事を決め,真面目に保護観察を始めた主人公の周囲で,
過去の事件を書いた悪意に満ちた中傷ビラがまかれる。
犯人を探そうとする主人公に立ちはだかる様々な障壁。
被害者家族の憤りに触れ,主人公の考え方も変化してくる。
しかし,犯罪者の社会復帰を妨げる要因は社会の側にもある。
そういった現状を淡々とうまく描写した作品。 -
読みながらもいろいろな事を考えさせられる作品でした。
殺人事件における被害者の家族と加害者とその家族。
「加害者=悪」と一言で済ます事の出来ない何かを
考えさせられました。
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この男は人殺しです−。6年の刑期を7ヶ月残し仮釈放された中道隆太を待ち受けていたのは、悪意に満ちた中傷ビラだった。いったい誰が何の目的で−?
あの夏の夜の喧嘩は、先に声を掛けたのは確かに自分だった。けれど最初に手を出したのは三上吾郎だった。
挑発され、怒りに駆られナイフを握った。そして一人の命を奪った。
ナイフを持っていたいう現実だけを見られ自分の主張は決して聞き入れてもらえず、唯一の目撃者である三上の友人には嘘の証言までされ、隆太は人を信じられなくなった。
人を殺めてしまった事実に罪を感じ悔やみつつも、手を出してきた三上吾郎も虚言を吐いた三上の友人も、自分の話を聞いてくれなかった警察や弁護士も許せない気持ちがあった。「最初に手を出したのは三上だった」「殺すつもりじゃなかった」「嘘の証言をされた」「どうして自分ばかりがこんな目に…」
そして悪意に満ちた中傷のビラは隆太の勤務先やアパートのポストだけでなく母や妹、果ては妹の職場にまで被害が及ぶ…
何をしても誤解され、その度に警察に連行され、殺人罪の仮釈放中と判るや否や犯人扱いされる。
保護司の大室敬三は卑屈になる隆太を決して見放しはせず、罪を犯すという事は犯罪者の家族というだけで世間から誹謗中傷される家族の苦しみ総てが罪であり、今の自分のやり場のない憤りや思いが罰であり、それを抱えて一生生きてゆく事が罰でもあり償いなのだと、理路整然と諭す姿は時に手厳しく時には優しさに溢れていた。
ただ終盤にきて突如、隆太の心理変化が若干強引になったのと、家族でもない職場の人達にしろ旧友にしろ、若干良い人達に囲まれすぎなのは突っ込みたい箇所ではあった。隆太の心理描写はもう少しゆっくりの方が良かったかも。
主題が「被害者」ではなく照準を「加害者」とその家族に当てて物語が進むのは、東野圭吾氏の「手紙」と似てる。
犯罪者に対して偏見と先入観がある事を考えさせられる。