花宵道中 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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感想 : 334
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101285719

感想・レビュー・書評

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  • 漫画にも映画にもなっているようですね。
    官能的な部分はあまり気にならなかった。というより純愛ものとして捉えました。
    初めての恋、諦めるしかなかった恋、憧れに似た恋。美しく装った遊女達の表と裏…
    彼女達それぞれがとても魅力的。髪結いとの話も良かったし、姉弟の話も印象的でした。

  • 先輩が吉原は他とは違うんだ、あそこをそこらへんのデリヘルとかと一緒にすんなと力説しているのを思い出すわけだが、何が違うって予約していって駅まで車で迎えに来てくれると。でも帰りは歩いて帰ると。ともかく吉原のネームバリューはすごい。

    やっぱ今でも金持ちの娯楽として流行ってんのかな。現代の事は分からんけど、江戸時代のシステムもなかなかにえげつなく、初回はお話だけよ、みたいなのから処女はめっさ価値があるのとか、おっさんの願望をうまく利用するシステムは昔も変わらんわね。

    こういうの読むと、ホント男って勝手だわー、それに比べて女はいつもけなげに頑張ってるのね、って思うけど、まぁこれ小説だよって言われれば、ですよねーってなる。

    でも適度にエロ(R18向けだけど)を交えつつ、切ない感じで攻めてくるんだから大概面白いやね。タッチとか君の名はと同じシステムだわね。

  • 2017-08-15

  • 安達祐実さん主演の映画を観て、気になったので原作もと思い読んでみた。映画では朝霧の物語のみだったため唐突に思えたり人間関係がわかりづらいところがあったが、全貌がわかると色々と納得できた。主人公の違う短編を繋げて、遊郭という閉ざされた世界で長い年月をかけて紡がれた女たちの物語を創り上げている。その世界観が素晴らしく、それぞれの遊女たちの人生と、遂げられなかった想いに切ない気持ちにさせられる。

  • 2017 3 10

  • 強くて、脆くて、儚い 。

  • 凄い…

    この一言に尽きます。

    美しくて、切なくて、儚くて、現代の小説には無いような感じ(舞台が江戸という事もあるのですが)がしました。

  • 私の好きな時代軸であることもあり、ページをめくる手が止まりませんでした。
    それぞれのショートストーリーかと思いましたが、緩やかに且つ深く繋がっているストーリー。叶わぬ恋は無いのだとでも、恋愛は時として人を狂わすなぁと思いました。でも、恋愛している人が幸せならそれが幸せなのでは無いだろうかとおもってしまいました。また、読み返したいです。
    今でもふと、思い出してしまう作品です。
    これが処女作なんて恐ろしい。

  • 天保八年秋、江戸吉原の火事で小見世山田屋の仮宅は深川八幡前に。妹女郎の八津にねだられ縁日にでかけた朝霧は人ごみに揉まれ草履を片方なくしてしまう。小柄な朝霧を助けてくれた男は草履の鼻緒の友禅を染めた、と言ったー【花宵道中】他5篇◆借金のかたに売られて、さらわれて、自分で望まず小さいうちに吉原にきた女の子たちの話だから楽しい話な訳がない、と大賞とった10年前に敬遠したのが口惜しくも申し訳ない。大賞とった表題作もすごいけど、そこから短篇連作で山田屋の女郎たちの話がどれも切な苦しくここまで考えての1作めだったのか

    と、こういう、賞とった表題作からで1作でもスゴイのに1冊まるごとで余計にスゴイとトリハダだったのは湊かなえの「告白」以来←本当は「花宵」のが先だけど。

    【ネタバレ】好きな男の目の前で嬲られる朝霧、惚れた女が目の前で蹂躙される半次郎、狂おしいけどそれで吉田屋を殺めたんだとしたら、それは吉原じゃ-通用しないんじゃ…と思ってたら吉田屋の過去のあまりの鬼畜っぷりに、そりゃあ半次郎、よくやった!朝霧と添い遂げさしてやりたかったなぁ。月夜をあびて花の浮かび上がる濃藍の仕掛け、見事でしょうねぇ…

    しかし女郎にとって花魁道中ってそんなスゴイことなんか…大賞とった10年前もすでに私は小娘ではなかったけれども、もっと昔に見た「吉原炎上」で名取裕子が好いた男からの身請けを断ってその金で花魁道中やって、そのくせ甚八さん他の女にとられて、て意味わかんなかったんだよな-…まあ、吉原炎上公開の時は15だからリアルタイムじゃみてなくて20前後だと思うから、花魁の意地は理解できんかったんだろうけども

    一人一人の背景と描写が見事で、青花牡丹で霧里と東雲のこと読んでは花宵道中に戻り、十六夜時雨で角海老楼の水蓮が情夫と足抜けすると読めば二人を羨ましく思って初見世を嫌がった茜の薄羽蜉蝣に戻り…同じ村から来た八津と三津、だけど八津の姉ちゃんをさらったのは三津の父親、そして姉ちゃんは水蓮…なんて数奇な。夢を見るのが許されてるのは男だけ。女は男に夢を見させてあげるだけ。
    嶽本野ばらの解説もまたいい(笑)宮木さんが自らサイン会にいきその場の編集者に〆切過ぎてるって指摘されて逃げ帰るとかサイコーww「端役に至るまで人間とは如何に美しいものかと謳い上げてい?のが明確」「こういう率直で健全な精神の作品は、難しいのが優秀とされる文壇では、確か異端視される筈なので、僕が手を下す必要もありますまい。早く本性を暴かれ、潰されてくれるのを切に願います」って(笑)、潰されないで良かったー!この作品の良さがわかる年になって読めて良かったー!(笑)

  • うつくしいに尽きる。吉原で花魁として生きる女たちの生涯。この小説で描かれる恋愛はどれも純粋でうつくしい。人生の結末は悲しくとも、両想いのままに終わる悲恋は物語としてうつくしいとおもった。好き合った男女のセックスの描写がきれいでどきどきする、好きな男とするって女にとって簡単じゃなくとても重要な行為だとおもった。花魁同士の友情も泣ける。

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著者プロフィール

1976年神奈川県生まれ。2006年『花宵道中』で女による女のためのR-18文学賞の大賞と読者賞をW受賞しデビュー。『白蝶花』『雨の塔』『セレモニー黒真珠』『野良女』『校閲ガール』シリーズ等著書多数。

「2023年 『百合小説コレクション wiz』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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