儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

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著者 : 米澤穂信
  • 新潮社 (2011年6月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101287829

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 「バベルの会」とは、実現しない計画や叶わない望みの比喩だと思います。この作品の登場人物は全員が望みを叶えることが出来ません。どの話もラスト一行で終わらずに、もう少しその先を想像してみるともっと楽しめると思います。

    「身内に不幸がありまして」
    名家の重圧の犠牲になり跡継ぎという仮面が僅かに存在していた本来の自分までをも殺してしまう怖さを感じました。自分でも気づかないうちに家族だと思っていた人間を吹子は殺してしまいました。吹子は「身内に~」と言いましたが、彼女とは血縁関係はないのですから世間から見れば身内ではありません。読書会を欠席する理由としては会長は認められなくて、吹子の計画は失敗に終わり読書会に参加することになるでしょう。それが「儚い羊たちの晩餐」に繋がり、その結果として吹子を跡継ぎにしたいという丹山因陽の望みも叶えることが出来なくなってしまうことになると考えられます。

    「北の館の罪人」
    光次が出来なかった兄殺しをあまりは館へ来てからわずか数か月でやってしまいます。早太郎があまりを描いた色は金と同じというウルトラマリンブルーです。あまりは兄弟3人の絵が赤い血から青が生まれるプルシャンブルーで描かれたことを聞いていたので、そのイメージで早太郎の絵の赤い空が青い空に移り変わっていく途中だと思いこんで朝焼けを描いていると思ったのでしょう。夕焼けは晴れの前兆、朝焼けは雨の前兆と言います。光次が真相に気づいたなら、あまりは薄暗い北の館から出られるでしょうか。

    「山荘秘聞」
    ゆき子は両親と同居しているので、ヒマラヤ登山の夢のことや資金がないことももちろん話していたと考えられます。そんな娘が突然ヒマラヤ登山に行けるほどの大金を持って帰ってきたら両親はその金の出所を疑いますよね。そこから今回の事件の真相が明るみになり、守子は飛鶏館にいることが出来なくなるのではないでしょうか。

    「玉野五十鈴の誉れ」
    五十鈴はお勝手の仕事がどうしてもできなくて、このままではいつ小栗家を追い出されるかわからないので、純香を助けることで再び小栗家での居場所を作ろうとしたのかもしれません。しかし純香の父が使用人が一人も小栗家に戻ってこないと言っていたので、やはり純香を助けたい一心で行動したのだと思います。五十鈴は小栗家の従順な人形ではなく、友だちを見捨てておけない血の通った人間だったということであり、そうだとすると純香を助けるためとはいえ赤ん坊を殺してしまった屋敷に戻ってくることはないでしょう。
    せっかく純香を助けても、純香を助けたことで二人は再び離れ離れになってしまいました。

    「儚い羊たちの晩餐」
    「もっと客を呼ぶべきだった」がおそらく伏線で、食事が終わって鞠絵が日記を書いている時に叔父たち以外の客を呼んで料理をふるまうことになったのだと思います。
    鞠絵が料理を食べなかった場合はその分が残っているので、叔父たち以外の客はそれを食べることになると思います。そのおかげで鞠絵の命は助かりますが、その代わりバベルの会の会員になる資格を得ることは出来ません。この場合日記が途中で途切れているのは夢の中の住人でいられなくなったことを表していると思います。
    この作品の登場人物はことごとく願いを叶えることが出来ないので、こちらの方が続きとしてはふさわしいと思います。

    鞠絵が料理を食べていた場合、夏も最初は食材がないと断ったと思いますが、あの父親ですから夏の料理の仕方も知らないし強く命令されたのではないでしょうか。そして夏は蓼沼と同じ羊を一匹分なら用意できると答えたのでしょう。料理を食べてバベルの会の会員としてふさわしい者になった鞠絵自身も日記を書いている途中に何事かがあって、他の会員と同じように彼女の夢想のいけにえになったのではないでしょうか。
    そしてバベルの会の会員はいなくなってし... 続きを読む

  • たまには普段と毛色の違うものを。

    ちょっとずつつながっている短編。よくできた短編は面白いな、と再確認。が、自分の浅学が悲しくなる。知ってたらもっと面白かっただろうのに、という感じ。

  • 読了後にもう一度読み返したくなる、魅力的な短編集。全5話、いずれもひと昔前の上流階層を舞台とし、ゴシックなムードが漂う中に、ゾッとするような悪意や裏切りがある。表紙は中身のイメージをよく表していて秀逸。

    5つの話はいずれも独立しているが、共通点も多い。
    その一つとして、登場人物個人が持つ常軌を逸したプライドや拘りが、物語に大きく作用する。たとえば、主人の言いつけを完璧に遂行する。睡眠中も乱れてはいけない。完璧なもてなしをする。完璧な料理を出す...。
    その常軌を逸した妥協のなさが意外なストーリーを紡ぎ、最後には読む者の背筋を冷やしてくれる。

  • ブックオフで。評判良かったですが…ちょっと消化不良かな。シュールな短編が5本ですが、「バベルの会」のキーワードで少し繋がっている構成。全編、最後にあっ!と言わせる一言があるのはさすがですが、何となく今ひとつ。ただ、4編目の最後にはさすがにやられました。

  • どことなく、三崎亜紀にも似た内容。不思議と狂気を、粛々と進める。
    最近の作品の方が好き。

  • 短篇集で読みやすい。
    バベルの会に集まる金持ちの女学生が現実と幻想の狭間で殺人を起こしたり、問題に巻き込まれたりする。
    手記の視点なので本人が何か抱えてると読めてしまうのが微妙。

  • 思い出しても、あまり印象無し。

    レビュー書くの忘れて、思い出しながら書いてるけど全く思い出せず。

    なんとかの会ってのと、主人と召使と惨殺の話ってのは思い出せるんだが…

    記憶に残ってないってことは、それまでの本なんだと思う。
    短編なんでしょうがないね。

    特におすすめするほどではないです。

  • イヤミスと言われているけれど、予想より読後感は悪くない。寧ろ収まるべきところへ収まった、綺麗な予定調和感が気持ちいい。1作目2作目と流れを作っておいて、3作目で期待を裏切るオチがとても面白くてニヤリとした。4作目はネット上の解説を読んで納得。ただ事実がどうだったかはハッキリ書かれてないから、バベルの会のメンバーの特徴を踏まえると故意か事故かは分からないまま。十中八九故意だとは思うけれど。耽美な雰囲気とダークなオチに「暗黒女子」を思い出した。

  • 夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。
    「バベルの会」で緩やかに繋がる5つの短編。
    上品だけどどこか湿った印象の語り口。
    甘美な、それでいてひんやりした世界。
    ワクワクするけど、覗くのが怖い、だけど途中で止められない・・・
    そして、ラスト1行に背筋がゾクッ・・・
    どの作品も、たっぷりの毒を盛られた極上の一品。
    あ~満足満足!

  • この作者はミステリーではあるけど、トリックや推理がどうとかではなくて物語で訴えかけるタイプなんだろうな。
    みんな病みすぎだし、お金持ちも大変だな。

  • 文庫版を買ってしまった

    【購入本】

  • 何となく読み始め、気付けば夜更け。
    米澤穂信の作品は初めてだったが、面白さにページをめくる手が止まらず一気に読んでしまった。

    最後の一行で予想外の結末に「そういうことか!」と不気味な後味が不思議と心地よかった。

    すごい作家さんだなと素直に感じた。

  • 短編でも1話ずつの満足度高めだったやつ。
    この作家さんのは承部分が長いのがいつもイライラするので無駄なエピソードやひっぱりがなくてちょうどよかった!
    最終話はバベルの会で何か起こるのを期待したんだけどなー。

  • 短編集
    それぞれお話は独立しているのだけど、バベルの会という読書会というものが出てくる。

    全編一人称で話が進んでいくので読みやすい。ミステリーなのだけど、ちょっとした皮肉やユーモア、狂気みたいなものがいいスパイスになっててさくさく読み進められた。

    一話目の仕掛けは、仕掛けのヒントがマニアック過ぎて難しかったけれど、読み終わったときはちゃんと納得できたし、この本の持つカラーみたいなものを察することができる。

    どれも面白く、時にぞっとしながら読み終えたけど3話目の山荘秘聞だけはちょっと???ってなって少しラストを読み直しました。そしてこういうユーモア?好きだなって思いました。

    良質の短編集、好きです

  • 読みやすい短編集。この人が「ポスト・セカイ系」というのはどういうことだろう。セカイ系の定義がよくわからないけど。
    全編が「バベルの会」という子女の読書会で繋がっているが、もっと濃密な繋がりを期待していたので、少しがっかり。

  •  ミステリーというより、ライトホラーと言って良いんだろうか、と思える短編5本。
     描写のえげつなさはそれほど感じないが、かなり怜悧かつ寒々とした心象風景を持つ登場人物があっちゃこっちゃに出てくるからだ。
     ただ、こういうタイプの作品と判って読むと、割にオチは見やすい。そういう意味で、ミステリーとは違うなぁという感じ。
     しかし、この著者の人間描写が、良い意味で意地の悪い人だなぁと感じる。それゆえに「癖になる作家さん」というのもむべなるかなとも。

  • 裏表紙の紹介文には「夢想家のお嬢様たちが集う」読書会とあるけれど、そんな可愛らしいものではない。
    描かれているのは倫理観が崩壊した、いっそ狂的な女性たち。こわい。
    個人的には「北の館の罪人」が一番好き。それは登場人物の行動がまだしも正常…と言うか、異常ではあっても納得できるものだからなんだろうなと思う。

  • 米澤穂信の短編集は面白い
    儚い羊たちの祝宴はそれぞれの話は独立してるけどバベルの会という共通の単語がどの話にも出てくる

    最後の話の結末が非常にインパクトあったので是非読んでほしい

  • 最後の一行で全てがひっくり返って腑に落ちてゾクッとした。

  • 友人がおすすめされて。
    ブラックユーモアがあるというか、まさかねという展開が待っているわたし好みの本だった。
    古典部シリーズとは打って変わってミステリ色と幻想色が強かったように思う。

  • 出てくる料理がおいしそう。

  • 五十鈴の物語は、ストーリーセラーで読んでいて、ずっと気になっていた。
    どれもうっすら匂わせるけども、最後にひゅおっとなる作品。既読だった五十鈴をのぞけば、北の館の罪人がおどろいたなあ。成る程、手袋。
    アミルスタン羊…

  • 擬古的だけど文は端麗で読みやすくていい。みな資産家をめぐる話であるが、「玉野五十鈴の誉れ」がもっともすぐれていると思う。「身内に不幸がありまして」も符節があう点でよい小説であろう。だが、基本的にホラースリラーである。人間の冷酷な面を美しくあつかった小説集といえるだろう。

    身分といったものがあったほうが話はすすみやすいのであろうかと思った。

  • 知らずに読んでみると意外と短編集。
    初めの物語「身内に不幸がありまして」で一気に取り込まれ、久々に一気読み。
    本全体の雰囲気は、グレーというか曇り空というか…まーまーダークだったりしますが、ホラー苦手な私でも大丈夫な、違う角度の恐怖感。
    最後はどれも「あっ」とか「おっ」とか思わされ、次の物語もかなと期待しながらページをめくる手が進み、気付いたら読み終わる。
    繋がっていなさそうなそれぞれの話がバベルの会で繋がっていて、それぞれのお金持ちのおうちが独特な世界観。
    お金持ちではあってもどこの家の子にもなりたくない…そしてみんな普通の顔してるからこそ余計こえーよ。

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