おめでとう (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.43
  • (122)
  • (216)
  • (547)
  • (39)
  • (8)
本棚登録 : 2161
感想 : 252
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101292328

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 短編集。恋愛もの12編。

    川が一番すきです。
    「きかん気で落ち着きのない少年」に「内気でぼうっとした少女」が「やだ、おいてかないで」なんていうシーンが堪らなくなりました。
    川上さんの文章自体がすごくきれいで、曖昧な人間関係を書くのにすごく似合う気がします。すきなひとの一人になりそう。

  • 【本の内容】
    いつも束の間の逢瀬しかできない2人。

    年末の一日、初めて過ごした2人だけの長い時間。

    鍋を準備して、「おかえり」「ただいま」と言い合って(「冬一日」)。

    ショウコさんと旅に出る。

    電話の最中に「なんかやんなっちゃった」と声が揃ってしまったのだ(「春の虫」)。

    いつか別れる私たちのこの一瞬をいとおしむ短篇集。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    ふわふわした感じのする12の作品。

    どこか悲しいのに暖かくもあり、読み終わるとなんだか人恋しくなる作品もあり。

    川上弘美という作家さんの作品はいつもいろんな感情を渦巻かせている。

    読んでて忙しい。

    それすら心地よいのですけど。

    「眠ったらおいていく」という言葉に不安で仕方が無くなる『川』、「冷たいのが好き。さめて冷たくなるのはさみしい。最初から冷たくしようと意志して冷たいのが好き」、というセリフが印象的な『冷たいのがすき』どれも、二人で居ることの危うくも愛しい風景ばかり。

    12の作品、きっとどれかお気に入りが見つかると思います。

    オススメです。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 出会いとか、別れとかって、
    自分では気がついていないくらい
    頻繁に起きてる。

    大切に、しなければ。

  • 色んな気持ちの短編集

    川上さんの小説には[ピンキリ]みたいな揺れ幅がなく、突飛な流れも怒りも悲しみも仕方なさも緩やかに描かれているために物足りなさを覚える方もいるかもしれないけれど
    私は好き

    <冷たいのが好き…から引用>

    (心に)こちんとくる=

    「カチン、みたいに、陰性の雰囲気はないの。ただ、当たるだけ。
    当たって、やな感じになるときもあるし、いい感じになるときもあるから」

    …川上弘美作品のこういう感性が、たまらない

  • 2013 1/1

  • 作品のほとんどが不倫の恋愛を扱っているにも関わらず、生臭さがない。細部ではとてもリアリティのある話なのに、登場人物たちが皆、匿名めいてるせいかもしれないですが、どこか夢の断片のような非現実感があります。生々しすぎず、かといってキレイゴトでもない現実、その距離感が心地よい。

    「いまだ覚めず」「どうにもこうにも」「春の虫」「夜の子供」「天上大風」「冬一日」「ぼたん」「川」「冷たいのがすき」「ばか」「運命の恋人」「おめでとう」

  • 表題作ほか、12の物語による短編集。
    川上弘美さんの本に出てくる登場人物は少し年齢層が高い。

    みんな、すごく恋をして、愛をしている感じがして、大好き。
    年を取ってもこういう風に好きなひとに対して一生懸命でありたいと思う。
    あんまり外見に関する描写はないけれども、好きなひとはたぶんおなかがぽっこりしていたり、髪の毛がすこーし薄くなっていたり、するのかなとか思いながら。
    自然の速さで年を重ねていて、恋をして。

    川上さんの本はほんわかしていて好きだ。
    少しほろっとして、好きだ。
    現実離れしていそうで、現実的で好きだ。
    ひとをすごく愛しくなる気持ちにさせてくれる作家さん。

    「あのさ、俺さ、百五十年生きることにした」
    「百五十年?」
    「そのくらい生きていればさ、あなたといつも一緒にいられる機会もくるだろうし」
    (『冬一日』より)

  • 短編集だが、それぞれの物語からそこはかとなく立ち上る「気配」がある。「運命の恋人」は秀逸。

  • 会社近くのカフェで残作業を終えた後、気分転換にページを開き、目についた小編。
    家庭を持つ2人のイレギュラーな、でもおだやかなある日を描いた『冬一日』。
    土曜の夜、楽しげな会話がさざめくカフェの一角でひとりうっかり涙ぐんでしまった。

    2人の関係がとてもたおやかで確からしいのだ。
    諦感とは全く違う淡々さは、この恋の確かさと切なさを強調して胸をしめつける。

    節度と思いやりに満ちた関係にふっともたらされたある一日。
    二度と訪れない日を過ごす二人の高揚が静かに、でもすごく情熱的に描かれた小編。


    現実のままならなさとつい比べてしまい悲しくなってしまうという副作用つき(笑)

  • ほっこりする本

著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川上弘美の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×