読み解かれるD: クロニクル・アラウンド・ザ・クロックIII (新潮文庫 つ 24-4)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101292748

感想・レビュー・書評

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  • ようやく三部作の完結編。1作目と2作目が個人的にはそこまではまらなかったので、逆に完結のこの3作目で、どんでん返しでどんなカタルシスを用意してくれているかと期待していたのですけども。意外と淡々と終わってしまった印象。

    ミステリの王道ともいうべき、最後に真犯人が刑事や事件の関係者を前に滔々と事件の経緯や動機を語り、すべてが腑に落ちた、すっきり!!という展開を求めていたわけれはないけれど、え?これで終わっちゃうんだ?というあっけなさ。

    真犯人もなんとなく判明したものの追い詰めるでもなく放置したままで、最後の重大なアクションはテレビのニュースや伝聞のみなので、ああやっと解決した!という爽快感は一切なし。ラノベっぽいのは文体だけで、ある意味渋いというか、大人むけというか。

    「ミステリ史に残る感動のラストシーン!」的な大仰な帯の煽りも個人的には逆効果でした(期待しすぎたので)。ヒロインのくれないが、あまり自分の好きなタイプではないから感情移入しきれなかったのも大きいかも。

    余談ですが前作で唐突に登場したので勝手に怪しいと思っていた岡村五月は、単に作者の少女小説時代からの古いキャラクターだったようで、思わせぶりで怪しいと思ったセリフも、単に昔の読者へのファンサービスだったようです。知らない読者にとってはただまぎらわしいだけでした(苦笑)。

著者プロフィール

1964年広島市生まれ。青山学院大学卒業。“津原やすみ”名義での活動を経て、97年“津原泰水”名義で『妖都』を発表。著書に『蘆屋家の崩壊』『ブラバン』『バレエ・メカニック』『11』(Twitter文学賞)他多数。

「2023年 『五色の舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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