ノーザンライツ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101295220

感想・レビュー・書評

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  • この本を読んで星野道夫さんを知りました。
    読んでいて、広いアラスカの景色にぐんぐん近づいていくようで、生きているうちにオーロラを見てみたいと思いました。

  • 浅上さん所有
    →11/07/30 浦野レンタル →11/10/29 返却
    →11/10/29 西村さんレンタル →13/04/19 返却(浦野預り)

  • アラスカ、フェアバンクスの美しい大自然の物語。新しくて古い物語。『フェアバンクスの町もわ何もない原野に一人の詐欺師が現れたところから始まったのだ』という序章の文章はとてもいい。

    このノーザンライツではフェアバンクスが核実験場化計画によりエスキモーや神話が息づいている時代から近代の波に晒される中で、人々が何を感じているかを描いている。
    運動のリーダーだったシリアは言う『時代はいつも動き続けていて、人間はいつも、その時代、時代にずっと問われ続けながら、何かの選択をしてゆかなけらばならないのだから』。

    最後は新しい時代の担いてに託して物語は終えている。

    オーロラ、数十万頭に及ぶカリブーの群れ、トーテムポールや墓守…
    どれも美しく、一つの所作や秘められた物語にこころをつかまれる。
    そして人が人である営みがそこにはあった。

    人の豊かさとはなんだろう?そう思わされた。

  • アラスカに夢を抱き愛した白人たち、そしてアラスカに生きてきた先住民たちの姿が、胸を打つ。


    アラスカに核実験場を作ろうとする計画(プロジェクト・チェリオット)があったのは、初めて知ったのだが、こうした人々の根強い運動で回避されたのは本当によかった。もしも核実験場が作られていたら、環境や生態系などの地球の問題は、きっと今よりも大変なものになっていたのではなかろうか。


    とはいえ……先住民たちの生活環境は厳しい。昔のような、狩猟による共同体的な生活は望めない。でも圧倒的マジョリティである白人と同じ地位を手に入れることも難しい。この本を読むまで、アラスカの先住民といえば、単純にエスキモーとインディアンだと思っていたが、その部族はまた細かく分かれているらしい。


    どうしてこんな厳寒の地に暮らそうと思ったのか、不思議に思っていたのだが、厳寒の地ではあっても不毛の地ではなく、むしろクジラ、アザラシ、カリブーなど、さまざまな動物が生息している豊かで魅力的な地だという説明に、はっとしてしまった。物事は、一面だけでは語れない。

  • この地球上からさまざまな伝説が消えて行った中で、何とか間に合って見ることが出来た大切な世界。

    星野道夫がアラスカで見聞きした事柄を綴っています。

    事実にも関わらず、おとぎ話の様な、昔話を読んでもらっているような暖かさを感じます。欠点は気持ちよすぎて眠くなってしまう事かもしれない…

  • 10/10/11

  • アラスカの大地に魅せられた「白人」たちと、選択の余地もなくアラスカに生きるネイティブたちの物語
    しかし一番の主役はアラスカそのものであろう

    今となっては滑稽な核開発計画「プロジェクト・チャリオット」が単純に核にとりつかれた男の妄執であるとは断言できない

    この計画は「人工」と「自然」との対比だけではくくれない
    人として「生きる」とはどうあるべきか、自分たちの存在意義を確認する通貨儀式となってアラスカのネイティブたちの心を揺さぶる
    計画に反対する人々の魂がさざなみになってアメリカそのものを動かす過程は感動的である

    「核」があたかもダモレスクの剣のようなものである、というのは妄想でしかないのではないか

    「自然」と「人」を考えさせてくれる良書
    きっと、星野 道夫さんの魂は「ノーザンライツ」(オーロラ)のもとで、輝いているのであろう

  • 星野道夫さんの文章はとても美しい。
    難しい語彙を使っているわけではないのだけど、アラスカへの愛と彼の目を通した自然の表現の仕方が透明感にあふれている。
    寒さを恋しいと思う心境を初めて教わった気がする。

    本がキラキラして見えるのです。

    彼の様に好きな物をつきつめて生きて行きたい。

  • きっと私の生涯で、アラスカに関わりを持つことはないだろうと思う。
    でも、ここに記されているアラスカに生きた伝説の人々、そしてアラスカの新たな時代を切り拓こうとしている人々。
    アラスカの自然と歴史を感じ、想う。

    私たちとは違った価値観のもと、豊かな暮らしをしているアラスカの人々の暮らしを知るにつけ、私たちが進んできた道程の遠さと、先に続く道の危うさを感じずにはいられない。

  • 【内容】
    ノーザンライツとはオーロラ、すなわちアラスカの空に輝く北極光のことである。この本には、運命的にアラスカに引き寄せられ、原野や野生生物と共に生きようとした人たちの、半ば伝説化した羨ましいばかりに自主的な生涯が充ち満ちている。圧倒的なアラスカの自然を愛し、悠然と流れるアラスカの時間を愛し続けて逝った著者の渾身の遺作。カラー写真多数収録。

    【感想】

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著者プロフィール

写真家・探検家

「2021年 『星野道夫 約束の川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

星野道夫の作品

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