- Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101296210
作品紹介・あらすじ
明治半ば、播州(兵庫県南部)小野藩最後の藩主の娘として生まれた一柳満喜子。封建的な家で育った満喜子だが、平民の通う女学校に進んで、アメリカ人教師から英語やキリスト教の精神を教えられ、神戸女学院では音楽を学ぶ。乳兄弟の佑之進との恋は実らず、傷心の彼女はアメリカに留学することに……。運命に翻弄されながらも、自らの人生を切り開いていった女の姿を描く感動の大作。
感想・レビュー・書評
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ゴールデンウィークに滋賀旅行で近江八幡にも訪れると話したら友人がヴォーリズ建築を見てきてと、この本を貸してくれました。華族の満喜子は平民の通う学校に通い英語にも堪能で、日本の身分制度に嫌気がさしていた。同じ身分の者としか結婚できないが、乳兄弟の祐之進への想いもある。封建的な父親の庇護から逃れるため、人生を切り開こうともがく日々が描かれます。ヴォーリズとはまだ出逢いませんが、自分の立場を憎みつつも何もできないもどかしさに苦しむ姿が、まだ100年ほど前のことだと思うと、先人の中のこのような女性が今に繋がっているのかと感嘆しました。
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2016/5/8読了
一気に読みました。
廣岡浅子・津田梅子も、少なからず主人公に影響を及ぼし、自分の力で考え生き抜いた明治の女性ががえがかれています。 -
明治から昭和を駆け抜けた夫婦の大河小説。
ハラハラドキドキはないけど、この時代を生き抜いて様々な大切なものを今の時代に残してくれた偉人に感謝。
元華族の満喜子もすごいけど、天皇=『国民の象徴』説を最初に唱えたのが外国人であるヴォーリズであったというのが一番の驚き。
2015/02 -
今まで玉岡かおるさんの著書を読んでこなかったのが悔やめれるくらいの傑作。激動の時代を誇りを持って生きた女性の姿にただただ感動しました。
朝ドラでドラマ化してほしいです。 -
下巻で‼︎
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一気読みした。自分に言い聞かせたいような、自分の人生に活かしたいような言葉がたくさん出てきて、大切な1冊になった。
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藩主の娘として生まれた満喜子。明治の世では華族令嬢としてその身分に縛られ、父の支配する陰気な家で孤独に育った。
そんな少女時代の支えとなったのは乳兄弟の佑之進と、生涯の友となる女高師の学友絹代と余那子であった。
彼らに刺激を受けながらも、自らの進むべき道を探しあぐねる満喜子は果たして答えを見つけられるのか…。
一柳満喜子という実在の人物の生涯を描いた大作。
これほどの偉業を成し遂げた人だというのに全く存在を知らなかった。彼女がその人生で出会い関わった人々もそうそうたる顔ぶれだ。
生来の勤勉さに加え、華族出身ながらも常に謙虚で人との出会いを大事にしてきた満喜子だからこそ、数々の困難を乗り越えることができたのだろう。
終盤はそんな人々との別れが胸に迫った。 -
女性が本来の姿で生きられなかった時代。その中で生きた人々の苦悩や姿勢にのめり込むようにして読み終えた。
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時々現れるト書き(?)から、そして何より副題から、二人が結ばれることはないと分かっていたけど。。。
一柳家、そして時代の暗さに飲み込まれることなく一歩前へ女性の自立をめざし(本人が自覚しようとしてまいと)進む姿に、力づけられる。
今の時代であんのんと生きる自分がちょっと恥ずかしくなるくらい。。。 -
近江兄弟社を作った夫婦の物語。
歴史のダイナミックさが、人間ドラマに勝っている。