- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101299525
感想・レビュー・書評
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いかめしい見た目とは裏腹に、とってもロマンティックな内容だと思いました。久しぶりに出会った素敵な本!仮想の中で生きて行くしかない私達は、生成と死の覚悟を胸に秘め、何かを生み出すんだ。素人の私には丁度良いレベル。
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¥105
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学術書・・・というよりなんか訓示めいた話が印象に残る作品。私は好きですが。
筆者の文章のうまさを私もひしひしと感じました。 -
2007/07 図書館から借りて読んだ。いまの科学を絶対としない態度。あとがきでレヴィ・ストロースが顔を出した。ああ、やっぱり。思い出せない記憶が、どんなに現在の自分に作用しているのか、など、日頃考えつけていることが多く、厚さは薄い値段も安い文庫だけれど、これは手許に置いておきたい。
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2007年3Qの読書は、いきなりの5点満点から始まった。これは、すごい本である。この本の内容を要約して説明したり、コメントを加えたりすることは、相当の時間をかけないと(あるいは、いくら時間をかけても)、今の自分の能力では無理であろうので差し控えるが、自分自身の世の中に対する観方、あるいは、世界観とか人生観とか、う〜ん、うまく言えないけれども、そんなものまでも変えてしまうようなインパクトを持った本であった。本の中の紹介では、筆者は脳科学者であり、ソニーのコンピューターサイエンス研究書のシニアリサーチャーであると紹介されている。きっと優れた研究者なのだろうと思う。でも、この本で扱っているのは、脳が生み出す「仮想」であり、すなわち、今のところ誰も見たことも触ったこともない、サイエンスが扱う対象ではない、と一般的には考えられているものである。それを筆者は、それでも科学者として、また、情緒豊かな人間として、出来る限り論理的に丁寧に、それがどういうものかを明らかにしようとしている。有能な科学者としての資質と、豊かな感性と、それを人に説明しようとする情熱と能力に恵まれた人だけが書ける本だ。「テレビ・ゲームという仮想と、私が繰り返し見るこの世のものとは思えない美しく息づいた仮想の距離は、私たちが思うよりもきっと近い」というのは、科学者としての筆者の願いであり、決意と情熱が書かせた文章だろう。こういう本を、もっと味わい、さらには筆者の考えを自分の中で展開する力が欲しいと思う。素晴らしい本を読むと、素晴らしさに感動すると同時に、そういう寂しさを感じることがある。
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来年の桜を見ることができるのか。
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すごくざっくばらんに茂木さんの考えていることが書かれており、するするする〜っと読めました。まるでテレパシーが伝わってきているかのような、毛穴から化粧水が肌に浸透してきてるかのような不思議な感覚に、静かにコーフンしながら読みました。
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僕にとっては気付きの本となった。特に以下三つの言葉が視界を広げてくれた。
「寧ろ、眼があるにも関わらず、見抜くのである。」「コミュニケーションが成立したと思った瞬間に、同時にディスコミュニケーションが生じている。」「一瞬後には、この世界はどのような姿をしているか判らず、自分もどのようなものとしてここに立っているか判らないと信じること。」筆者は科学者であるけど、この本は哲学書にも近い。中沢新一がそうであるように、この茂木健一郎も未開の地を開拓しているのだと思う。 -
5/9
ABC六本木
未読 -
CG技術の凄さってすごい。映画みてると。この海はホンモノみたい。けどなんだかあとほんの一歩。ほんの数ミリくらいなんだけどボクの想像していたボクの仮想していたホンモノに近づけない。現実はそのCGがあるだけで仮想はボクのなかにある。CGは仮想現実ではない。そこにあるCGが現実なだけ。ボクのなかの仮想は未だ消えることのないあの時みた涙色の海である。彼女にどれくらい私のこと好きかって聞かれても「それは表現できないよ。」そう答える誠実さと切なさはボクの中の仮想のことだから。「君のことをどれほど好きかなんて君にはわかってほしくないくらいだ。」伝えにくい切ない仮想。けど彼女はその様子を見てきょとんとしている。現代の科学ってきっと凄いんだろうな。ボクらには想像もつかないくらいの。って思うのが普通。が。安心してかまわない。それでも結局は人間の意識っていう根本と起源を解き明かすことは未だできていない。サンタクロースはいる。そう思っていてかまわない。いないのはわかっていてもそれが着ぐるみを着た自分であってもだ。娘の中には存在してることに科学はまだ太刀打ちできない。