東京番外地 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101300726

感想・レビュー・書評

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  • 再読。というか、単行本も持っているのだけど、文庫書き下ろしと重松清による解説が読みたくて購入しました。2006年に読んだ単行本では、ゆるい筆致の中にもじわじわと監視社会化が進んでいる状況の気持ち悪さに暗澹としたものですけど、当時よりもっと今は窮屈になっていて、防犯カメラはしっかりと監視カメラと言いかえられ、市民権を得ている悲しさ・・。全ての戦いは防衛のためである、とは森さんが何度も言われていることだけど、また改めて、しっかりしなくちゃ!と思ったことでした・・。で、お目当ての文庫書き下ろしは、なんと東京ディズニーランド。森さんの居心地の悪そうなことには、同行の編集者さんたちがお気の毒なくらいなのですが、(でも、森さんってどこに行っても、なんか憮然としているよね。拘置所でもストリップ劇場でも)そんな彼らを「尾行」する重松清さんの視点が面白くて、もうアハハというか、これだけのためでも買ってよかったなぁ、と思いましたよ。「森達也が森達也である限り、場になじめないのだ」という検証をしたくて、尾行^_^;された重松さん。世間的に見れば、重松さんの方が大物でお忙しそうだと思われるのに、この森さんに対するリスペクトはなんなんだろう・・・。私は、一連の番外地訪問を、森さんの目を通して番外地そのものが持ついかがわしさ、危うさを楽しんで読んでいたつもりだったのだけど、重松さんは「森さんが番外地でどう場違いになるか」が読ませどころだと言われる。なるほどねぇ〜〜。きよし、やるじゃん!と急に上から目線になるのも可笑しいのだけど、やはり、重松清はタダものではない、と文庫解説で男を上げる面白さ。そう言えば、重松さんは作家になる前、ルポライターだったんだ、とも思いだしたりして、いつもの「上手いのはわかるんだけど、今ひとつ、心酔できないんだよね」という彼への気持ちがちょっと変化したという、森さんの本なのに、重松評になってしまったズレもまた、この本なら許してもらえるのでは・・なんてね。

  • なんとは無しに避けられている場所、社会に存在しないかのように扱われている、東京の中の東京じゃない場所。
    そんな、すこし距離を置いてしまうような観るべき場所、知るべき事を巡るお散歩。

  • 現代社会を生きるニンゲンにとって、負の要素を背負っている
    といっていい場所を特集した紀行記です。目を逸らしてすり抜け
    たくなる場所がたくさん紹介されていますが、どこも、どことなく
    魅力的なのです。怖いもの見たさという感覚でしょうか。
    行ってみたい場所が増えました。

  • 思わず警視庁サイトにアクセス。

  • 同じ現場に行って同じ写真をとって同じ感想をとってもスパイスの効いた作品はなんにせよ記憶に残る。独特の味を引き出すのが著者の魅力だと思う。彼の作品はつい読んでしまう。惹きつける何かがある。なんかわからないけど絡み付いてくる。みたま堂のお話で。TDLのイッツ・スモール・ワールドに話が転じて。世界の民族衣装を身にまとった人形が唄って踊って人間はみんなひとつなんだよ。ステキだねっていう世界観を見せてくれるのだが、不思議と死のイメージを内包しているっていう記述。ボクも感じたことがある。黄泉の国。ニライカナイ。天界。なんだろな。不意にだよ。不思議だな。この感覚。好きなアトラクションなんだけど。なんだろな。あれっ。切ない感じもするぞって。そうこうしてると終わっちゃうの。著者が興味を持つ場所っていうのはほんと生生しくて妖気が漂う所ばっか。なんていうのかな。皆が蓋をしようとする場所。皆が目をそむけようとする場所。皆が歴史を消そうとする場所。そう。なんか誤魔化してる場所。こういう本はもっと多くの人に読まれなければならないって思うんだよね。なんかやたら素直な感想だね。

  • 本のテーマとしても新しいものでは無いし、同じような本だってたくさんあるだろう。森達也が書いたから…という点により、僕には面白いのだ。

  • 東京でも名所やトレンディスポットではなく、まず行かないだろうな、という所を探索した、面白いルポルタージュでした。

  • 行ったことのある場所はイメージがわくが、例えば、冒頭の東京拘置所などは、私を含めてほとんどの人には無縁の場所だろう。興味深いレポートだった。

  • 森達也が訪ね歩いた「東京番外地」の数々。そのどれもに興味がわいてきて困る。それぞれの番外地のことを掘り下げて、もっともっと書いてほしいという気にさせられる。

  • 人々の認識外にある東京各所を訪問するルポ。観察対象を眺める著者のスタンスが独特。面白い。

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著者プロフィール

森 達也(もり・たつや)
1956年、広島県呉市生まれ。映画監督、作家。テレビ番組制作会社を経て独立。98年、オウム真理教を描いたドキュメンタリー映画『A』を公開。2001年、続編『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。佐村河内守のゴーストライター問題を追った16年の映画『FAKE』、東京新聞の記者・望月衣塑子を密着取材した19年の映画『i-新聞記者ドキュメント-』が話題に。10年に刊行した『A3』で講談社ノンフィクション賞。著書に、『放送禁止歌』(光文社知恵の森文庫)、『「A」マスコミが報道しなかったオウムの素顔』『職業欄はエスパー』(角川文庫)、『A2』(現代書館)、『ご臨終メディア』(集英社)、『死刑』(朝日出版社)、『東京スタンピード』(毎日新聞社)、『マジョガリガリ』(エフエム東京)、『神さまってなに?』(河出書房新社)、『虐殺のスイッチ』(出版芸術社)、『フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ』(ミツイパブリッシング)、『U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面』(講談社現代新書)、『千代田区一番一号のラビリンス』(現代書館)、『増補版 悪役レスラーは笑う』(岩波現代文庫)など多数。

「2023年 『あの公園のベンチには、なぜ仕切りがあるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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