精霊の守り人 (新潮文庫)

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著者 : 上橋菜穂子
  • 新潮社 (2007年3月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302720

精霊の守り人 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 久々に小説を読みました。
    旅の途中で立ち寄った古本屋で購入。
    行きの車中で読破。
    幸福な読書でした。

    詳しい感想は、コチラ。↓
    http://blue-shine.jugem.jp/?eid=156

  • 念願の守り人シリーズを大人買いしました。

    主人公バルサがチャグム皇子に偶然出会い命を救うところから物語は始まりますが、まずバルサの年齢が30歳というのが意外でした。
    そしてチャグムの口調や好奇心旺盛なところが可愛くて、すぐにのめりこみました。
    ああ、これからあと9冊はこの世界に浸れるのかと思うと...もうそれだけで星5つつけたいくらいですが、思った以上に展開が早くて。もっと読みたかったというのが正直な感想。まあシリーズものとしてはこのぐらいがちょうどいいのかな?

    サグとナユグというふたつの世界というのが私には想像もつかなかったし、ニュンガロイムとニュンガロチャガが入り乱れてる場面は、え?これほんとに児童文学なの??と思うくらい。世界観がしっかりできているので、今後の展開にも超期待です。

  • 老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。

  • 不覚。。次作の感動の予感だけで泣いてしまった。アダルトでもジェンダーフリーで読める。著者の文章力はもとより、別世界の空想話しにも関わらず、登場人物に読者が自身を投影しやすい細かい描写が惹きつけられる。図民は読むべし!詳しくはWikiで。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%88%E3%82%8A%E4%BA%BA%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA

  • 日本人作家が、カタカナの人物名の物語を書くとことに違和感、嫌悪感(日本のCMなのに外国人ファミリーが出てくると、そんなに外国人に憧れてるのかよと思ってしまうのと似てる)を持っていたので、その手のファンタジーは敬遠していたが、評価が高かったので読んでみた。

    まず感じたのは、名前は外国っぽいけど、意外に和風だなということ。自然が舞台になっているせいだと思った。

    アクションシーンは、バルサが短槍使いということもありあまりバリエーションはないが、まあ、時代劇のチャンバラシーンを見ていても飽きないのでいいかなと。

    精霊の守り人などにナンタラカンタラという少し長いカタカナ名が付いているが、結局覚えられず適当に読み流した。(子供だとすぐに覚えるだろうから、それが物語に没頭できるか出来ないかの差かなと思った)

    バルサが助けるチャグムという子や、幼なじみのタンダなどはキャラが上手く描けていたと思うし、謎をとくための古い文献や妖術使いなどのお約束グッズ/キャラが出てくるのも良かった。

    心理描写が長い恩田陸さんと上橋菜穂子を足して二で割ったような作者が書いたらもっとのめり込めたかな?と思っていたら、なんと、本の最後の解説を恩田陸さんが書いていた^^;

    この本を借りた後、綾瀬はるか主演でドラマ化されると聞いて、いいタイミングで読むことが出来たなと思った。

    おっさんなので、そんなに没頭できなかったけど、若かったらこの世界観が好きになっただろうと思えるので星4つとなりました。

  • 2014.4.29 am4:07 読了。徹夜。面白すぎる。のめりこんであっという間に読んでしまった。想像以上。著者が文化人類学者であるからか、随所で現実の出来事をモデルにしたと思われる描写が見られる。ヤクーはアボリジニを連想した。サグとナユグという世界観もどこかで見た気がする。現実を投影して物語を構築し、物語を通して人々に現実世界の本性を伝える。双方向の関係。目の前のことだけに目がくらんで、性急になりがちな現代。このような、世界の枠を、自分自身が認識している世界の大きさを知らせてくれるような物語は不可欠だと思う。恩田陸の解説における「生きていくということは、この世界についての自分の地図をつくること」という言葉や、M.エンデと似たような考えを述べていたことが印象的だった。これは全巻揃えるべきか…!次巻にも期待。

  • バルサは今年三十。―p14より
    とあったけど、三十歳の女の人が主人公の話って珍しくない!?ファンタジーの主人公にしては、おばさんすぎる!

    「十一、二の子ってのは、いちばん命の力が強い時期だって、ヤクーは信じていたんだ。七つより幼い子ってのは、まだ魂がこの世にしっかりととどまっていなくて死にやすい。十四、五になると、つぎの命を産みだすために身体が準備をはじめて、そちらに力をとられてしまうってね。」―p336より
    ともあった。チャグムは十一、二歳の男の子。

    設定から引き込まれる話だった。面白かった! 解説にあったように、アイテムやキャラクターが多いだけの、すぐにゲーム化されそうな異世界ファンタジーではない。守り人・旅人シリーズ、1作目。これは最後(10作目)まで読まなくっちゃ♪

  • うーん? 評判がいいので期待しすぎで読んだのかもしれない。
    世界観はしっかりしていると思う。でもしっかり地に足をつけた設定であるがゆえに、翔ぶことができていないのかな…という印象。登場人物はそれぞれにもっともな言い分があって、各々の信念を基軸に行動している。誰も彼もが「いいひと」で、共感の余地がある。だからこそ共感しきれない。単純な勧善懲悪がいいというわけではないけれど、どの立ち位置にも納得のいく言い分が用意されていて、これほどに「悪いひと」がいないと、さすがに少々胡散くささを感じてしまう。…私が素直じゃないからかもしれませんが、用意された信念に従って行動する登場人物群に、覚悟も葛藤も感じられなかった。
    描写は素朴で、やや平坦かもしれない。固有名詞がアジア系(非欧米系)を狙いすぎているような? この辺りは完全に好みの問題なので、私の好みではなかったというだけですが。

    戦闘シーンが多いけど、迫力はあるのに生々しさに乏しい、かなぁ。傷を負う描写にも痛みを自分自身に投影することはなかった。作者が創作したストーリーのまま、プロットをなぞって怪我をしているように感じられた。

    巻末の解説で「母国語で読める」幸運とありましたが…ううーん?(やー、指輪やゲドを引き合いに出してるけど比べるほどにはファンタジーとして追いついていないんじゃ…私、指輪にもゲドにもそこまで思い入れないけれど)

    全体を通して深みが足りないのかな…世界の息遣いが感じられない。最初に書いたように読む前から期待が過剰だったのだろう。シリーズ続刊を読むかは現時点では未定。読み進めていけば高評価の理由がわかるかな? と期待を捨てきれず迷っているところ。

    (本編には関係ないツッコミだけど、解説、「有象無象の異世界ファンタジーが世界中に溢れた」のはハリポタ以降のことじゃないと思う)
    -----------------------------
    別の場所で『精霊の守り人』について書いた文章を追加します。参考までに。(2016/10/06)

    (前略)
    「大人も充分楽しめる児童文学」というフレーズを前もって聞かされていたら、期待するのは正直に「モモ」とか「果てしない物語」レベルだよね…。これは「児童文学だけど大人も楽しめます!」と期待を煽ってしまった売り手側の甘さに責があるのであって当の「精霊の守り人」という物語自体に落ち度があるのではないとは思うんですが。

    ただ「精霊の守り人」という物語は、とても精巧につくられた「箱庭」世界のように私には感じられました。
    文化人類学という分野を研究する作者が、その知識と経験をつぎこんでつくった、ほぼ完ぺきな「箱庭」世界。
    地理、歴史、神話、伝説、人種、民族、気候、風土…。そういった要素を考慮して、現実にありうべき精巧さで創造した世界。
    知識と経験をつぎこんでつくりあげたその文句もつけようもない「箱庭」に、登場人物と物語を付与して披露された小説。
    登場人物のそれぞれにも背景と価値観、それぞれの正義を用意してあって、精緻に設計された小説。

    でも、箱庭、というだけ。
    というのが率直な私の感想です。
    文句のつけようもない、歴史やら地理やらの背景を用意された世界。学問的には完璧なモデルケースなのかもしれない。
    でも箱庭でしかない。
    もっと、学問的にはありえない、突拍子もない、理論的には成立しない、奇天烈な、ファンタジー世界設定で描かれた物語でも、もっとずっと圧倒的にこちらを巻き込んで物語られる小説は存在して、私はどっちかといえば、そちらのほうに高評価をつけたい。
    小説って結局は虚構です。ファンタジー小説に限らず、小説というものは虚構です。嘘です。たとえ私小説であっても、小説である以上は虚構がある。... 続きを読む

  • 古代の日本やアジアを思わせる異世界でのファンタジー。小学生の頃、大すきでシリーズ読破した覚えがある。にもかかわらず、内容はすっかり忘れちゃってたので、15年ぶりくらいの再読。

    さっぱり覚えてないおかげで、新鮮な気持ちで楽しめた。上橋菜穂子さんの物語り、世界観の構築はさすがだと思う。また、登場人物の心の機微や、食事や住まいの様子など人々の「生活」を描くのがとても上手。でも、お話としては『狐笛のかなた』の方がすきかな。

    上橋菜穂子さんや荻原規子さんに、児童文学の世界に息づく現代日本のファンタジーは支えられているんだなと。あと、文庫版の解説が恩田陸と神宮先生でびっくり。

  • おもしろい。
    話の流れがどうのというよりは、人類の歴史と、人々が考えてきたことと、それがどういう風に伝えられて現在があるかということがすごくリアルで。
    長い時間を経て、すっかり形骸化してしまった文化や風習。忘れられたものがあれば、新しく始まるものもあるし、意味も分からずとも続けられるものもある。変化していくことそのものにこそ、時代を読むための重要な意味があったりもする。
    これは、人類が創ってきた文化の物語。

  • 綾瀬はるか主演のドラマを家族が見ているので、原作を入手してみた。児童文学かと思いきや、物語世界がしっかりと構築され、登場人物のキャラがしっかり作り込まれている。この話を導入として何冊もシリーズ化されているとのこと。家族で全員で回し読みしたい。

  • 2016/3/17読了。
    ドラゴンクエストやファイナルファンタジーやスタジオジブリを想像力の立脚点としない、まっとうな一次創作であり、ハイファンタジーであり、児童文学だった。
    ファンタジー耐性のない人がこの作品の世界にすんなり入り込めるとしたら、それはこの作品の想像力の立脚点がアジアの古い社会にあるからではないか。ガジェットや用語を少し変えれば、東アジアから環太平洋域のどこの民話にも翻案できそうな懐かしい普遍性がある。
    加えて、設定に淫していないところも、幅広く読まれる理由となるだろう。この作品の世界の設定は、この作品の世界を描くためだけのヴァーチャルな閉じたものではなく、私たちが生きるこの現実の世界の摂理を照らすためにある。
    ハイファンタジーとはそういうファンタジーだと僕は理解している。だからこの作品をハイファンタジーと評している人が多いことにも肯ける。

  • 守り人シリーズ第1弾、序章としての物語は完結すると聞いていたのでファンタジーの試し読みという軽い気持ちで読みかかった。
    数ページで物語に引き込まれる結果となったのだが、それは数奇な運命をもがき進んでいく登場人物だけでなく、思惑、陰謀、戦闘などの描写がとても豊かで容易に頭の中でシーンを思い描く事が出来たからに他ならない。
    読み終えた時にはこのシリーズの続きを読んでみたいという気持ちになったは言うまでもない。

  • 守り人シリーズまとめ読み1冊目。
    大型版、軽装版、新潮文庫と3種類あってどれにしようか悩んだが、結局は値段で決めてしまった。
    子どもが少し大きくなってから読むことを考えたら、大型版でも良かったかもしれない。

    おとぎ話だが、よくあるファンタジーと違って落ち着きがある。今もどこかにありそうな民族文化や信仰をベースにしていて、突拍子もない部分が少ないのがその理由の一つだろう。
    また戦いの描写が多く、物語の大切な要素になっているが、武器が短槍というのも渋い。魔法もロボットも美少女も出てこない。だから落ち着きがあって、多くの人がこの世界に入り込めるのだと思う。

  • もともとは児童文学として書かれた物語とのことですが、それだからこそでしょうか。
    ワクワクします。ドキドキします。ハラハラします。
    読み終わってすぐに、「あー、面白かったー。続きが早く読みたいー」となります。
    新ヨゴ皇国の第二皇子であるチャグムに降りかかる災い。ふとした偶然で彼と関わり、彼の身を守るために追っ手から逃れつつ、彼と行動をともにする、女用心棒の<短槍使いのバルサ>。
    そこに、伝説の怪物!?まで絡んできて…
    ファンタジーあるいは冒険譚としての面白さ、国が国として成り立つために張り巡らされる権謀術数、淡い恋物語、いくつもの面白い要素が組み合わさって、飽きることなく引き込まれます。
    シリーズ通し読み確定しました。

  • 児童書とは思えない深く、そして面白い小説です。この本をきっかけに上橋先生の作品を完読。

  • まさに一つの世界が構築されている。これはファンタジーとして最高のほめ言葉でしょう。児童向けとかそういう次元の問題ではありません。著者もあとがきで書かれていますが、そもそも大人向けとか児童向けかなんて漢字とひらがなの使用の違いぐらいのものです。物語の内容はしっかりとした世界観のもと、むしろ大人が読んでも文字通り異世界を疑似体験するかのような目くるめく冒険が待っています。チャグムとバルサの物語はまだまだ続きます。ゆっくりと楽しみながら読んでいこうと思います。

  • 年頃の少年少女が主人公な物語が多い中、30歳の女用心棒が主人公というこの斬新さ。読みながらふっと楽しく思い描ける世界観に生活や背景の描写、そしてそれぞれの大切な人に対する温かで、どこか切ない心情… バルサにおいてもチャグムにおいても、きっとこの旅は自分の止まってしまった時を進ませる、或いは当たり前だと思ってたものが実はそうではないと気付くための大切な旅だったと思います。「十二国記が好きならこれがオススメ!」と…太鼓判を押して教えてくれた友達に、心から御礼を言いたくなる一冊でした。 

  • ついに手を出した「精霊守り人」!
    絶対面白いはずと確信しながらも、なかなか手を出せなかった。
    というのも完結するまで先が長そうだから。

    やっぱり期待通り!
    スリル満点で夢中で読んだ。

    続きがやっぱり気になるので、これから読み進めます!

  • 早く読んでおけばよかった。

    書店で働いていたこともあってよく売れていたのは知っていたし、周りからも結構勧められていました。ただ「十二国記と似ている」と言われていたため、わざと避けていました。といいますのも、十二国記が好きすぎて少し馬鹿にしていたからです。

    ただ今回新潮文庫のブックカバー欲しさにとりあえず買って、積読状態だったのを機会があったので読んでみました。
    こんなにさらっと、しかも早く次の展開が知りたいと思えたのは久々かもしれません。物語のテンポもいいし、設定もしっかりしていて凄かったです。一冊完結なのも自分のペースで読めるのでいいです。

    今の積読制覇したら、続きも読んでいきたいなと思える本でした。

  • かなり平易で読みやすい文章なのに、安さを微塵も感じさせない美しさ。
    読んでいるだけで今起こっていることが目の前に現れるような、精密な(でも簡単で読みやすい)描写力は凄い。
    児童書というよりも、児童でも楽しく読める本格ファンタジー。

  • 自分に一切の非がなくとも、逃れることのできない大きな力に支配された時、人には何ができるのか。

    「予定調和」と言えるくらいに、モノゴトがうまくいく、ということがある。
    けれどそれと同じくらいに、自分では予期もできなければ、たとえ命をかけて全力で挑んでも、覆す事もできなければ逃げることすらできないような出来事に遭遇してしまう、そんなこともある。

    たとえば、震災。
    たとえば、無差別的な事件の被害に遭ってしまうこと。

    特別な人でなくても、誰にでも起きえることだ。

    だからこの作品は、ファンタジーなのに、とてもリアルだ。

    年齢も性別も立場も違うそれぞれのキャラクターに、
    けれどそれぞれ感情移入し、
    どこまでも愛おしく想うことができる。
    ほんの端役であったとしても。
    それが、この作品のすごいところだ。

    読了しても、作品の世界観にはとっぷりと浸かったままであるような気持ちにもさせられるのだけれど、
    でも読了前よりも、物事の輪郭がハッキリと見えるようになったような気にもなれているのが不思議だ。


    強く思ったのは「変えられることはある」ということだ。
    変えられないことがあっても、けれどその中で
    自分にできることを探し出して、つくりだして、選ぶ事はできる。
    もがくこともできる。
    あがくこともできる。

    「児童文学」というカテゴリーとして生まれた作品だけれど、
    子どものときにも、成長の過程でも、そして、自分は大人になったと感じてからも、
    いろいろな場面で読める作品で、いろいろな感じ方のできる作品だと思う。

    名作。

  • NHKでアニメ化されていて、前々から気になっていた本でした。

    正直、なんでもっと早く読まなかったんだろう!と思うくらい面白い‼
    子供の頃に読んでおきたかった!


    ファンタジーなんだけど、現実味がある世界感で、
    一応、最初は児童書として発売されたらしいんですが、大人でも充分楽しめます。

    自分ではどうにも出来ない運命のようなものに苦しむ主人公バルサや、チャグム。
    それでも、自分の意志で自分の生き方を選択して
    力強く生きていく姿に感動しました!

    守り人シリーズはまだまだ続く様なので、全シリーズ読破したいと思います。

  • ストーリーがすごい面白いお話です!
    チャグムはほんとに頭がよくて、でもまだ幼くて、かわいかった!
    バルサのチャグムへの愛が伝わってきました。
    タンダも好き。

  • 久々に、事前知識を持たずに本屋で出会い、手に取り、一気に読んでしまいました。
    ジャンルは新潮文庫では珍しいファンタジー、「日本」を強く意識させてくれる匂いを感じたのがこちら。

    元は児童文学だそうで、そちらでは完結済みでアニメ化もされているようです。
    根底にイメージされるのは、日本古来のシャーマニズムと「神道」が定着し始めた頃の古代日本、でしょうか。

    左右を川に挟まれての北を基点とした都の広がりや、それを治める「帝(みかど)」や「天道」という渡来人の概念。
    アイヌや土蜘蛛、だいだら法師を喚起させる「精霊」や「呪術師」という土着人の概念。

    200年の中での文化の交わりと収斂、そして伝承として混ざっていく土着人と渡来人の知恵と知識。
    著者の上橋さんは文化人類学者だそうですが、なるほど、と納得してしまう世界観が構築されています。

    古事記や日本書紀、大国主命に代表される出雲の逸話や、高天原辺りへの造詣が深いとより楽しめるのかな。
    児童文学だけあって語り口は柔らかですし話の展開も定番ではありますが、ググッと惹きこまれました。

    始まりは、自分を見失っている一人の女性と自分を失いつつある一人の子供の出会いから。
    それぞれが「自分」を取り戻す為に戦い、一先ずの結末を迎えますが、序章に過ぎないといった終わり方です。

    この先の物語の、そして世界の拡がりが、渇きを覚えるほどに楽しみで仕方ない、そんな一冊。

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精霊の守り人 (新潮文庫)の作品紹介

老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。

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