天と地の守り人〈第2部〉カンバル王国編 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302812

作品紹介・あらすじ

再び共に旅することになったバルサとチャグム。かつてバルサに守られて生き延びた幼い少年は、苦難の中で、まぶしい脱皮を遂げていく。バルサの故郷カンバルの、美しくも厳しい自然。すでに王国の奥深くを蝕んでいた陰謀。そして、草兵として、最前線に駆り出されてしまったタンダが気づく異変の前兆-迫り来る危難のなか、道を切り拓こうとする彼らの運命は。狂瀾怒涛の第二部。

感想・レビュー・書評

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  • ロタ王国の南部大領主はタルシュ帝国と手を組み、ロタ王国北部をまさに攻撃しようとしていた。カンバル王国とロタ王国北部が同盟を結べば、タルシュ帝国に対する抑止力になり、新ヨゴ皇国への侵攻も収まると考えたチャグムはバルサと共にカンバル王国へと向かう。
    今回も盛り沢山の内容でした。国同士の水面下での折衝が複雑だけど面白い!第3部早く読まなきゃ!

  • 再会したバルサとチャグムの、カンバルへの旅路。
    民の守り人たらんとするチャグムと、そのチャグムの守り人たらんとするバルサ。

    久々に同じ時間を過ごす二人の様子がどこか、懐かしく。
    その合間にはさまれるタンダとトロガイの師弟の話も、次巻への伏線でしょうか。

    次はいよいよ最終巻、じっくりと読みたいような駆け抜けたいような。
    ”そのときは、人になど、たのまない”、二度目の再会はどんな形になるのでしょうか。

  • 天と地の守り人 第2部。
    チャグムの絶望と希望。
    最後まで諦めない気迫。
    そしてバルサを気遣えるくらいの若者に成長したチャグム。
    活劇の部分は本当に手に汗握る。
    今作もメチャクチャ面白かった。
    とにかくみんな無事でいてほしい!

    さて、チャグムは公の場では「私は〜」と、皇太子然としているんだけど、バルサの前では「おれは」と、甘えん坊になったり、からかったり、とても楽しい。
    厳しい話の中で唯一癒されたところです。
    何と言ってもまだ16歳だもんね。

  • ロタ編を読み始めたら止まらなくなり、カンバル編も一気読み。

    闇の旅人を読んだのが一年以上前でカンバルについての記憶があやふや。

    普段同じ本を読み返すことはあまりないけれど、もう一度最初から、今度は一気読みしたいと思いました。

  • ついにチャグムに追いついたバルサは、彼とともにカンバル王国をめざします。チャグムは、カンバル王国とロタ王国の同盟を実現することに、タルシュ帝国の侵攻を食い止めるための最後の希望を求めたのです。しかし、カンバル王の側近である「王の槍」のなかにも、タルシュ帝国に意を通じている者がいました。

    他方、タルシュ帝国と戦うために草兵として動員されていたタンダは、大きな危険がさしせまっていることを感知し、「魂飛ばし」の術をおこなって、トロガイに伝えます。そしてバルサたちも、カンバル国の牧童たちとの話から、この世界の自然に大きな変化が起こりつつあることを知ります。

    新ヨゴ皇国の運命と、さしせまりつつある大災害の予感がかさなり、クライマックスへ向かって緊張感が高まってきたような印象です。

  • だんだん話が大詰めになってきました。
    つぎは新ヨゴ。シュガやジンも大きく関わりそうだし、タンダもどうなるのか。
    次で最後かぁ。全9巻、長い冒険が終わる。寂しい。

  • 続きが気になる‼︎

  • 現実世界のピンチは膨らむ一方で、打開策も閉ざされるばかり。そんな中、裏世界の影響がどんどん大きくなって、現世からも無視していられない状況に。おそらく、そのあたりに解決を見ることになるんだろうけど、緊張感を保ちつつ、上手く物語を展開していく手腕が素晴らしい。次でいよいよ、この壮大で素敵な物語も大団円。圧倒的感動が待っていますように。

  • いよいよ物語も大詰めを迎える。チャグムとバルサが国を救うために必死にもがくが、いくつもの障壁にぶつかる。しかし、わずかな希望に思いを託す勇気が地道に未来を紡いでいく。
    端から端まで異世界の物語ではあるが、その設定や展開に説得力があるのがこの作品のすごいところ。

  • チャグムの「父上を殺さねばならないなら、そのときは、ひとになど、たのまない」のセリフに泣いた…

    チャグムーーー!

  • 怪我を負ったバルサを、チャグムがしっかりと支えながら歩くシーン。
    熱でうなされているバルサを心配そうに見守るチャグム。
    戦地に赴く前に、気落ちしていたチャグムの頬を、バルサが手のひらで包んで
    「こんな人生だって、哀しみしかないわけじゃない。
    たとえば、ほら…ふくれっ面をして、駄々を捏ねてたチビさんが、一人前の男になって、いま、こうしてとなりに座ってる…」と言葉をかけるシーン。

    まるで親子のような2人の絆の形を見るにつけ、本当に再会できて良かったと思う。
    新ヨゴ皇国の民を守るために、また2人は別れて各々の道を行くけれど、いつかまた再会して、穏やかな時間を過ごせるといいな。

  • 第一部では情勢など土台固めをしっかりとして、この第二部から話が大きく動き出してきた。前巻は各国が抱えている問題や思惑が盛りだくさんで、頭で考えながら、整理しながら読んでいた。この巻では「じゃあ、ここからどうしよう」とそれぞれが考え、動き始めたことで、このシリーズの良さであるグイグイ引き込まれる魅力が出てきた。
    そして何より、バルサとチャグムが一緒にいることで感じられる温もりが良い。「みごとなホイ(捨て荷)だったね」は、この巻で最も好きな言葉。人と人との関わりによって生まれる温もりもこのシリーズの魅力だと思う。その一方で、人と人だからこそ越えられないものもあったりするんだけど…。
    最終巻を読むのが怖いような…でも早く読みたい。シュガの活躍が見たいなぁ、、

  • 内通者の正体とかチャグムがカンタダ王説得する手段とかその後の悶々とかそれをフォローするバルサの言葉とか、なんか色々なものが不自然でなくストンと落ちるの凄いと思う。

  • チャグムとバルサの旅がはじまりました^ ^
    カンバルに着いてカームやラダール王がタルシュ帝国側についていた時はショックで…
    でも分かり合えて良かった。

    アラム・ライ・ラ

  • バルサ、チャグム頑張れ応援したくなる局面が頻繁に訪れる。カンバルでの微妙な外交に四苦八苦。最後には、ようやく希望が叶うが、どうも、ナユグの状況が、今までと違う。
    迫り来るタルシュ帝国とどう絡み合うのか?最終章に突入!ああっ終わっちゃう。でも読みたい。

  • バルサとチャグムの関係がとても心地いい。
    また、シハナやカームが登場しても、
    その人柄を「既に知っている」というのは、
    シリーズものの強みなんだろうなぁ。
    と感じた。

    本編でもチャグムはまた一段成長する。
    「みごとなホイ(捨て荷)だったね」
    というバルサの一言がとても良かった。

    最後、楽しみ!

  • チャグムがタンダと名付けた馬がどうなったか、気になる! 私もいつか犬を飼ったら、タンダと名付けたいな。

    ひざまづいた後にチャグムがとらわれた、胸の中の複雑な思い。それをユーモアある一言でぬぐい去ったバルサは凄い!
    誰にでも、人生でホイ(捨て荷)を使う時があるのかもしれない。
    いつ、何を捨てるのか?
    いざという時、ためらわず捨てる勇気を持つ大人は魅力的だ。

  • 「そう。ここ数年のあいだに、少しづつノユークの海面が上がってきたのは知っていた。ノユークに春が来たのだろう。ノユークの山々が雪融けを迎え、いっせいに雪融け水が流れ出したのではなかろうかな。何百年に一度の、春だ。水面が上がり、山も海の下になり、それまで山にさえぎられていたところが、海に繋がった。そうして、遠くから、いく筋も、大河のように群れをなして泳いできた精霊たちが、この海へたどり着いたんだ。この渚で番(つが)い、新たな命を産み出すために」(301p)

    守り人シリーズのオリジナリティは、一つにはサグ(こちら側)の世界と同時にナユグ(あちら側)の世界が存在して、サグ(人間世界)の都合とは全く無関係にナユグ(他の国ではノユークとも云う)の壮大な動きが描かれていることにある。

    まだ2007年の発刊ではあるが、これはまるで私たちの知らないあいだに太平洋下に潜って行った巨大なマントルのイメージだ。我々とは時間軸が違うこの星の別世界の生態系。そして、やがてそれが人間世界に途轍もない影響を及ぼすことにもなる。

    それが天の動きだとしたら、地の守り人として、バルサとチャグムは「戦争」を止めるために、或いは犠牲を最小限に止めるために、苦しみながら大きな努力をしてゆく。

    バルサは、掠れた声でいった。
    「人を助けるために、人を殺す矛盾は、いまもわたしをがんじ搦めにしている。同じ矛盾にむきあっているあんたに、楽になれる道なんて、示せるはずがない」
    そういってから、バルサは、かすかに苦笑を浮かべた。
    「だけどさ、こんな人生だって、哀しみしがないわけじゃない。たとえば、ほら‥」
    バルサはそっと右手をのばして、チャグムの頬を包んだ。
    「ふくれっ面をして、駄々を捏ねていたおチビさんが、一人前の男になって、いま、こうしてとなりに座ってる‥」(314p)

    次巻は遂に、そしてはやくも最終巻だ。
    2015年7月2日読了

  • んー。面白いんだけどなんか専門用語っていうかその国の食べ物や花の名前がするするっと当たり前のようになんも注釈なく入っててうん?とたまになってしまう。それが持ち味なんだろうけれど。
    でも面白かったです。シハナやカームが出てきたりなんか過去の人々がそろい踏み!みたいな。
    毎度毎度ごはんが旨そうなんだ。

  • 続きが気になり一気読み。チャグムが切ない

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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