魂萌え!〔上〕 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101306339

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  • 夫が亡くなった後に知る夫の真実…
    今更知ってもどうしようもなきのかも知れないけれど、もし自分ならやはり知っておきたいのかも。
    それよりも子供達のお金(遺産)に対しての執着、母親に対しての配慮の無さに嫌悪感が湧いた。
    下巻ではどうなるのだろう。

  • 59歳のおばさんが夫の突然死に直面、死後に10年来の愛人がいたことを知り、右往左往しながら自分の生きる道を見つけていく話。私は45歳のおばさん、しかも主人公と同じように子持ちの主婦なので、このおばさんの気持ちはよくわかる。平穏な日常生活を送っていたはずなのに、いきなりそれが覆され、自分の人生に対する甘さも突きつけられ、あたふた&理不尽に怒ったりしつつ、結局は自分が思うように、自分の心のままに生きるしか平安はないのだという結論に達する過程は生生しく身に迫る。私も今突然、夫があの世に行ったら、同じように右往左往しつつ、時間をかけて自分の足で立つようになる(というかそれしかない)んだろうなと思わせる。桐野夏生は、女の茫漠、女の「生」を意識させる作家だ。無能な主婦も、殺爆とした主婦も、女子高生も、女探偵も、過程や結果はどうであれ、己の人生を自分のものとして生きることを突きつける。ハードボイルドな、孤独な人生だ。そういう人生を、それでも一人ではないという気持ちにさせてくれる。要するに女の救いである。

  • 突然夫を失った還暦前の妻を主人公とするドラマ的小説。

    私の著者の作風は筋金入りのクライム小説で、展開が劇的であるという印象をもっていたが、この作品は展開自体は穏やかに感じた。

    まあまあ楽しめたという感想。

  • 夫が突然死去し、悲しみに沈む…と思いきや、子の問題やら、夫の嘘や愛人やら、友人のアルツハイマー疑惑やら、年齢と現実が一気にリアルになる様は、未来を見るようでなんとも言えない気持ちになる。爽快感はないのに、先を読みたくなる。

  • 家族が亡くなると出てくる問題と、年を取ると出てくる問題は突然我が身にふりかかってくる。逃げ出したいけど逃げられない問題だらけになっていく。解決の糸口はみつかるのか?

  • 夫の急逝により、世間知らずの妻が色んな問題に直面させられる。

    まずは夫に10年来の愛人がいたことが発覚、家を出て以来帰省もせずにいた長男一家が転がり込もうとしたり、それが原因で長女と長男が揉めたり…気持ちの整理もつかぬままに決断を迫られることに。親子でさえ信用ならないとは世知辛い。

    宮里さんがさながら嫌われ松子のようでキャラ立ちしているけど、主人公はどう変わっていくのかな。下巻に期待。

  • 以前NHKにて高畑淳子さん主演でドラマ化されてます。
    夫が定年を迎え、これからのことを考えている矢先に夫が突然亡くなってしまい途方に暮れる妻。よくありがちなテーマだが、思いもかけない女性問題まで発覚。平凡な主婦が葛藤しながら段々と逞しくなっていく様が心地よい。

  • 下巻にまとめて記入

  • 図書館で再会して、昔、新聞に連載されていたことを思い出して読んでみました。

    その間、私もまた、父を見送り、それを機に、私から見て両親だったはずの二人の、男女としての距離感を知ったりもしました。ひと昔前(じゃなかったりして)の男は仕事、女は家庭の価値観の中で、お互いの存在の意味がずれていることから起きる哀しみのようなものは、確かにあるのでしょう。よく考えたら、上記のような昔ながらの価値観に縛られてなくても、年月とともに、お互いの存在の意味は簡単にずれて行ってしまうものかも知れません。

    老いに向かうとともに、そういうことを思い知るのが60歳前の通過儀礼なのでしょうか。

    「平凡」の枠の中の主人公の物語だからこそ、今、読んでも怖いです。

  • 女性も男性も経済的精神的な自立が
    必要であろうと考えさせられた。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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