ドナウの旅人(下) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101307046

感想・レビュー・書評

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  • 遂にドイツから始まったドナウの旅が終わった・・・という感じで、上巻から始まり、すごくはまりました!

    今では自由に往き来できるヨーロッパの国々も、この作品の時代は厳しい出入国審査があり、共産圏である東ヨーロッパでは自由に旅もできない。
    麻沙子とドイツ人の恋人シギィ、母親の絹子と愛人の長瀬、二組の旅人がドイツからオーストリア、ユーゴスラビア、ブルガリア、ルーマニアと、ドナウ川を旅をする姿が、ドナウに沿ってだんだん色濃くなる共産圏の国々の時代背景と共に描かれているのが、この物語を一層魅力的にしているなと感じた。
    旅の途中で出会う人々の背景も、限られた中で端的に描かれていて、登場人物全員に興味が沸いた。

    凄くはまる作品だった。
    しばらくドナウロスになりそうです。

  • 家出した母親を追いかける娘とその恋人。

    ひょんなことから
    母親とその駆け落ち相手の男と4人でドナウ川に沿って
    奇妙な旅をすることに。

    様々な人に出会い、別れながら、生きていることの不思議さ、おもしろさ、
    すばらしさ、醜さ、はかなさを体得していく四人。

    何回読んでもわくわくして、そしてせつなくなります。

    きっとこれからどこへ引っ越しても、ずっと私の本棚の中に
    あるんだろうなー

  • 読んだ本 ドナウの旅人 宮本輝 20240326

     ソウル旅行中にドナウの旅人を読む。
     母親の熟年離婚に端を発した物語も、色んな人間模様が絡んできて、何の話かよくわからなくなってきた。少しサスペンスの味付けもあって、こんな話だったんだって感じでした。
     まだ冷戦下の時の作品なので、共産主義やジプシーなんかへの人種差別への思いなんかが描かれていて、時代の流れも感じました。時代の流れというと、横柄な父と離婚しようとしている母親を、今だったら娘が連れ戻そうとするか。そもそも離婚するのに一大決心でヨーロッパに逃げるか。全てがコンビニエンスになってる今だったら、簡単に別れるし、本人の自由って誰も止めないんでしょうね。人生の大事や規範の移ろいがいい悪いじゃなくて少し寂しい気がしました。
     それにしても、不倫だけは漱石のそれからの社会抹殺時代から、石田純一で世の中に認められたのかと思ってたのに、再び社会抹殺時代に戻ってますね。

  • 主人公4人を軸とし、その他脇役の人々の心情や背景が丁寧に描かれ、一人一人の人生はまるでドナウ河のようだと思わせた。

    絹子には最後まで嫌悪感を拭いきれなかったが、彼女は最も身勝手で最も幸福な人生を歩んだのだろう。
    シギィとペーター2人の王子様争いが見たかったなと思った。

  • 宮本輝さんが描く情景が好き。登場人物が皆人間臭が、上品なところも好き

  • 母から借りた本

    絹子は娘の麻沙子の説得をはねつけ、ドナウ川の最終地黒海まで旅を続けると言い張る
    同行している絹子の17歳歳下の愛人長瀬の旅の目的に不安を感じた麻沙子と恋人のシギィは仕方なく共に旅することにする

    上巻に負けず劣らずの量感…
    長かった…
    大して面白いと思いながら読んでいたわけではない私にとっては苦行のようだった
    読了後はやっと読み終わった!という達成感だけがただただ残った
    ラストは…んなバカな?
    ここまで引っ張ってそんな?
    と腑に落ちない気持ちにもなったけど、まぁ、受け取り方は人それぞれなので…

  • 壮大な旅だった。
    絹子の成長がめざましかった。

  • ☆上巻03-06-13 1か月半ぶりに読書再開/五輪中だがテレビ・ネットなし生活で読書に集中 1983年11月から1985年5月まで朝日新聞連載/ほぼ40年前の小説/大学卒業時期2004年3月に読了

    ホテル・ザッハーのコーヒーハウス☆国立オペラ座近く

    オーストリアとハンガリーの国境駅 HEGYESHALOM
    ウィーン西駅発→ブタペスト東駅 絹子「なんだか、30年前の上野駅みたいね」☆世界一美しいマクドナルドがあるのは西駅

    「多分、あれがラーゴーツィ通りだよ。エリザベート橋と駅とを一直線に結ぶ道さ。エリザベート橋を渡るとブダ。いま俺たちがいるのはペストさ」
    インター・コンチネンタルへ宿泊☆ペスト側・西駅近く

    ブダ城の北側に住んでいる歯医者・バカンス中自宅を貸与・ロージャドンブ地区(薔薇の丘の意)
    日本大使館が途中にあり…

     麻沙子とシギィは、三日間の予定で、ブダペストから北東へ約300キロのいなか町トカイへ遊びに行ってしまった。
    トカイワイン

    ハラーシュバーシュチャ(漁夫の砦)

    「最終地点はどこ?」「まだ決めてないんです」
    「トルチャというところから船が出ているわ。三つに別れているドナウの、真ん中を進む船なの。最後の船着き場はスリナ。小さな小さな町。黒海にへばりついているような寂しい町…」
    「スリナに住んでいるある人に、このお金を渡してもらいたいの。500ドルあるわ。これをルーマニアの金に替えて、渡してもらいたいのよ」

    ハンガリーとユーゴスラビアの国境駅 ケレビア

    ベオグラード中央駅
    カレメグダン公園の近く ホテル・カシナは古いヨーロッパ調の建物であった。

    絹子「ツィゴイネルワイゼンを聴いて、ずっと前から、ドナウ河を旅したいなって思ったの」
    黒海から昇ってくる朝日を見る。

    ブルガリアとルーマニアの国境駅 ルーセ

    スリナ☆大学卒業間際に読んだはずだがラストシーンの記憶ゼロ

  • 東ヨーロッパの町々や素敵な人々との出会いの描写、登場人物4人の心情の変化と衝撃のラストに宮本輝の長編小説にしばらく夢中になりそうな予感がした。
    人の嫌なところは長年過ごすうちに一つの美徳になるというのは確かにそうだなぁーと共感した。

  • ドナウの情景が詳しく書かれ、旅先での人との触れ合いがとても良いのだが、登場人物の妙に芝居がかった感じやストーリーへの関心のなさから、最後になって「やっと読み終えた…」という達成感が正直最も大きかった

  • 私もドナウ河に沿って旅をしたことがあった。だから題名に惹かれてこの本を手に取ったのだけど、微妙な感情の機微の表現に圧倒されてしまった。題名以上にインパクトのある話だった。

    ずっと続く散文的な展開が、ドナウ河を思わせるよう。ドイツからルーマニアまで流れていきながら、ついには黒海に注ぐ水の流れ。なんとなしに各地域における河の太さや存在感が、話の展開にも比例していた気がする。

    それにしても宮本輝が描く女性ってなんでこんなに魅力的なのでしょう!

  • ドナウ河に沿った旅もいよいよ終着。
    道中様々な人と出会い別れる。
    そして突然の死。

    道雄は人生をやり直すことができるのか。
    麻沙子はシギイと国境を越えた愛を成就することはできるのか。
    黒海の港町で物語は終わり、その後の展開は読者に任せられる。
    でも、きっといいことに収まるのだろう。

    久しぶりに読んだ本書。
    記憶していたものとは全然違っていた。
    人の記憶は頼りない…

  • 4人でドナウの先までついにたどり着いた!途中からもしや…と予感していた絹子の死がやはり起こってしまって切なかったが、やはり年齢差や借金や不倫?である2人が結ばれるにはこんな結末しかないのかもしれない。
    それにしても人間のあらゆる感情を見ることができたし、物語は壮大でロマンチックで、読み応えがあった。共産主義圏や普段なかなか行けない国の更に田舎の村の人たち、なぜか皆温かく、人間は世界中同じ生き物なんだなぁなんて当たり前のことを思ったりした。ドナウ河に沿った旅をするなんて、どう考えても金銭面や時間や言葉や…ハードルが多くてなかなか現実にはできないことだけど、そんな美しい旅をいつかしてみたいものだと思う。心の琴線に触れるなにかを感じたい。

  • p.19
    夜のウィーンは、雨のパリに似てる。人間をセンチメンタルにさせるよ。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    絹子は娘・麻沙子の説得にも応じず、ドナウの終点、黒海まで行くと言い張る。絹子の若い愛人・長瀬の旅の目的に不安を感じた麻沙子とシギィは、二人に同行することにした。東西3000キロ、七ヶ国にまたがるドナウの流れに沿って二組の旅は続く。様々な人たちとの出逢い、そして別れ―。母と娘それぞれの、年齢を超えた愛と、国籍を超えた愛を、繊細な筆致で描き上げた人生のロマン。

  • キャラ設定があるのに 人間さががっつり
    コロコロ意見変えたり 根本は変わらなかったり
    ふくざつに増えていく登場人物

  • ドナウの旅は長かった・・・。
    ストーリーが途中冗長になって、読み続けるのが苦しくなるところもあったが、東ヨーロッパを横断する大河ドナウが終わるところには何があるのか・・・それが気になって根気強くページをめくった。
    最後の最後で衝撃的な結末となったが、それ以降の登場人物たちがしっかりと自分の人生を歩んで行くさまが想像できるようだ。
    途中の町や村の描写は、単に紀行文としても楽しめる。
    2017/01

  • 前から気になっていたこの本をついに読み終わりました。
    冷戦終結前の時代に、ドナウの源流から終わりまでの長大な旅。現代とは比べものにならないくらい大変な旅だと思います。
    物語の最初のうちは、これはマサコの物語なのかなと思ったけれど、意外とすぐにシギィとの再会と婚約があり、そして長瀬目線の語りが入ってきたときにこの長大なお話が本当に始まったように思いました。
    それぞれの国の様子、そこで出会う人々、それぞれが魅力をもっていて、そして4人の旅に大きな影響を与えます。
    ドナウ好き、そして、宮本さんファンの自分としては本当に読み終わるのが惜しい物語でした。
    またいつか再読したい一冊です。

  • 先生よりの紹介。
    結末がちょっとズルい。

  • この本を知ったのは、ごく最近で、ある雑誌で紹介されていたから。旅好きな私は題名に惹かれて読むことを決めた。もちろん、宮本輝さんの作品もはじめて。
    情景や心理描写が細やかすぎて、主に通勤時間に読書するため、疲れている日には読み進める気になれず、読むのにひと月もかかった、なかなかヘビーな作品。
    それでも、旅の中で出会う魅力的な人々とのやりとり、そして何よりも旅の最後に待ち受けるもの、そして主人公達の決断が気になり最後まで読み切った。
    そして読み終わった今、納得いかないような、清々しいような相反する気持ちを抱えている。
    この作品は、女性のリアルな狡い感情や思いを綴っているのに、最後は死というあまりにも綺麗すぎる、あっさりした終わり方をする。そのことに非常に違和感を覚えつつ、なんとなく人間のドロドロとした一生の中にも、尊いもの、美しいものがあることを示唆しているのかなと色々と考えてしまう。
    終わり方はともかく、主人公達が出会う人々が言う台詞には名言が多々あり、そして国と国の関係、共産主義、様々なことを学んだ気がした。世界の歴史について、もっと勉強しないといけないなと刺激を受けた。
    更にこれまでの旅の記憶がよみがえり、また旅に出たいと強く思った。
    ドナウ河を見に行きたい!

  • 再生の物語。「悪いことが起こって当たり前。いいことがあったら不思議だと思って、大喜びするのだ」時代や風土や民族が違っても人間はみんな同じ。願わくは幸せになりたいという点において。見栄や自尊心にだまされずに、他人を愛する。長い長い旅の先に何が待ってるのか知りたくて夢中で読んだ。

  • ドナウの如く、読み応えのある小説でした。異国でも、とりわけ共産圏を主な舞台としているため下巻はその社会性に圧倒されながらのめり込むように読んでしまいました。

  • ドラマ観てから読んだので、ひたすら佐久間良子の呪縛から抜けられず。しかも高校生ぐらいだったから、正直良くわからなかった。面白かったのは覚えてるけど。要再読。

  • ドナウ河に沿って長い旅をしている過程で、様々な人と出会い経験を積むことによって成長し、変化していく様子が自然で引き込まれた。
    登場人物たちも個性溢れているし、ヨーロッパの情景が思い浮かぶような文章に浸れました。
    この作品や『深夜特急』のような作品を読むと、自分も長い旅をしたくなってくる。
    とても無理だけど……。
    この作品の頃と、現在では東欧の政治情勢も代わり、ブタペストなんて今では人気の観光地になっているけど、現在に置き換えると少し味気なくなりそう。
    当時の共産圏だからこその味わいもあると思う。

  • ななめ読みでした。

  • 麻沙子が、イケメンで男っぽいシギィと、見た目はともかくも穏やかで問題解決能力の高いペーターとのあいだで、内心揺れてしまう気持ちはよくわかる。

    どちらを選択しても、後悔する人は、無い物ねだりをして後悔するでしょう。

    でも、どちらを選択したとしても、幸せにはなれる気がする。

    読中、海外の作家の翻訳本を読んでいるかのような、不思議な錯覚を覚えて面白く感じた。

  • ドナウ川に沿って旅をする話。とてもおもしろかった。

  • これ最高やわ

  • 昔の本っていうだけでなんか読みにくいんじゃないかという抵抗感が読む前に少しあったけど、読み始めたらそんなこと全然なかった。

    ドナウ川を主人公の女性と婚約者、主人公の母とその愛人が共に旅行をするお話。

    読んでいる間、私もんなんだか旅行に行ったかのような錯覚をしたし、沢山のドラマがあって、本当に楽しかった。

  • ドイツ滞在時、ミュンヘンからニュルンベルクへの旅の道すがら読んでいました。
    ドナウ川を目にしながら。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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