廃疾かかえて (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101312828

感想・レビュー・書評

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  • 解説で酒井順子さんが書いてた
    負のヒーロー貫多
    がしっくりきすぎた、、、解説で感想や気持ちが言語化されてる

  • 先日、千葉真一さんが鬼籍に入られたので、思いを馳せるため再度「仁義なき戦い 広島死闘編」を一部見直してみた。
    かの大友勝利が映画史に残る名ゼリフをいうシーンがあるが、あれはやはり痛快というしかない。

    こういうことを言うと世の女性には蔑視されること間違いなしだが、この貫太&秋恵の夫婦漫才的悲劇はそれに似た痛快感がある。

    罵りの後の迷いのない謝罪、そして見え見えの功利的目論見。何回おんなしことやっとんねん、と、突っ込みたくなる。

    西村賢太はいくつか読んでるが、この本の解説者である酒井女史が述べる西村作品の魅力についての考察は的確であり、大いに同感する。

  • 秋恵シリーズだったがDVメインでなく面白かった。
    安定の西村賢太。

  • 自分のやりたいように生き、後先を考えない様、まるで幼稚でロクデナシと言える主人公。
    三編の短編、いずれも同棲する女性がおり、よくその女性に好き放題やるのが本作の本質。読んでてウンザリしてしまう為体。起点は同じだが指針が異なるのは面白い。だが、やはり主人公の行動にはウンザリしてしまう。私小説作家の極みここに在り。

  • 苦役列車の続編的なものだったので読んでみた。
    北町貫多シリーズの短編仕立て。
    昼一時頃、満腹になった主婦達がソファに寝そべって
    毎日定刻に始まるドラマに目をやりながら「ふぅん...こんな人たちもいるんだー。」などと食後のお菓子をほおばりながら、そんなことをつぶやきそうな内容。
    廃疾を抱えた主人公にもそろそろ飽きてきたので
    西村賢太著の本はこれで打ち止めかな。
    私小説でなければ手に取ることもなかったであろう一冊。

  • だめんず北町貫多シリーズ(笑)。で こういう男と付き合える女子にも なんか共通の傾向がありまして。
    でも「精神的露出狂」って言葉にはすごく共感。ずっと常識をおそれて人生迷子やってると たまにこうゆう極端な振る舞いを見て あたしももうちょっとなら好きにやっていいかもと背中押される気がする。

  • ダメ人間とその連れのお話し

    3編通じてとことん下衆でダメな男ですな
    お金があったら使ってしまうのはどうしようもないダメ人間の特徴

    そんな輩がなぜか藤澤清造のためのお金だけはちゃんと確保していたりするのが謎だ

  • 嫌悪感を通り越して、病み付きになる一冊。

  • 「「 言っているうちに興奮の余り声が震え、目頭まで熱くなって、女の横頬を思いっきりひっぱたいてやるべく手を振り上げたが、咄嗟に首を縮めて目を固くつぶった女に一瞬哀れを感じ、僅かに踏みとどまる。しかしすぐにその憫諒は持って生まれた邪悪な冷酷さに打ち負かされ、ビンタの代わりに口中の唾を、女のおもてにまともに吐きつけてやると、女は何か喚いて立ち上がろうとしたが、それを押さえつけ喉からせせり上げた二発目を吐きつけると、その青痰は背けた顔の左耳辺にベタリと付着し、そこでようやく女は幼児のような泣き声をあげ始め、私は尚とその髪を摑んで引きずり廻し、喚き叫ぶ女に謝罪の言葉を強要して、それを何回も述べさせたのである。」(「瘡瘢旅行」)

     う~ん。最悪だ。相変わらずの西村節全開である。暴力振るっているし、唾や青痰を吐いたりと、キチゃないし。この人の短編集をこれまで三冊読んだが、良い話は一つもない。男として最低な話ばかりである。しかし、次なる最低シーンが予想される箇所になると「おおっ、クるか」と、期待してしまう俺は最低なのだろうか?相手をどんどんと暴力的に、精神的にも追いつめていく様を読んでは、「コイツ最低やのぅ」と思いながらもちょっと笑ってしまうのだ。ここまで女性蔑視な作風を俺は、知らない。

    今回の短編集で引っ掛かった暴言を以下に羅列する。

    「黙れ、不妊症。てめえみてぇな低脳と、カンバセーションしてやるぼくじゃねえぞ。何が、セクハラ、だ。昨日今日覚えた言葉を得意気に振り廻すな!」

    「違う。違う。ぼく、おまえ以外の女に興味なんかあるものか。何、さぞかしそいつは面の皮の厚い、ひねくれ根性がおもてに表れた芋ブスに違げぇあるめえと、それをちと確認しようと思っただけの話だよ」

    「黙れと言ってるんだ、この、オリモノめが! 聞いた風な事をぬかすなと言っているのが分からねえのか。口で言って分かんなきゃ、てめえはまたアバラをへし折ってやるぞ」

     よくもまあ、次から次へと出てくるもんだ。出てくる単語がストレートに汚いし、品がない。引用していいのか俺もためらってしまう。しかし、今回の短編集読みながら、ふと思った。これって、ホントの話?西村賢太は実話を少し脚色して小説にしている、といった旨の発言をしていた。が、西村賢太の小説に出てくる同棲相手と同棲した期間は、一年ほどである。しかし、この同棲相手との話は、西村賢太の作品では、シリーズといっていい位よく出てくる。で、どれもが暴力的で、下品で、卑屈な話ばかり。たった一年間で、こんなにも色々な事が起こり、その度に最低に振舞えるのだろうか?西村賢太は、読み手へのサービスと、己のキャラの確立のために創作している部分も多々あるのではなかろうか?
     少し前、テレビ番組で西村賢太が母校の小学校で、授業を行っていたが、そのときの小学生に接する態度が、「実はこの人、いい人なんじゃ」と思えるくらい、優しかった。最近は、ワイドショーのコメンテーターとして、よくテレビにも出てるらしいし、本当は、小説に書かれているような乱暴な人間ではなく、バランス感覚がある、それなりの常識人なのではなかろうか? まあ、単に外面が良いだけかもしれんが。

     俺としては、小説通りの乱暴者の成功者でいて欲しい気持ちと、本当はいい人だったら、おもしろいなぁ、という気持ちが入り混じっている。

  • 「貫多」と「秋恵」、「私」と「女」の、日常を切り取った3篇を収録。暴力度低。
    「秋恵」「女」との仲は悪化している日常であり、目に見えて「貫多」「私」から
    心が離れていく。『膿汁の流れ』での貫多の散在っぷりが痛快。

    MVP:なし

著者プロフィール

西村賢太(1967・7・12~2022・2・5)
小説家。東京都江戸川区生まれ。中卒。『暗渠の宿』で野間新人文芸賞、『苦役列車』で芥川賞を受賞。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『随筆集一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『随筆集一私小説書きの日乗』『棺に跨がる』『形影相弔・歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自選短篇集』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集一私小説書きの独語』『やまいだれの歌』『下手に居丈高』『無銭横町』『夢魔去りぬ』『風来鬼語 西村賢太対談集3』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』『夜更けの川に落葉は流れて』『藤澤清造追影』『小説集 羅針盤は壊れても』など。新潮文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』角川文庫版『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら他』を編集、校訂し解題を執筆。



「2022年 『根津権現前より 藤澤清造随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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