- Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101332413
感想・レビュー・書評
-
記憶に残る甲子園での5連続四球についてのノンフィクション。プロ野球と異なる魅力を高校野球に感じる人は多い。一つは職業ではないからだ。無意味に見える攻守交代の全力疾走はじめひたむきさや純粋さに好感を覚える。だから、何をやっても勝てばいいということに反発を覚え、敗れても大きな拍手を受けるのだと思う。私立高校に有名になって存続するという宿命があり、そのためには県外から有力選手を集めて勝利を最優先という論理は分からなくもない。ただ、例えば今治西高校と明徳義塾高校の試合を観ていると、指導者の目指すところが大いに違うことを感ずるのである。2016.5.6
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
甲子園での松井五連続敬遠。
雨トークで『甲子園大好きすぎる芸人』的な企画をたまたま見て、翌日本屋いったら偶然この文庫本があったので手に取りました。
星稜、明徳両方の関係者にインタビューを行って当時の思い現在の心境などを聞いていくんですが、テレビの報道とはまた違った内情が明らかになっていきます。
高校野球好きなら更に楽しめると思います。
★3 -
1992年夏、松井が5打席敬遠されたあの出来事を、星稜VS明徳義塾両サイドへの取材をもとに書かれたものだった。
-
話題になったな〜くらいの印象だったお話。関係者には色々なことがあったんだな。という感想。個人的には全打席敬遠はありかなと思いました。
-
松井にも野球にもそれなりに関心があったので読んでみた。綿密な取材によって甲子園での星陵-明徳の監督や選手たちや心情を描き出していくところは興味深かった。しかしこれは著者を含むマスコミの反省文だと思う。思い上がった独りよがりな観点から取材を進めていくうちにそれがマスメディアによって作り上げられた勝手なストーリーであることに気づき最後は反省で終わる。いまひとつの後味。
-
甲子園での有名な試合、松井秀喜を英雄にした試合、五連続敬遠の関係者にインタビューをして、当時の報道、発言の裏を取り、真意を問い、各人のその後を追っている一冊。
当時の報道が真実ではなかったことはわかるが、この本には結論がないと思う。取材をしただけ。
ただ、松井を全打席敬遠して勝てるのは、松井以外を押さえ込める力のある相当レベル以上のチームでないと取れない戦術であったことだけは分かった。
勝つことを純粋に追い求めるのか、勝負することに行くのか、難しい問題ではある。負けて泣くのは選手、負けた選手に同情するのが観客。追い求めすぎたらどうなるのか?そういう問題であったのであろう。 -
高校野球と野球は似て非なるもの。
なにか高校野球に特別な神聖さを見出し、潔癖になっていないか。
高校野球はあまり興味がなくとも、三年間すべてをかけて取り組んできた部活の最後の瞬間を知っている人は、興味深く読めると思う。 -
ノンフィクションは著者の内面をさらけ出すものだとは思うが、すこし感情の入る人物に偏りがあるためか、僅かにそれが邪魔に思えた。
内容については、高校野球を野球の1つと捉える側と、全く別の教育の一環であるとする側との、どこまで行っても相容れない議論に著者が身を投げ入れるもの。
後者の側であった著者が、関係者の話を聞くうちに前者の側に変化していくことになる。その過程において、後者の立場の関係者に厳しい評価をするようになっていっているが、どちらも誤りではなく、その人の関わり方の問題であるから、あとすこし俯瞰的な立場からの検証があってもよかったのではないか。
場面や状況によっては、どちらも正解に、もしくは世論に沿うことがあり得るものであるだけに。
この一般論についての考察が今後の作品で為されれば、読んでみたい。取材姿勢には非常に好感が持てた。