- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101336312
感想・レビュー・書評
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【グレート生活アドベンチャー】
『さすがに向かってくる生き物たちはかなりの強敵ではあったが、僕たちにしたら悪いけどせいぜいカブト虫のメスくらいの強さである。』
『僕の血筋の者でチャーハンにピーマンを入れる者はいない。』
『チャーハンにピーマンはあわないと思う。だってピラフと見分けがつかない。』
『そもそもウチの実家のキッチンは、ただのKでDKではないのだ。KでDするのは、Kにたいしての侮辱だ。KはKのみするところなのだ。』
『リス園はリスがいるだけで、確かにリスの園としての役目は充分果たしているが、リスのための園であって人間にとっては他人様の園に入っていく心苦しさしか感じられないのかもね。』
『最近加奈子があまり口をきいてくれない。まずいと思ったので昨日の残りでチャーハンを作ったがお腹が減って全部食べてしまった。後片付けを加奈子にやってもらう。』
『喪が日常になってしまった。皮膚が喪服なの。』
『実際はそんなに海苔弁な好きと言うわけではない。オカズとライスのパワーバランスをあんまり考えないでいいから何も考えずに食べられるというだけで、味としてはただの醤油をかけた海苔とご飯だし、そんなに絶賛するほどの食べ物ではない。』
『けんのんけんのんって言うじゃん』
『誰が? いつ?』
『おばあちゃんが、危機に瀕したとき』
『危機に瀕してるおばあちゃん見たことないもん』
『マジで? じゃあ想像してみてよ』
『かなり無残なことになってるよ』
『けんのんけんのんって言ってない』
『それどころじゃないみたいだよ』
『魔王よ、お前は今どんな気持ちで僕と戦っているのだ? 僕は30歳で無職の男だぞ。年収は限りなく0に近い男だぞ。収入のほとんどは「¥」でなく「G」だし、ほぼ寝たきりと言っても過言ではない生活だぞ。お前はそんな男に木の棒で打たれ、今死のうとしているのだ。』
【ゆっくり消える。記憶の幽霊】
『つまりわたしは女だから、最近腐っちゃったのだろう。そりゃ、30年もすれば大抵の物は腐るよね。缶詰だって腐るんじゃない? そんなに置いておいたら。』
『あなたにはわからない。わかったとしても、本当にわかったかどうかは、どうやったって、言葉をどれだけ重ねたって、確かめようがないの。』
『一言に尻と言ってもよくよく観察していくと意外と複雑な要素を持っていて、もし視力を失ったとしても、相手の尻を触ることで個人の識別は可能なのではないか、テクノロジーの進歩に伴って、本人認証のシステムは指紋から瞳へ、そして尻へと進んでいくのではないか。』
『スーパーボールはボールを超越したゴム製のボールでどこら辺を超越してるかと言うと、一般のボールより跳ねる。』
『それなりに幸福でそれなりに不幸に生きていた。』
『わたしは愛を疑った。そしたら愛が死んじゃった。もう生き返らない。愛が死んでから世界が一変した。全ては色を失い、感触を失った。』
『本格的にわたしは気絶狙いに出たのだがなかなか集中して気絶出来ない。目が冴えてしまう。気絶のことだけ、考えよう。気絶に向かって集中しよう。リラックス、リラックス。』
『完全につながりを断ったと思ったとき、それは全裸で世界と対峙したみたいな気持ちだった。全裸で世界と対峙したことなんて無いくせに。と思うかもしれないけど、わたしはある。だって、「生まれる」っていうことはそういうことだ。』
『だって愛が二つも三つもあるなんて、自分が2人も3人もいるみたいで、とても我慢できない。』詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主人公の彼の生活にはなんにもないんだけど、なんだかそれがすごく切実に思えた。