- Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101339146
感想・レビュー・書評
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初めてこの本を読んだのは、高校生の時だったと思います。
話の内容はほとんど覚えてなかったけど、すごくほんわかしていて良い印象のあった本だったはずだったのだけれど、本当に180度印象が違ってました。。
まず、ほんわかはしていないとどうしても感じてしまう。
渦巻くものは爽やかとは言い難い感情たち。
微妙な、濃厚すぎる、友情関係と、病んでいる様な、真っ直ぐすぎる様な恋愛と。
主人公の果歩ちゃんと静枝ちゃんとは、私と同じくらいの年齢設定だったけど、友情関係についてはどうも共感しにくかった。。
果歩ちゃんと静枝ちゃんとの微妙な、イライラした駆け引きに似た描写がしんどくて、読みすすめるのに時間のかかった小説でした。 -
学生の時読んだ本、再読。
果歩の姉の今日子姉さんが気になって仕方ない。「昔から何でも上手く出来る優等生」なのに「バツイチ子持ちでしかも親と同居」という超超超地雷物件と結婚って・・・すごいブス?実家が酷すぎて居たくなかったの?しかも眼科医の柴原に「この男は何だってこんなにすかしているのだろう」とか考える辺り結構鋭い気がする。果歩と中野と津久井どうでもいい。静江と芹沢どうでもいい。今日子姉さん、気になります。 -
こいつ、ばかじゃないかしら、と静枝は思った。少なくとも私たちは、何でもぶつけあえばいいなどという単純なやり方で、友情をあつかったことは一度もない。
最大の問題点は、こんな風に常に平穏に暮らしていることだ。調和がとれすぎているのだ。穏やかな口調、穏やかな表情。だいたい、こんなに家庭的な献立てのならぶ食卓だって、穏やかすぎてどこか不自然だ。とりつく島のない感じ、というのだろうか。自足しすぎていると静枝は思う。
果歩はこういうことが好きだった。これをしてあれをしてそれをして、そのあいだにこっちをこうしておいてー。余計なことを考えずに済む作業。
果歩は中野を所有した覚えなどなかった。いったん所有したものは失う危険があるけれど、所有していないものを失うはずがないではないか。だからこそ一切所有しないで暮らしてきたのだし、ともかく自分がいま中野を失うはずはない、と、できる限りの理屈をかきあつめて果歩は思った。 -
果歩の日々を送る生活(と幼なじみである静枝との関わり)を描いているのだけれど、とてもゆるやかな物語だった。
おかしな例えだけど、蛇口から水がポタッポタッと流れているけれど、それをそのままにしたままみたいな。
それでも許されているような。
江國さんのストーリーはとてもゆったりしている。 -
ここ12年でずっと一番好きな本。
何度読んでもまた読みたくなるし、歳を重ねるにつれて、実感を伴って理解できる部分が増えて行くのも嬉しい。 -
20160726
久々に江國香織さんの本を読みました。
果歩と静枝。静枝のことがどうしても好きになれなかったのは、私が静枝に似てるからなんじゃないかなぁ〜、と思いながら読み終えました。プールなんて何年も入ってないし、不倫もしていないけれど、静枝の芹沢との関係性を高尚なものとするところとか、昔の恋人とお酒を飲めちゃうところとか。反対に果歩に憧れを抱くのは、静枝と同じ理由かもしれません。
最後の、果歩と中野くんが夜道を歩くところがやっぱり良かった。果歩の人間らしいところをやっと見られた気がして、電車の中なのに微笑んでしまった。
そして最後の最後。あとがき、で「一九九四年、夏の終わり」って!私1歳になった頃ですよ!今から二十年以上前!そこに一番鳥肌が立ちました。江國香織さんすごい。二十年経ってるのにこの新鮮さはなんなのだ。 -
◆ホリーガーデン 江國香織
まるでタイプの違う幼馴染の夏帆と静恵。30歳を目前にした2人の恋愛の物語。
私はこの物語の結末のふわっとしてる感じがあまり好きではありません。
ただ二つのポイントに強く惹かれました。
まずは女性同士の友情の複雑な面が丁寧に描かれている点です。
以下引用
自分が不幸なときに相手も不幸だと元気がでてしまうのはどうしてだろう。相手の幸福を心底ー自分のよりもずっとー願っているというのに。
言いすぎた、なんて最悪のあやまり方だと思った。言いすぎた、なんて、うっかりほんとうのことを言ってしまってごめんなさいねと言うようなものだ。
ときどき、女を傷つけることができるのは女だけなのだと思うことがある。津久井にさえ、自分が傷つけられたとはとても思えないのだった。
...こんな感じのお互いに対しての意見がところどころ物語には描かれてます。
悲しいかな、確かにそういう微妙な気持ちの歪みが同性の友情にはあるのかもしれないなぁー。
そしておかしなことに、とてもとてもとてもとても大切であればあるほどにね^^;
また、よく大人になってから出会ってたら私たち友達になんてならなかったでしょうね。という言葉を聞きます。
そんな関係性が果歩と静枝にも当てはまると思いました。
果歩と静枝は物心のつくかつかないかの幼い頃からの友人で、自分の人格が固まる前からたくさんの思い出を共有した家族みたいな存在です。
そういう存在は愛おしいけど、価値観が合うとか居心地がいいとかでは繋がってないからちょっと厄介だよね。
でも自分に合う人、反発しない人とだけ続く友情では時に物足りないし、心の成長にはならないと思います。
またそんな思い出で繋がってるからこそ、簡単には失えないしお互いに頼ってしまう存在になると感じました(^^)
もう一つのポイントは女たちの日課の美しさです。
果歩は自分が大人な女だと忘れないように爪に色を塗る。
食事を一人でとらないように毎晩同性の友達との予定を入れておく。
(果歩の習慣ばかり思い出されるけど静枝も自分の生活にこだわりをいっぱい持ってました)
この物語に限らず江國香織さんの本にはこんな少しおしゃれで、風がわりな習慣が出てくることが多いと思う。
日常を美しく描くのは江國香織さんの最大の美点だと思います。