Yuming Tribute Stories (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339634

作品紹介・あらすじ

いまも胸にのこる後悔、運命と信じたはかない恋心、忘れえぬ異国の光景、取り戻したかったあの瞬間の空気。そう、願いがかなうものならば――。メロディーを耳にしただけで、あの頃の切ない想いを鮮やかに甦らせてくれる永遠の名曲たち。不世出の天才シンガーソングライター、ユーミンのタイトルが、6人の作家によって新たなストーリーへと生まれ変わる。唯一無二のトリビュート小説集。

感想・レビュー・書評

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  • ユーミンの名曲と作家が紡ぐ6編のストーリー。

    ○あの日にかえりたい〜小池真理子
     ちょっとした嘘で気まずくなった友、苦い思い出。
    ○DESTINY〜桐野夏生
     規則正しい生活の中に運命の人だと感じた出会い。
    ○夕涼み〜江國香織
     老女たちの沈黙の中に見えてくる感情。
    ○青春のリグレット〜綿矢りさ
     身勝手な主人公はどうするのだろう。
    ○冬の終わり〜柚木麻子
     女たちの感情のやりとりがあるある。
    ○春よ、来い〜川上弘美
     願いを叶える能力があれば、どう使うのか。
     きっと春は来る…という結末。

    ユーミンの歌は、どことなく哀愁があって心にじんわり沁みてくる。
    それに合わせて物語もありふれた日常の中でおこる出来事に、きっと春は来るよ、という明るい先を予感できる。

  • 6人の人気女性作家によるユーミンアンソロジー『Yuming Tribute Stories』刊行! | Information 〜ユーミン最新情報〜 | Yumi Matsutoya Official Site 松任谷由実 オフィシャルサイト
    https://yuming.co.jp/information/2022/05/23/6550/

    6人の作家がユーミンの名曲タイトルから書き下ろした新たな物語。オリジナル中短篇アンソロジー『Yuming Tribute Stories』刊行!|株式会社新潮社のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000561.000047877.html

    Yuming Tribute Stories 小池 真理子(著/文) - 新潮社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784101339634

  • ユーミンの曲からイメージした短編集
    一流の女流作家ばかりなのでどの作品も興味深く面白かったし、贅沢だと思う。
    最後の「春よ来い」が1番印象に残った
    願いごとひとつ叶えられるとしたら、
    自分だったら何にするだろ?
    自分や身内、知り合い以外について願わないといけないという条件がつくと案外難しい。
    でも思いついたらきっとわくわくしそうで楽しい思考だなと思った

  • ユーミンのデビュー50周年を記念して、名曲を女性作家達が小説化!ユーミンの大ファンというほどでもないけど、十代の頃ハマっていた時期があった。その後もドラマ主題歌で、カラオケで、身近な存在であったユーミンの曲達。今回取り上げられた名曲があまりに懐かしく、自分の若かりし頃を思い出すため、どんな作品になってるのかと興味津々で手に取った。
    あぁ、この作家らしい選曲&作風というのもあれば、意外な軽やかさを感じたり(そしてこの曲をこう解釈するかという新鮮さも感じたり)。一番刺さったのは綿矢りさ「青春のリグレット」。この曲の甘苦さが存分に表現されていて、胸がキリキリする。最高の組み合わせだ。
    そして柚木麻子「冬の終り」もなかなか面白かった。ドラマフリークでもある柚木さん、この曲が主題歌だった「その時、ハートは盗まれた」をうまく絡めながら職場での女性達の交流を描いた。ちょっと泣き笑いしそうになる佳作。
    解説を酒井順子にしたのもナイスな人選だと思う!それぞれの作品の魅力をうまく伝えてくれる解説となっている。
    「六篇の小説は我々読者に、ユーミン作品の別の側面を伝えます。」
    その「別の側面」の解釈をどう捉えるか…好みは分かれそうだけど(意外すぎて戸惑う展開もあるので)、それぞれの作家のイマジネーションの豊かさ&それを「読ませる」作品に仕上げる力量のすごさをひしひしと感じたアンソロジーであった。

  • ユーミンのこの曲はこんな感じだ!という固定観念のムダさを ページの隅々から感じました。作家さんの想像力は やっぱりすごい。個人的に「春よ、来い」が好き。ライブ会場に足を運ぶ人々は 縁もゆかりもないけれど、誰かを必ず想っているんだなぁ〜と思う。だから ライブ後は しあわせ気分が満ち満ちに!贅沢な短編集で満足。ユーミンバンザイ!!(笑)

  • ユーミンの曲にストーリーを乗せた6篇の短編集。
    私はその半分以上の曲を知らなかったのだけど、全く問題ない。先立つイメージもなく、それぞれ楽しんだ。

    桐野夏生さんの「DESTINY」と、江國香織さんの「夕涼み」が好きだ。
    「DESTINY」は、ルーティンを大事にする大学職員の男性が、運命の人に出会う話。
    なんだろう、このちょっとユーモラスな感じがたまらない。

    「夕涼み」は、もうすぐ結婚する妹との会話の中で、自分の結婚生活やそこに至るまでのことに思いを馳せる。
    特別不満があるわけでも、後悔しているわけでもなくて、むしろ幸せなのだけど、ふと遠くを見てしまうことだってある。
    そういうものだと思う。でも悪くない。
    一番気がかりなのは、靴下の行方だ。

  •  DUOバンドを組んでいるピアニストの女性からお借りした何冊もの原田マハの本の中に、この本が一冊入っていた。DUOに限らず、ともに所属する地元バンドも含め、ユーミンの曲はぼくらのレパートリーにいくつも入っている。彼女はユーミンが好きなのだ。

     そしてこの本に作品を提供した6人の女流作家たちもユーミンが好きなのだろう。この本はユーミンの曲をそれぞれの作家が、ユーミンの曲をテーマとして書いた短編作品を集めた一冊であり、さらにこの試み自体が、ユーミンのデビュー50周年を記念したものであるという。

     ぼくはユーミンがデビューしたニューミュージック時代は、大学生だった。その頃は、特にその種のジャンルにぼくは興味を持ってはいなかった。どちらかと言えばフォークソングの末期世代と、ウッドストックを賑わせたアメリカのロック・ミュージシャンに熱を上げていた。お洒落な新しいニューミュージックのジャンルもそれを歌う男女新しいシンガーたちにも、なかなか慣れることができず、ただただ古い音楽が消えてゆくのを悲しんでいたように思う。ウォークマンという楽曲を鳴らす秘密兵器が世界に登場した頃のことだ。

     ぼくが所属した音楽サークルは、アメリカン・トラディッショナル・フォークソングの同好会だったが、スイングアウト専門の会なので一年と持たなかった。ぼくはずっとウエストコースト・サウンドやブルースを聴き続け、演奏の方はオリジナルなどに偏りつつあった。

     でもその後、半世紀も経った今は、ユーミンのいろいろな曲を耳にし、自分もその曲をあちこちで演奏するようになり、ユーミンという歌手の才能に相応の敬意を払うようになったし、彼女の音楽は総じて演奏して楽しく、メロディも歌詞も優れた才能に裏打ちされたものと今では根強く評価している。ごく当たり前のことみたいに。

     但し今もユーミンの楽曲のすべてに詳しいわけではなく、本書の作品タイトルはすべてユーミンの曲名で出来上がっているのに、知っている曲は数えるほどである。なので、その作品に取りかかると同時に改めてネットで検索したタイトル曲を視聴した。作家の年齢もまちまちだが、それぞれの時代の作家にタイトルとして選ばれた曲もまちまちなので、アルバムを聴くようにしてこの本を楽しんだ。

     ぼくにはこの本の中には未読の作家が多く、主要作を読んでいるのは古くからミステリの世界で活躍している小池真理子と桐野夏生くらい。なので、やはり二人の作品が結果的にも一番心に来る。短編集の構成として面白かったのは川上弘美の作品かな。最もトリビュートが具体化された作品だったし、短編集の最後を飾るのが、苗場のユーミンのコンサートというクライマックス感もバランスが良いと思う。

     自分ではまず読むはずのなかったこの稀有な作品集を読む機会をぼくに与えてくれたバンド仲間であるユーミン好きのピアニストには、改めて感謝である。

  • ユーミンのアルバムをBGMに読みました。
    豪華すぎる作家陣!

    久々に読んだ綿谷りささんの「青春のリグレット」が、曲を聴きながら読むとあまりに痛くてものすごくよかったです。
    どの話も良かったけど、最後に収められている川上弘美さんの「春よ、来い」が1番好きでした。あの曲をこういう風に書くのか〜〜!という驚き。そして、曲を聴きながら泣いた。



    全体的には大人向けの一冊かなという感想、
    高校生以上のほうが楽しめそうです。

  • まず作家陣がいい。そして“選曲”も。“アレンジ”もさすがで粒ぞろいの6編。詞の世界と同じ70年代の空気感が郷愁を誘う小池真理子さんの「あの日に帰りたい」、3人の人生が苗場で交錯する川上弘美さんの「春よ、来い」が印象的だった。

  • 豪華な作家さん達に惹かれて手に取った本。
    ユーミンの曲自体は少し前のものが多く、殆ど知らなかった。

    川上弘美さんの「春よ、来い」が1番好き。3人の目線で紡がれる物語、とても素敵だった。
    どのストーリーも甲乙付け難いけれど、江國香織さんの「夕涼み」、綿矢りささんの「青春のリグレット」も好き。

    曲を聴いてから読むと印象が変わるのかな?とも思うので、後日ゆっくり再読したい。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小池真理子の作品

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