窓の魚 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 419
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349565

感想・レビュー・書評

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  • とても久しぶりに本を読むので、西加奈子のあっけらかんとした文章をと思ったら、到底あっけらかんとは出来ない一晩の物語だった。この本では「ナーゴ」と鳴く猫より「ニャア」と鳴く猫の方が不吉。

  • 2023.08.21読了

  • ナツ
    こういう何を考えてるのかわからない女性は嫌いじゃない。けれど、そういう女性は俺のことがあまり好きではない。

    ハルナ
    知り合いにこういう女がいる。俺はその女が嫌い。自分のことは棚に上げて他人の欠点ばかりを話すから。何かといえば被害者ヅラをするのが気持ち悪いから。本当は自分がいちばん醜いのもわかってる感が鼻につくから。

    トウヤマ
    タバコは生活の一部みたいに、何事もないように溶け込んでいるのがかっこいい。こいつの大学生から吸い始めたやつみたいな吸い方が気に食わなかった。こういうキザなやつと一緒にいても何が楽しいのかがわからない。

    アキオ
    いちばん気持ちが悪かった。

  • 恋愛小説という記載があったので、
    西さんの書く恋愛小説とは?と思って手に取ったが、
    そもそも恋愛小説ではない、と私は思う。

    暗く、しんどい。
    どうにか興味だけで読み進めたが、
    爽やかの対極をなす読後感。

    ホラーとかサイコとかが好きな人は良いのかも。

  • 窓の魚

    サラバ!が面白かったのでまた西加奈子を手に取ってみる。今回はサラバ!と比べるとだいぶ難解というか、あまり説明的でないタイプの小説であった。しかしながら、人にはそれぞれ暗部があり、それらを丁寧すぎるくらい、いやグロテスクに描いている。そして、温泉旅館にきた4名の主観と、女性の水死体が出た旅館に居合わせた老夫婦や、女将等の1人称で描かれているため、事実はわからない。一般的な三人称の小説とは異なり、それぞれの欠落感や蟠り、内面が表出しているのか否かは、最後まで描かれないのである。そう言う意味で、人々を解釈を寄せ合うには面白い小説なのかもしれないが、私が現在解釈と言えるものを持ち合わせていないのが正直なところである。

  • 私たちから見ると魚が閉じ込められてるけど、
    魚から見ると、人間は閉じ込められてるのか?

  • 初めて読んだのはまだ制服着てた記憶があるから、たぶん中学生か高校生のとき。
    やっと登場人物と同じくらいの年齢になって読んでみる20代後半になってみないとわからない価値観とか感受性とか羨望とか審美とかを携さえて読んだこの短編はもう溜息つきたくなるくらい綺麗だった。
    綺麗とか怖いとかって気持ちは便利な形容詞って機能で表現してしまえるからこそぼやけてしまうこともあるけど、表情・空気・景色・温度・記憶・五感にまつわるありったけの表現を動員して非現実的な雰囲気を生々しく描ける西加奈子さんの表現力はもう読み切ったら頭の中全部持っていかれるくらい世界に没頭させてくれる興奮剤でもあるし鎮静剤みたいな力を持ってる。

    「窓の魚」で描かれる生と死、美と醜、高慢と偏見、静と動、性と愛と憎悪すべてが、ガラスケースにしまって照明当てて少し離れて座って何時間でも眺めてたくなるくらい繊細で綺麗なものに見える。

  • 付き合っていても、一緒に旅行に行くほどの仲でも、
    こんなにもすれ違う
    人の数だけ見え方がある


    タイトルが、水槽のとか、池の、とかではなく窓の魚なのはなんでなんだろうと思ってたけど、
    どちらから見るかで、閉じ込められている、捕らえられている方が入れ替わる、視点が変われば見え方も変わるっていうことなんだろうか

    亡くなった女性があの刺青の方で、ハルナに薬を流していた女性と同一人物であるなら、薬の供給が止まってアキオがナツに薬を盛れなくなり、ハルナはそれをアキオに売って得ていたお金が無くなり(ハルナはお金を使うことをやめたいと思っていたと思う)、トウヤマはどうしても離れられなかったドロドロ関係が終わる
    不謹慎だけど、あの女性の死そのものが4人の未来への救いとして描かれていたんじゃないかと、私は思いました


    それにしても、夜中に読んだせいで不気味さが後を引く、、
    明日ほっこり小説読もう、、

  • 読み始めてから、ああ、この本、前に読んだことがあるな、と気がついた。
    けれど、ナツの私にはないその世界の見方に引き込まれて読み進める。

    何でも話せる親友が欲しい。と言う人が時々いるけど、何でも話す事なんて不可能だし、私は人に何でも話したいとも思わない。
    自分だけの秘密や、人に見せられない弱さやコンプレックス、そんなものを抱えて誰しも生きている。
    自分が虚勢でとっている態度や行動を人がどう受け取るのかなんて、分からない。

    少しずつ歯車が噛み合わなくなったかと思えば、急にまた、ピッタリと噛み合ってスムーズに動き出したり。どんなに好きな人との時間であっても、その感情や関係は刻々と変化していく。

    そんな事を肌で感じさせてくれる物語。

  • いつもの西さんの作風を期待すると肩透かしを食らってしまった。
    ジメジメしていて気味が悪く、ニガテでした。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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