白いしるし (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349572

感想・レビュー・書評

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  • 鼻を折られた塚本美登利とたんこぶの夏目が二人きりで話し合う病室。
    そこにこの物語の全てがある。
    一途さ。男には書けない

  • 共感は出来なかったけど面白かった

  • 好きな人ができたらそれしか考えられへんくなるの大共感。でも依存しすぎてしまう恋愛はうまくいかないよな〜。

  • 「恋をする」というよりも「恋に落ちる」、というか落ちて沈んで上がれなくなって、という表現がしつくり来るかなぁ。
    多分現実で側で見てたら「そんな男やめときなよ」って言っちゃうような状況でも、真っ只中にいる本人は、視界も狭くなって本当にそこしか視えないんだよねきっと。
    それだけのめり込めるのはある意味幸せかも。でもやっぱり痛いなぁ。

  • 猫を近親相姦する瀬田、近親相姦で生まれた種違いの妹に恋する男。自分とは正反対だけど何故か引かれる男の絵。全然違うからこそ惹かれるけど、近づくほど、お互いの間にある奈落の孤独が見えて怖い。
    人は恋愛をすることで、人間性を高める、それは自己統合への道だから。結果的に誰とも結び付かなくても、恋愛をすることでもう1人の自分を知り、その自分もまた自分だと受け入れることを学ぶ。
    ただあまりにも自分に似た人間と恋愛をすると、近親相姦で血が濃くなりすぎて奇形が生まれるように、その人は(あるいはその人たちは)あまりにその人らしくなって、誰も寄せ付けなくなる。大いなる孤独の中に沈むことになる。

    どちらを選ぶべきか、という問題ではなくそうなってしまうのだ。本人がそうしたくなくても。どうしようもなく惹かれてしまうから。

  • ちょっと読もうと手に取ったら一気に読み終えてしまいました。

    主人公の恋愛と絵に対するエネルギーが強烈で目が離せなくなりました。こんなに全力で恋をしたら疲弊するだろうな…。でもいつか自分もしてみたいような、否、読むだけで疲れてくるんだから嫌かな。

    でも夏目もしようと思って始めた恋ではないし、(絵も始めようと思って始めてはない)何か無我夢中になるものってぱったり偶然出会ってしまうのかも。

  • 人を好きになるってこうだよね。

    浮気とかセフレとかそんなチープな概念を超えてて、人を好きになるって沼だと思った。

    自分が自分じゃなくなるくらいき誰かを好きになって、愛し合ったことがある人ならきっとこの本の世界観を味わえるはず!!
    ふと思ったんだけど、西加奈子さんの黄色いゾウを読む前にこれをよんでみてほしい。
    ムコさんが忘れられない恋ってこんな感じなのかなって二段構成で読めるかなって思った。

  • 会いたい。
    そのシンプルな欲求に抗うことができる人は、世界にどれほどいるのか。

    高校生の時、家庭教師をしてくれていた4歳年上の彼を好きになった。
    こんな気持ちでは勉強に身が入らない。
    しかも、彼女がいる。
    そう自分に言い聞かせてお兄ちゃんのような存在だと思い込もうとした。
    結局私の受験はうまくはいかなかったが。

    高校を卒業して1年、彼のことを忘れて大学生活になじみ始めた頃だった。
    突然の連絡がとても嬉しかったことを覚えている。
    1年越しの入学祝いをしたいからご飯に行こうと誘われた。

    出かけた帰り道、すごく幸せな気持ちの一方でこれっきり会えることはないなと寂しく思った。
    別れる直前、「良かったら、また地元に帰ってくる時会おうよ」と言われた。
    その言葉を待っていた私は嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。

    この人を好きになってはいけない。
    頭では分かっていたがどうしようもなかった。
    危険な匂いがしていたのに。

    その後何度も地元に帰るたびに彼に会った。
    好きだ、付き合いたいと伝えた。
    だが、彼はいつも困ったように「まだ大学生なんだから恋愛を楽しんだ方がいい」と言われた。

    私が好きなのはあなただけなのに。
    報われない片想いを1年以上していた。
    そして、あるきっかけがあり諦める覚悟をした。

    私は日常から色を失ったようで、しばらくの間魂が抜けていた。
    夜が寂しくて、いろいろなことを考えてしまった。


    そんな時に読みたい小説でした。
    いまの恋が終わる時、もう一度この本を読もう。

  • 西加奈子にしては、人の凸凹はあってもほっこり感がなかった。ただただ迫るものがあった。

    さらわれる

    この感覚は、惚れっぽい私にもわかる気がする。

    惹かれてはいけないと頭でわかってても、もう感情はさらわれている。

    惹かれた人と触れ合えるのがいいのか、はたまた他人のままがいいのか、どちらが幸せなのだろうか。

    夏目は力強かった。
    ただただ力強かった。
    惹かれた人と想いが通じ合う瞬間があったとして、それはどんな形であれ生きる活力になるのかもしれない。それは夏目が強いからではないか。

    解説に友人の結婚式に参加した時の気持ちが描写されている。友人代表のスピーチで、涙する気持ちがわからないって話してた人に、これ読んだらちょっと、垣間見れるのではとすすめておいた。

    ピュアな気持ちとうがった気持ちの両方が混在する私は、どっちの気持ちもわかるよと言うコウモリみたいな立ち位置


    又吉の劇場に出てくる男の人が真島に似ていると聞いて見てみようと思っている

  • 自分は歳をとればとるほど条件で人を判断しちゃっていることを実感。こんな全身全霊で愛してるって思える人に出会えることは今後あるのかな〜

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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