- Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101359144
作品紹介・あらすじ
妹の死。頭を打ち、失った私の記憶。弟に訪れる不思議なきざし。そして妹の恋人との恋-。流されそうになる出来事の中で、かつての自分を取り戻せないまま高知に旅をし、さらにはサイパンへ。旅の時間を過ごしながら「半分死んでいる」私はすべてをみつめ、全身で生きることを、幸福を、感じとっていく。懐かしく、いとおしい金色の物語。吉本ばななの記念碑的長編。
感想・レビュー・書評
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ばなな先生の本を読んでいると、
なんて自分は乏しい感性の中でつまらなく生きているんだ・・・
と言う気分になります。
流れるままに生きて、人と触れ合うって素敵。
下巻も読もう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日常のほんの少しのことが、あたたかくて、切なくて、大切なものだと感じることができるので、吉本ばななの本は好き。
アムリタでは由男がよい。
高知で夕焼けをみるところの描写がとても好き。 -
「わたしはかなりの夜型なので、たいてい明け方になってから床につく。そして基本的に、午前中には決して目覚めない。」
冒頭から。まるで自分のことだ!
と強い共感を覚えて、いざ、
キッチン以来のばななさん読み始め。
「病院の白く空ろな壁にこだました」
とろとろと流れる素敵な文調が大好きです。
「わたしは客だった時もこの店に来るのが好きだった」
今、勤めている病院が、
患者だった時も好きだったので
これまた強い共感を。 -
再読。
妹で女優だった美しい妹が自殺し、その恋人と一線を越え、弟が不思議な能力を開花させてしまい、主人公の私はバイトへ向かう途中に強く頭を打って記憶の大部分を失った。
そうして喪失を抱えた日々に訪れる、世界からの誘い。
高知、サイパン、そこで出会った不思議な人々。
そして妹の元恋人、竜一と築きなおす関係のもたらすもの、動いていくことを止められないからこそのいとおしさ。
初期の長編。
初期の、と付けずとも、こんなに長いものを吉本さんはこれ以降書いていないと思う。(王国シリーズは、いちおう巻数分かれてるし…)よしもとさんのすごいところは、長編でも短編でも密度がほとんど変わらないことだと思う。
初期のころの、熱帯雨林のような空気感が懐かしく、肺においしい。 -
ツグミ?キッチン?どちらだったかな、すごく気に入ったので次もずっと読みたいと思っていたのだが、手に取るとどうも短編とかエッセイっぽくて、なかなか実現できなかったところ、ようやくこれを手にした。でもって期待は裏切られなかった。ところどころ理解不能な感情もあるけど、彼女のこの世界観が心地よかったし、何よりこの人間関係をうらやましく思った。でも読み終わってみたら、すごく面白かっただけに、今の自分の面白くなさ魅力のなさに幻滅、意気消沈。まだ今週あと一日あるという現実に疲れているからか、読み手の気分で本の印象が変わっては作者に申し訳ないけど。
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2012.9.17読了。
なんというか、スピリチュアルなものをごくナチュラルに差し出されると、少し疲労する。 -
よしもとばなながまだ吉本ばななだった頃に書いた作品で、
私が彼女の作品にはまったきっかけとなった1冊。
とにかく主人公の朔ちゃんが大好きで、私の永遠の憧れの女性。
もうすぐ私も彼女と同い年になろうとしていることに今気づいて愕然とした。
私のバイブルとも言える本。
無人島に持って行く1冊を選ぶんだったら迷いなくこの本を選ぶ。
辛い時にはいつもこの本を読めるように、
10代の頃は常に分厚いハードカバーを持ち歩いていた。
ばななさんの本を読むと、自分が取り戻せるふしぎ。
今も、辛くなったときは絶対彼女の本を読み返す。
時には会社にまで持って行く。
よしもとばななの作品に出会わなければ、
わたしはどうなっていたんだろうとさえ思う。
そこまでの作家は他にいない。 -
好き嫌いがわかれるみたいだけど(解説の沢木耕太郎さんはたぶん駄目なクチだったのだろう)何度もこれで救われたような気がする。
本当につらかった時期に、ここで描かれている事や、描こうとしていたことに一番深く共感したような気もする。
ばななさんもアムリタを描いた頃は人生最悪の時期だったらしい。
極限はつきつめれば本当に当たり前の生活の中にある、みたいなこと。
色んな読み方が出来る本だと思う。そのうちのひとつに、どこで道が分かれるのかという事がある。
主人公の朔実ちゃんも好きだけど、自殺した妹の真由のほうに感情移入してしまう。
" しかし真由と私の違いは、ささいなことですが大きかった。すごい美しい景色のところに旅行に行くと、・・・たとえばそれは奈良でしたが。三輪山の展望台から家族で夕日を眺めていました。
(中略)
とにかく真由はそういうとき、あんまりにも景色がきれいだったりするとこわくなって、決して退屈してではなくて「早く帰ろう、うちに帰ろう」っていう子だったの。
私は、「この景色がもっとよく見えるところがあるはずだから、お山にのぼろう」っていう子だった。"
でも結局最後には、朔実ちゃんは生命力そのものなんだなと思うようになる。そのまぶしさの分、影はとても濃いということ。それすら記憶の中に包んでやさしく書いている目線が好き。 -
姉の記憶の欠如、妹の死、弟に生まれた不思議な力、そしてその力にとまどいながら理解し受け止めようとする弟自身と姉、複雑でも愛のある家族の関係、そして姉の恋と姉と出会っていく人々、
内容を聞くだけだと重く暗くなってしまいそうな話が実際に読むと全然違うんです、優しくて心があたたかくなるようなとても素敵なお話になっています。
この「 アムリタ 」をキッカケにばななさんの小説へ浸かっていきました。気持ちのモチベーションが定まらないときや時間があるときは今でも無性に「 アムリタ 」を読みたくなります。ほんとうにだいすきな小説です。