なんくるない (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359298

感想・レビュー・書評

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  • なぜこの人は

    私が上手に表現できない心の声を

    こんなにもぴったり、あらわしてくれるのか。

    心と素敵な言葉が結びついただけでも

    とても満足いく一冊ですが、

    沖縄のやさしくて、力強くも美しい自然と

    独特のゆったりした人の良さを

    ふんだんにちりばめてあって、

    沖縄がただ単純に
    「狂ったように働く日本人にとってのオアシス」という印象でなくて

    「現代社会で生きていくために必要なものが見つかる場所」

    っていう人が浄化されてく感じを書いてるところがすき。

    個人の恋愛にとどまらず、

    家族や人間関係に関する問題を風刺してるとこも相変わらずで

    精神的に成長していく過程が

    これまで私が経験してきたことに

    かなり近いところまで

    ピタッと確かな言葉で代弁してくれてる。

    沖縄に行きたくなることはいうまでもないけど。

  • なにかあっても大丈夫よ、どこへ行こうと、
    あんたたちは私の宝物。

  • 沖縄旅行のお供に読み始めたから、タイムリーに沖縄パワーに共感した。確かにあの地には、いろいろを受け入れてくれる寛大さがあるような気がした。夢とか憧れとか、もしくは何かからはみ出したものとかも。沖縄には移住者が多いが、みなそういうパワーに引っ張られて来たのだろうか?わたしもあの寛大な空気の中で、すごく自分でいられた。武器も鎧もいらなかった。

    つまんないことがたくさんたくさんあって、力がなくなるようなこととか、生きててもしかたないと思うようなことがたくさんある、TVを観ても、なにをしててもいつでもたくさん目や耳に入ってくる。だから面白いことをたくさんして、逃げ続けるんだ。逃げ続けるしかできない戦いなんだよ。僕のちっぽけな人生を誰にも渡さないんだ。(p.214)

    最近、嫌なものばかりを目や耳が拾うようになってしまった。それには嫌な感情もついてくる。そしてそんな自分こそ嫌になる。もう全てをバッサリ切り落としたいとさえ思う。
    大変なこととか辛いこととか悲しいこととか、そういうのから逃げたいんじゃない。生きてたらそんなこといっぱいあるし、それは成長に繋がる。そうでなくて、自分が自分でなくなるような、息がしにくいような、そういう圧力みたいな嫌なものから逃げたいのだ。

    トラのセリフと、今のわたしの頭の中が重なったようで、良き理解者に出会えた温かさなのか安心感なのか、涙が出た。

    そういう重なりが、『なんくるない』にはたくさんあった。

    悩んで、なんくるないと思っては、また悩んで。うまく進んでいかなくても、それでも進んでるんだ。読んだ後、“なんくるない”気持ちで心が明るくなった。

  • 「違うことをせず、時の流れに身を任せる」

    というばななさんの小説で一貫して感じるメッセージ。
    それを沖縄のあったかくて大きい空気で包みこんだ話。

    私の感受性が乏しいのか、
    所々表現がしっくりこない箇所もあるけど、
    力を抜くにはもってこいの本。

    ぎちぎちスケジュール観光ではなくて、
    沖縄にぼーっとしに行きたくなる。
    日差しとか、色の濃い景色とか、感じたい。

  • ほっとさせてもらった。

    ずいぶん忘れていた心のやわらかいところを
    あたたかな水にひたしていく感じだった。

  • 沖縄の旅のお共に連れて行った一冊。
    情景が浮かんで沖縄が恋しくなる。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/759355

  • 沖縄が舞台の短編小説

    読み手によって
    または、そのときの状況によって
    感じることが変化するであろう作品

    何とも言えない、心がほわほわとする感覚
    真っ直ぐに生きなくてよくて
    自分なりに地に足ついてれば
    流れに任せて生きてもいいんだと思える作品

  • 読みやすくて面白かった。沖縄に行きたくなった。表現の仕方が好き。
    ◯誰かと密に一緒にいられる時間はいつだって本当に短くて、星の瞬きのよう。
    ◯私の人生は今までもこれからも最高で、両手にいっぱいの果物を持っているみたいな人生だと単純に思えてきた。
    ◯いつか時が来て、一緒にいられなくなる日まで。私は彼の手をぎゅっと握って、これから行く夜の闇の世界でもこの光を、このぬくもりを消して話す枚と思った

  • 沖縄滞在中に読み終わった。
    素肌を焼く太陽の力、すべてを洗っていく海の力などなど、あの島が思い出させてくれた自分の底力のような物が、そのまま描かれていた。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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