白洲正子自伝 (新潮文庫)

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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101379074

感想・レビュー・書評

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  • なるほどうつわなりに大きくも、小さくもなるという証拠みたいなエッセイだった。

    うらやましく思った時代先取りの感覚に、うつわのちがいをひしと感じる。「高ぶらず卑下もせず」と私も気取ってきたけれど、庶民の血筋はあらがいがたい。薩摩隼人の祖父、貴族の出自の本当はこういう方が「高ぶらず」というと本物なのだ。まず、ちいさい自分が恥ずかしくなった。

    伝法な言葉を駆使しているようで、お行儀が悪いと言っているそばから、的確な表現や上品さがすけてみえるからかなわない。

    『両性具有の美』を読んで力強い文章に魅せられた、その「白洲正子」という人たらしめた所以がわかってくる自伝のこの文章も端整だ。

    お能のことは知らないけれども、それの著書も多い著者の素養のなせるわざと思う。堪能。

    目利きの達人といわれた「白洲正子自身」への目利きがいいから、他作品も読みたくなって来る。

  • 白洲次郎が好きなので、読んでみた。

    白洲次郎の妻、白洲正子。
    とは言え、完全に「白洲次郎の妻」の枠組みを脱していて、「白洲正子」として成り立っている。

    江戸時代がほんの最近だった時代に生まれた人の話は面白い。白洲正子の祖父は普通に武士で、戊辰戦争に参加したりしていて、まるで映画や歴史の教科書の世界が彼女にとっての実際だったのである。

    白洲次郎は目には見えないもの、物事のメカニズムを捉える力や、先見の明に長けていたと思うが、正子は今現在に忠実で、目に見える現実を捉える力に優れていたように思う。

    白洲正子がどのような生涯を過ごしたのか、ざっくりと追うことはできたので、次は物書きとしての側面を彼女の著書から見てみたい。

  • それを叶える環境が整っているのもあるけど、正子さんが強い意志でどんどん挑戦して実現して、めっちゃかっこええなあと思った

  • 生活レベルがかけ離れているけど、久しぶりに自分の祖父母(世代)と、特に目的もなく、色んな話ができた感じがして良かった。

    (齋藤孝の文庫百選から選んだ2冊目)

  • 白洲正子が1991~1994年に『芸術新潮』に連載した自らの半生記を文庫化したものである。
    薩摩隼人の元海軍大将、樺山資紀の孫として生まれてから、東京永田町と別荘のあった富士の麓での幼少期の生活、14歳で留学した米国のハイスクールでの生活、4年後に帰国した翌年の白洲次郎との結婚、次郎の出張に同行したヨーロッパの旅、第二次大戦開戦後の鶴川村での生活、骨董の世界の天才青山二郎や小林秀雄との出会い、ペルシャ、スペイン、バルカン半島への旅などの半生が、多数のエピソードを交えて綴られている。
    中でも、GHQに「従順ならざる唯一の日本人」と言われた白洲次郎に一目惚れをしたエピソードは、飾ることなく記されており、とても微笑ましい。
    後に能や骨董への深い造詣を基に、日本の美についての数多くの優れた随筆を残す白洲正子が、如何にして白洲正子となったかがわかる作品である。
    (2007年11月了)

  • 2014/07/13完讀

  • 自伝とはいいつつも風なのは正子さんならではないかと思う。おじいさんの話や留学中の話など、いつも日本の話ばかり読んでいるので、こういう素地があるからまた、あのような内容を書くことができるのだろう。

  • まず本当のセレブの生活感覚がわかる。小さいときから本物に囲まれていたら、その感覚は真似ようとしてもムリなのだなあと。あとは、著者の胆力と文章の心地よさ。言い切る言葉が多いのですっきり読める。

  • 白洲正子が白洲次郎の奥さんということしか知らなくて読んだのだが、戦前のお嬢様の生活感が感じられてとても面白かった。写真もたくさんあって興味深い。

  • 人間の命なんて自分の力ではどうにもならない、そう思い定めてしまうと、案外この世は生きやすいものである。
    死はいつも私の隣にいる。いや、私の中に在る。
    217ページ

著者プロフィール

1910(明治43)年、東京生れ。実家は薩摩出身の樺山伯爵家。学習院女子部初等科卒業後、渡米。ハートリッジ・スクールを卒業して帰国。翌1929年、白洲次郎と結婚。1964年『能面』で、1972年『かくれ里』で、読売文学賞を受賞。他に『お能の見方』『明恵上人』『近江山河抄』『十一面観音巡礼』『西行』『いまなぜ青山二郎なのか』『白洲正子自伝』など多数の著作がある。

「2018年 『たしなみについて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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