男と点と線 (新潮文庫 や 69-1)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101383712

感想・レビュー・書評

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  • 男と女をめぐる六つの短編集。

    この著者の何が好きって、ほんとうに読みやすいことろが好き。

    ①読みやすくてもつまらない小説。
    ②読みやすいしおもしろい小説。
    ③読みにくいしつまらない小説。
    ④読みにくいけどおもしろい小説。

    だいたい自分の中では小説はこの四つのいずれかに分類される。
    この著者は、②だ。
    読後に、「なんだったんだろうこの話は…」と良い意味で物思いに耽ることができる。

    表題作の「男と点と線」がお気に入り。
    あのときああしていれば、こうはならなかった。
    そういう後悔の裏には、あのときああしていなかったからこうなれた、という道が続いていることを教えてくれた。

  • 旅行とのリンクが楽しい。彼女の小説のいい意味のスカスカ感が、結局、リアルだ。

  • 私もウロコのコンタクトレンズしてみたいなぁ。

  • 山崎ナオコーラさんの作品は、言葉ひとつひとつが面白い。この本は、さらっと読める短編小説だけど、最後の中村文則さんの解説まで読んでから、もう一度じっくしと読んでみると、山崎さんらしい描写にはまってしまう。世界を舞台にした小説なので、ちょっとした旅行気分で読めました。

  • この人の感覚は本当におもしろいね。
    ちょっと考えられないようなことをさらっとしてくる。

    彼女の文章はなじむのにちょっと時間がかかるから、
    本当は繰り返し読んでいくうちにますます好きになる種類の本なんだよな。


    『スカートのすそをふんで歩く女』
    いるいるこういう女の子
    って思ってたら、意外に考えさせられる話だったな。

    「男の子と仲良くなりたいと思ったら彼女になるしかないなんて、女の子でいることは本当につまらない」
    「東京に帰ったら、献血をして、それから骨髄バンクに登録しよう。セックスしなくても、みんなと繋がれる」

    難しいよね、男女の距離は。


    『邂逅』
    なんだこりゃ。不思議ワールド。
    こんなのも書くんですね。
    文体に合ってるから余計に不思議ワールドに連れていかれる。


    『膨張する話』
    主人公の男の子がかわいい。若いね。
    ぎりぎりまで膨張してる感じがいいよ。
    この人の書く男の子はたまらなくきゅんです。


    『男と点と線』
    惣ちゃんの感情の動きとNYの旅がリンクして、初めて気持ちを告白するところまでがすごく自然。

    「好きでいる側が常に劣勢なのだ」
    「対等でなくていい。大事にされなくていい。カップルになれなくていい。愛したい」

    こんな素直さを手に入れることができるの何年後なんでしょう。

  • 社会の価値観に染まるな、甘えるな。

  • 著者がブログで、真骨頂だと述べていた通り、中の短編のひとつ、「スカートのすそを踏んで歩く女」が良かった。

    男女の友情に向き合って書いている姿勢が、本当に好きなんだと思う。

  • なんか流れるように読めて流れるように終わってしまったので、特になにも残っていない。
    でもちょっと良い気持ちにはなった。たぶん。

  • *引用*

     東京に帰ったら、献血をして、それから骨髄バンクに登録しよう。セックスしなくても、みんなと繋がれる。

     いつか男の人と大親友になれる、と私は信じていた。それが夢だった。
     みんなが仕事をして、男の子たちは結婚をしていって、それぞれに生活をしていき、年をとるごとに大親友になれる可能性がどんどん薄くなっていくなんてことは、想像だにしなかった。

    ―― 『スカートのすそをふんで歩く女』 p.84ー85

  • 山崎ナオコーラという作家の小説はすごく面白いと思うのだけど、今作も例にもれず。

    「何故書くのかと問われればこう答えよう、言いたいことはないが書きたい小説はあるから、と。」(あとがき)

    なるほど。
    6つの短編からなっているのだけど、「邂逅」が、ここに入っていることがすばらしい。

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著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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