風の墓碑銘(エピタフ)〈下〉―女刑事 音道貴子 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.84
  • (74)
  • (156)
  • (117)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 1059
感想 : 90
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425481

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 音道貴子シリーズはやっぱり最高!今回滝沢刑事との関係に、微妙にいい変化が現れているのが微笑ましい(なのにやはり小競り合いが起きてしまうところもw)。このシリーズの長編をもっと書いて欲しい。

  • 女刑事の音道貴子と相棒・中年刑事の滝沢コンビの第3弾作品の下。
    捜査で白骨死体、認知症の家主殺人、父娘惨殺事件が明らかに。
    これらの事件に関連はあるか、事件の最終段階へと進む物語。

    3件の殺人事件と、謎の捜査妨害の男、そして音道・滝沢コンビ。
    これらがうま~く絡み合って良い味出してました。
    ってか滝沢さんの性格が丸くなって、良い人になってるよ=3

    下巻も300ページ以上ありましたが、サクッと読めました。
    乃南さんの作品は読了後の爽快感があってお気に入りです。
    ただやっぱり滝沢刑事がいいな~(笑)

    中年刑事の味のある仕事感に興味ある方にオススメの作品です。


    が発見され、音道は認知症の家主を尋ねる。
    しかし家主は殺害され、滝沢を相棒に音道が難事件に挑む物語。

  • 人は外見ではわからないという事を痛感させられました。

    信じていた人からの裏切り。
    それでも現実と向き合い 前を向いて生きていかなければいけない辛さ・やるせなさが描かれています。

  • とっても面白かった!!!
    貴子の唯一の女友達が飲みながら愚痴る男の話。
    あまり聞きたくないと思いながらも、普通の会話ができる嬉しさ
    事件を日々追う貴子には貴重な時間だった

    はずなのに・・・
    所轄でコンビを組んでいた仲間と、事件の話をするうちに
    偽刑事が現場に現れるようになったり

    白骨遺体の事件から、その現場の家主だった痴呆の老人殺害。
    滝沢と貴子は、事件を追いながら、その偽刑事の真相を暴いていく。

    真夏の灼熱の太陽が差す陽射しが、まるでここに感じられるような物語、
    単調に捜査を続け、捜査本部の雰囲気もトーンダウンしつつあるなか
    貴子のもとに、所轄での相方、玉城からの驚くべき情報が!!

    じょじょに追い詰めていく真相、真犯人。
    その裏に起きていた24年もの間の事件にまつわる背景。

    もう、緊迫感たっぷり!
    読まずにはいられない。
    皇帝ペンギンから、アザラシへと昇進(?)した滝沢と貴子との信頼感。
    相手を尊重する心。
    とても丁寧に描かれていて、目の前に、二人がいるかのよう。
    とても、とても満足感のあった上下巻だった。
    圧巻!!

  • 今回は本当にシナリオが良かった。
    切なさも、強い憎しみも、抗えない時間の長さも、そんな言葉にも形にも出来ない感情を、本当に丁寧に描いていたと思う。
    まるで自分の身内が事件を起こしてしまった張本人のような、そんな複雑な気分にまでさせられた。

    決して奇抜な事件を描くのでなく、まさにどこにでも転がっていそうな事件をこうまで胸を抉られるほど鮮やかに描かれてしまうと、もう何も言えない。
    見事、としか。

    また、滝沢がなんだかんだ言いながら、音道に信頼を寄せているのがいい。
    格好いいことを言うでも、どこぞのヒーローのように音道を救ったりするでもなく、だがしっかりと彼女を受け止め、同じ歩幅で歩こうと努力しているのが、もう堪らん!


    どうしたらこんなにも緻密に人間を描けるのか。
    乃南アサの音道シリーズでは、いつも思わされる。
    自分が実際に全てを傍で聞かされ、一部始終を見てしまったかのような錯覚にまで襲われてしまうのだ。
    また、貴子が苦しめられる、女子との付き合いの中に生じる日常風景にも、同性として分かりすぎる面が多くて、いつも本当に翻弄させられる。
    一度読み始めてしまったら、貴子と同じ責務を背負わされてしまったかのように、苦しく、逃れられない時間が始まるのだ。
    だが、それがとても心地いいのも事実である。

    最後が淡々と終わるのも、好きだ。
    ラストシーンでは、もしかしたら昴一とはこのまま自然と別れてしまうのかもしれない、いやでもこのまま答えを不透明にさせたまま、ズルズルと続いていくのかも知れない……などと楽しく想像を廻らせてもらった。

    次回作では、うっかりちゃっかり玉城と結婚でもしてる状態から始まるんじゃないかと、今から妄想しつつ、期待(笑)

  • 3月1日 読了

  • 音道貴子シリーズ長編。切ない話だ。複数の事件が絡み合う、というプロットも面白いが、なにより人間描写がさすがだと思う。

  • 音道貴子刑事シリーズの1冊。「未練」「凍える牙」「花散る頃の殺人」「嗤う闇」と言う順に読んできましたが、新しく作品が出たので読んでみました。「鎖」も続いて読みたいものです。滝沢とのコンビもファンにはたまりませんが、少し共に人間が丸くなりました(^^;

    貸家の解体現場から白骨死体が発見され、その後、その貸家の持ち主が何者かに殺されるという設定で、なかなか魅力的な設定舞台です。

    ミステリー的には、結末が少し物足りませんでしたが、この音道刑事のキャラクターがなによりで、楽しめました。短編でできたと思うけど、鑑識の早苗との関係の変化も面白かったです。

  • ◆あらすじ◆
    白骨死体、今川老人殺害事件、父娘惨殺事件。
    これらの事件に関連はあるのか。
    音道の立てたある仮説は、深く重く沈殿しつつあった捜査を大きく動かした。
    一方、刑事を騙る男が捜査を攪乱する。目的は難なのか。
    誰が情報を漏洩しているのか。
    深まる謎と謎が交錯し、溶け合っていく───。
    人間の欲望という業が生み落としていく悲しみをスリリングに描くシリーズ最高潮の人間ドラマ。

著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

乃南アサの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×