孤独の歌声 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101457116

感想・レビュー・書評

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  • 久々に天童荒太さんの作品が読みたくなって、購入。
    やはり最高です。
    犯罪者の気持ち悪さというか、気味悪さはあるのに、どこか文章が美しい。
    ため息が漏れるような文を書かれる方だな、といつも思っています。
    ミステリー作品は大好きでいろんな方の作品は読みますが、やはり私の中の一番は天童荒太さんです。

  • 狂った猟奇殺人犯を巡るサイコサスペンスだがそのテーマはタイトルにある「孤独」
    人は様々な意味で孤独なのだがその孤独の故に堕ちて行くのか、孤独感をはねのけるために藻掻くのか、孤独を生きるための糧とするのかそれぞれの捉え方を持つのだろう。
    人間の声には人を嬉しくさせる声、いらつかせる声、淋しい声などがあるという。
    その中の淋しい声というのはその中に2種類あり、一つは淋しくて辛い、悲しいやりきれない淋しさの声。
    もう一つ、祖手も少ないけれど淋しいけれど慰められる、勇気が出る、励まされる、こんな淋しい声があるそうで歌手の声に多いらしくこれが「孤独の歌声」とのことだ。
    「孤独」という感じもそれを感じるが故にやるせなくて堕ちていってしまうか、あるいははね除けるバネと感じるか、人間らしく生きるために必要な物なのだと受け入れられるのかによって様々な人間模様が繰り広げられるのかもしれないと感じた。

  • 天童荒太の作品は初めて。
    猟奇的殺人事件を追う女性刑事の話。
    一気に読める面白いストーリーだが、事件がエグいので、解決した時の爽快感はない。でもこれが天童作品なのだろう。

    物理的ではない、もっと深い『孤独』感を描き、それぞれが今の自分を見つめて次の一歩を踏み出すという意外と真面目な主軸をもつサスペンス作品だった。
    エンターテイメントというより、ヒューマンドラマといった感じ。

  • なんか悲しいお話だった。やりきれない感じ。

  • サイコパスなら悪の教典の方がぶっとんでるし、誘拐監禁虐待なら殺人に至る病のほうが突き抜けている。登場人物の人生に、深みを演出しようとしているところに違和感が。神経脆弱なマザコン男が理想の女を探すために誘拐を繰り返し、同時進行で起こるコンビニ強盗。コンビニ強盗の件から糸がほつれていくように誘拐まで解決されちゃうよって物語。天童荒太の良さはこっちの物語じゃ出てこない!好きな作者だけに逆に新鮮だったけど、面白くはなかった。

  • ドラマでやってた家族狩りの陰鬱とした、やるせない後味が結構好きで気になってた作家。この本も陰鬱として、残忍で、背筋がぞっとする内容でしたが、孤独な登場人物の不器用な生き方に共感できるところもあって、最後はしっとりした暖かい気分に。
    家族狩りもこの本も、家族が大きなテーマ。自分の幸せと、家族の幸せのありかたを考えてしまった。

  • 荒太らしい内容で久々に胸が悪くなり、背中がゾクゾクするような怖さ ( ꒪⌓꒪)

  • 題名にある通り"孤独"が強調されている。
    ただ、"孤独"と言っても捉え方や想いによって様々なんだと感じる。
    大きな恐怖に包まれる内容ながら、"孤独"という存在が胸に迫る。

    2015.7.3

  • 圧巻。3人それぞれの幼い出来事に起因する現実を介して描く孤独には奥深さを感じる。
    犯罪の描写には目をつぶりたくなるほどグロテスク。惹きつける力はハンパない。

  • ひとり暮らしの女性たちが次々と誘拐され、哀れな末路を迎えていく。朝山風希刑事は、封印した過去のとらわれから、事件を追い続ける。潤平もコンビニでバイトをしながら、歌を作り歌う。人を歌う彼が風希が気になりながら、事件にのまれていく。孤独の渦に呑み込まれた登場人物、家族とは何かを描く。

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著者プロフィール

天童 荒太(てんどう・あらた):1960(昭和35)年、愛媛県生まれ。1986年「白の家族」で野性時代新人文学賞受賞。1996年『家族狩り』で山本周五郎賞受賞。2000年『永遠の仔』で日本推理作家協会賞受賞。2009年『悼む人』で直木賞を受賞。2013年『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞する。他に『あふれた愛』『包帯クラブ』『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』『静人日記』『ムーンナイト・ダイバー』『ペインレス』『巡礼の家』などがある。

「2022年 『君たちが生き延びるために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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